ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「千本桜」黒うさP(平成23年投稿)

流行時期(いつ流行った?)

 黒うさPさんの「千本桜」は、2011年9月17日にニコニコ動画に投稿されました。この作品が世間に広まった詳細な経緯は分かりません。

 

 2015年の紅白歌合戦で小林幸子さんが「千本桜」を歌唱されています。その頃には、多くの人たちに知られている存在になっていたと思われます。

 

注)ニコニコ動画 黒うさ さんの投稿動画

 

 

 ・・・紅白での衣装?が凄すぎる小林幸子さんを"ラスボス"と形容する価値観も、この2010年代に誕生したのだろうと思います。

 

 

 「千本桜」はボーカロイド(ボカロ)に関心が無くても耳にした事がある作品と思います。

 

 合成音声の初音ミクさんの歌唱ですが、それを特別視する感情が生まれないくらい良い曲と思います。

 

 バラードや演歌のように「アー」とか「ハァー」といった発声を伸ばし続ける歌唱が見受けられません。

 

 また、絶えず速いテンポで歌唱し続ける事で、聴き手に機械的な印象を与えないように工夫されていると思います。

 

 

平成後期に受け入れられた"スチームパンク"?

 「千本桜」は歌詞も映像も、"日本を詰め込んだ作品"と感じます。

 

 しかし、なぜか昔の日本(明治・大正?)を連想させる、"スチームパンク"に近い価値観で製作されている事が気になります。

 

 現代の若い世代にとって、明治・大正もおじいちゃんやおばあちゃんが生きた時代より昔。

 

 遠い昔となった時代はフィクションに近い存在になっているのかも知れないと感じます。

 

 これは現代特有の価値観ではないと思います。

 

 私は「江戸時代の人たちも、平安時代の出来事を伝説的に妄想していたのだろう」と想像しています。

 

 それと同じ流れと思っています。

 

 

"パラレルワールド"の価値観も

 科学的に実証されていない"異なる世界線(パラレルワールド)"という価値観。

 

 この価値観も現在は当たり前のように受け入れられる時代になっていると思います。

 

 「Pretender」(2019年)に【世界線】というフレーズが登場して、一人で驚いてましたが、昭和で言う【もしも~だったら】と同義語である事に気付きました。

 

 歌詞が【もしも】で始まる歌と言えば、

  「お嫁においで」(1966年)

  「芽ばえ」(1972年)

  「あなた」(1974年)

  「もしもピアノが弾けたなら」(1981年)

  「もしも明日が・・・」(1984年)

  「恋におちて」(1985年)

  「時の流れに身をまかせ」(1986,7年)

 などなど。

 

 1980年代に目立ちますね・・・。意外な発見(^^A;。

 

 

ボカロは日本固有の音楽表現

 米津玄師さんやYOASOBIさんなど、今のヒット曲を支えるアーティストを検索するとボカロPにたどり着く事が多いです。

 

 Adoさんに至っては"デジタルネイティブ世代"と定義する記事も見た事があります。

 

 この音楽表現は日本特有です。

 

 いつか世界を驚かせる作品が生まれる可能性を秘めていると感じます。

 

 第二の「上を向いて歩こう」(1961年)を期待しています。

「刃傷松の廊下」真山一郎(昭和36年、昭和37年)

流行時期(いつ流行った?)

 真山一郎(まやまいちろう)さんの「刃傷松の廊下」は、昭和36年(1961年)から翌年にかけてヒットしました。

 

 『ミュージックマンスリー』の月間ランキングによると、12月から翌年2月にかけてヒットしています。

 

<『ミュージックマンスリー』歌謡曲・月間ランキング推移>

年月 順位
昭和36年12月 19位
昭和37年01月 12位
昭和37年02月 18位

 

 最も人気が高まったのは1962年1月と思われます。

 

 


www.youtube.com

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 KING RECORD CO., LTD.(KINGRECORDS の代理)

 

 

歌謡浪曲がブームになった頃

 「忠太郎月夜」(1959)から三波春夫さんは長谷川伸さんの『一本刀土俵入』や『沓掛時次郎』を題材にした歌謡浪曲で人気を集めています。

 

 ヒットした記録を見つけておりませんが天津羽衣さんの「お吉物語」(1960年発売)や鉄砲光三郎さんの「王将物語」(1961年)も発売されています。

 

 様々な歌手によって歌謡浪曲がレコード化され、ブームが起きていたのだろうと推測します。

 

 「刃傷松の廊下」のヒットは、この流れが存在していた事も理由のひとつと捉えています。

 

 

歌謡浪曲は台詞が魅力

 歌謡浪曲の音楽表現は、"歌唱よりもセリフが重要"と思っています。

 

 まるで役者の演技力で語られるセリフのおかげで、聴き手は歌の場面を容易に思い浮かべる事が出来ます。

 

 「刃傷松の廊下」のセリフは大げさに感じるかも知れません。

 

 『実際に、松の廊下で浅野内匠頭(長矩)が吉良上野介を斬り付けた場面をリアルタイムで目撃した人の心理、「これは大変だ!」と大慌てする心理』が描かれていると思います。

 

 梶川に制止され、吉良を討てない長矩の無念も語られています。こちらも本当にそうだったのではないか?と思うくらいの臨場感があります。

 

 

義理人情が描かれる歌謡浪曲

 「刃傷松の廊下」は、日本一有名なかたき討ちである"忠臣蔵"の一場面が描かれています。

 

 三波春夫さんは後に「俵星玄蕃」(正式名称:「長編歌謡浪曲 元禄名槍譜 俵星玄蕃」)(1964年発売)で、赤穂浪士の吉良邸討入りの場面を歌われています。

 

 義理人情を描くには歌謡浪曲の音楽表現とかたき討ちの美談は相性が良いようです。

 

 2022年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で描かれたかたき討ち"曽我兄弟の仇討ち"を題材にした「曽我物語」(1961)もヒットしています。

 

 「曽我物語」では、兄弟にわざと仇の居場所を教える小舎人五郎丸の情けが歌われています。

 

 

美談の"かたき討ち"

 『鎌倉殿の13人』では曽我兄弟の討入りは、実際は後世に語り継がれる美談ではなかったのでは?と描かれていました。

 

 忠臣蔵も同じような視点で語られる事を見聞きした事があります。

 

 真相は分かりませんが、作品として美談のかたき討ちが誕生した事は、鑑賞する側に"美談を求める心理"が存在していたのだと思います。

 

 作品を鑑賞する事で自らの心が救われる、ヒット曲の大切な要素と思います。

 

 

曲情報

 発売元:キングレコード株式会社

 品番:EB-589

 

 A面

  「刃傷松の廊下」

  作詩:藤間哲郎

  作曲:桜田誠一

  演奏時間:3分24秒

 

  キングオーケストラ

 

 

 B面

  「番場の忠太郎」

  作詩:藤間哲郎

  作曲:桜田誠一

  演奏時間:3分49秒

 

  長谷川伸原作「瞼の母」より

 

  キングオーケストラ

 

 

参考資料

 「刃傷松の廊下」レコードジャケット

 『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社

「Habit」SEKAI NO OWARI(令和4年)

流行時期(いつ流行った?)

 SEKAI NO OWARIさんの「Habit」は、令和4年(2022年)にヒットしました。

 

 オリコンデジタルランキングによると、4月下旬に配信開始されたシングルは初登場と同時に人気が集まっていますが、6月に入ってから再び人気を集め始めます。

 

 最もヒットしたのは7月と思われます。

 

 ”楽曲が発売されてから時間差で人気が高まる曲”。昭和のヒット曲の流行り方を感じるランキング推移です。

 

 


www.youtube.com

注)SEKAI NO OWARI 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

 "すでに実績を残しているアーティストの作品"である事も、ヒットチャート的に異色です。

 

 今の時代の価値観を描いた歌詞に共感が集まったのだろうと想像しています。

 

 時代を反映したヒット曲として、日本の流行歌史に名を残す作品と感じます。

 

 

伝えたい事が伝わりやすいように表現

 "一度聴いただけで、楽曲が伝えたい事を容易に理解できる作品"が「Habit」の個性と感じます。

 

 音楽知識の少ない私がすぐに理解できるという事は、それだけシンプルな音楽表現という事になります。昭和の流行歌のような"分かりやすさ"です。

 

 そして音楽表現を簡潔にする代わりに、伝えたいメッセージがこの作品の魅力です。

 

 今の若者に向けて伝えたい事、「RPG」(2013)で触れられていた"世間体の価値観に囚われないでほしい。"という気持ちを前面に表現された作品と思います。

 

 

"ステレオタイプは良くない"という普遍的な主題

 「Habit」の歌詞では"分類"と表現されていますが、"レッテルを張る"価値観は昭和から存在します。

 

 歌詞に登場する"陰キャ・陽キャ"も"ネクラ・ネアカ"(1982年の流行語)の現代版、この言葉が生まれる心理の根底には、ステレオタイプカテゴライズという考え方が存在していると思います。

 

 日本語では"思い込み・先入観"や"世間体"が該当すると思います。

 

 ステレオタイプは"限定的な範囲で情報を整理できる思考法"と思いますが、複雑な世の中に当てはめる事は出来ません。そして生きていると知らぬ間に経験則で築かれてしまう思考法と実感しています。(自分の生き方がベースに築かれるので主観を拭えない事が残念ですね・・・)

 

 「Habit」は普遍的な生き方のテーマを扱っています。

 

 "個性"という言葉が生まれたであろう1980年代中頃から少し触れるようなヒット曲が登場し始めましたが、主題に用いた作品は他に思い浮かびません。

 

 

若い世代の主張がヒット曲に反映され始めた?

 "マスクをして外出する事が常識"となっているコロナ禍が続いていますが、個人的に今年の気になるヒット曲は"若い世代目線"で描かれてる作品が多い気がします。

 

 今年のニューフェイスでヒットしたさユりさんの「花の塔」yamaさんの「色彩」で感じました。

 

 コロナ禍を経験した若い世代は右往左往している社会に目の当たりにしているので、他の世代に比べて大人に批判的な価値観を持っているかもしれません。

 

 SEKAI NO OWARIさんは自虐的に大人の視点で語りかけていますが、いつの時代でも何が起きるか分からない世の中、"大人の言う事がいつも正しい"という先入観は持たないでほしいと思います。

 

 

参考資料

 「you大樹」Webサイト

「愛の始発」五木ひろし(昭和51年)

流行時期(いつ流行った?)

 五木ひろしさんの「愛の始発」は、昭和51年(1976年)にヒットしました。

 

 2月初めに発売されたレコードは3月に最もヒットしています。

 

<『レコード・マンスリー』の月間売上ランキング推移>

年月 順位
昭和51年02月 14位
昭和51年03月 11位
昭和51年04月 19位
昭和51年05月 30位

 

 


www.youtube.com

注)五木ひろし Official YouTubeチャンネル 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

橋ではなく川が主語

 「愛の始発」の主人公は明日駆け落ちをする決断をされていますが、「花嫁」のように駆け落ちを実行した後の心理ではない事で聴く人によって解釈が異なる歌詞と思います。

 

 作中に何度も繰り返される"川が流れる橋"が気になります。

 

 ヒット曲の歌詞には"現在の境遇を脱出する境界線"が何かに例えられる事があります。"それを越えれば新しい世界が広がる"、「愛の始発」の場合は"橋"です。

 

 橋を渡った先に駅があるのだと思います。それを渡る事で"愛を信じて故郷と決別する心理"が描かれていると感じますが、「"川"が主語になっている事」が気になります。

 

 川は遠く離れた地域から流れて来ます。駆け落ちした後、主人公がどこに行き着くのか描かれていませんが、もしかしたら故郷とつながっているかも知れません。

 

 そのため"何もかも捨てる"という決別よりも、故郷に未練を残しているのではないか?と感じてしまいます。

 

 

問わず語りの"ですます口調"

 歌い出しで「生まれ育った街に未練はない」と言い切っていますが、私は「本当に未練はないの?」と感じる派です。

 

 ですます調で語られる心情は誰に向けて言っているのでしょう?

 

 おそらく親に向けて語りかけているのだと感じさせてくれます。

 

 駆け落ちを実行する明け方に、何も知らずに眠っている親の寝顔を見てしまって、心の中で「ごめんなさい!」と思いながら実家を去ろうとする場面が思い浮かびます。

 

 聴き手の想像力を刺激して、映像を思い浮かべる事が出来るような歌詞はめったに登場しません。この曲がヒットした理由のひとつになっていると思います。

 

 

若者の歌で描かれる主題

 五木ひろしさんは人気を得られた頃から演歌歌手という印象です。そして当時の演歌歌手が歌ったヒット曲で"駆け落ち"を題材にした作品が思い浮かびません。

 

 この主題はヒット曲では「花嫁」のインパクトが大きいですが、"親に認められない愛"という解釈をすると、映画では『卒業』、『ロミオとジュリエット』や『ある愛の詩』が思い浮かびます。いずれも主題歌がヒットしています。

 

 若者視点で描かれる作品では盲目的に愛を信じる希望の気持ちが描かれがちですが、「愛の始発」で描かれる心情はそれだけではないと思います。

 

 愛を信じる気持ちと親の気持ちを裏切る事をしてしまう罪悪感も描かれているように感じます。

 

 歌詞の文字数が少ないのに、この心理表現を作詞出来る山口洋子さんはスゴイ!と感じます。

 

 

曲情報

 徳間音楽工業株式会社

 ミノルフォンレコード

 品番:KA-588

 

 A面

  「愛の始発」

  英題:Ai no shihatsu

  作詞:山口洋子

  作曲:猪俣公章

  編曲:森岡賢一郎

  演奏時間:3分55秒

 

  ミノルフォンオーケストラ

 

 

 B面

  「恋は淡雪(あわゆき)」

  作詞:山口洋子

  作曲:猪俣公章

  編曲:竜崎孝路

  演奏時間:3分22秒

 

  ミノルフォンオーケストラ

 

 

参考資料

 「愛の始発」レコードジャケット

 『レコード・マンスリー』日本レコード振興株式会社

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

「ラズベリー・ドリーム」レベッカ(昭和61年)

流行時期(いつ流行った?)

 レベッカさんの「ラズベリー・ドリーム」は、昭和61年(1986年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると、レコードが発売された5月初めから6月上旬にかけてヒットしています。

 

 


www.youtube.com

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Sony Music Entertainment (Japan) Inc., SME(Sony Music Direct (Japan) Inc. の代理); Muserk Rights Management、その他 4 件の楽曲著作権管理団体

 

 

太陽の下で分かち合えない若者の想い

 「ラズベリー・ドリーム」がヒットした1980年代中期は、寂しさや満たされない気持ちを紛らすために夜の街で遊ぶ若者像が描かれ始めました。

 

 1980年代前半に描かれたツッパリのような強がりな反抗ではなく、反抗する気持ちを持っていても強がれない、行き場のない想いを抱えて夜の街にたたずむ若者の心理が描かれていると思います。

 

 同年にヒットした「六本木純情派」でも似た場面が描かれているように感じます。心情では「翼の折れたエンジェル」(1985年)も重なる部分を感じます。

 

 この描写は現在の若者でも理解できる心情表現ではないかと思います。

 


 1980年代特有の若さの表現だと感じます。真夜中の街を胸に秘めた想いを抱えてさまよう姿を通して歌われる心理は、決して後ろ向きではありません。

 

 1960年代に描かれた"太陽の下で青春を歌う価値観"とは対象的ですが、同じくらいの若い力を感じる事が出来るのは興味深いです。

 

 

 どちらかというと「ラズベリー・ドリーム」で描かれる心情のほうが本来の若者の姿かも知れないと感じます。

 

 "共に分かち合う事"が歌われたのは196、70年代特有の現象で、それ以前のヒット曲やレコード誕生以前の明治時代の唱歌でも"青春は級友と共に"と歌う作品がすぐに思い浮かびません・・・。

 

 

 大人になっても十代で手にした自我は変わらないと思います。それによって生まれるプライドや恥じらいから素直に打ち明けられない心理がありのまま描かれている気がします。

 

 「ラズベリー・ドリーム」はこれまでの流行歌が描かなかった新しい若者の心理描写で、この時代を象徴する作品のひとつと思います。

 

 

新しいサウンドを明確にした人気アーティスト?

 音楽にはジャンルが存在しますが、自然と形作られたヒット曲は定義が難しく、解釈は人それぞれです。

 

 誰が命名したのか分かりませんが、ジャパニーズ・ポップスやその略称のJポップのルーツも意見が分かれると思います。

 

 流行歌しか知らない私は1960年代のカヴァー・ポップス歌手のオリジナル曲がルーツ?とぼんやり考えていますが、"レベッカさんが登場した1985年"は、音楽知識が無い私でも「サウンドが大きく変化した」と気付けるくらい、明確に線引きできる転換期と考えています。

 

 具体的には前作「フレンズ」(1985)のヒットです。"今までの流行歌では聴いた事が無いサウンド(今聴いても古さを感じないサウンド)、それがヒット曲となった事"に衝撃を感じます。

 

 ヒット曲特有のベタさが無いため、従来のヒット曲とはルーツが違う事を感じます。

 

 それは「録音技術が向上したから?」か、それとも「こういう音楽を支持する世代が多数派になったから?」かなどと、まだ色々考え中です。

 

 山下達郎さんの「RIDE ON TIME」(1980年)を聴いた時も、同じくらいサウンドに新しさを感じましたが1980年は、まだヒット曲が「RIDE ON TIME」に追いついていない時代という印象です。

 

 1985年はそういった音楽表現ができるレベッカさんが登場し、流行歌手となった事が印象的です。

 

 

曲情報

 発売元:株式会社CBS・ソニー

 レーベル:FITZBEAT

 品番:07SH1772

 発売日:H.5.2

 

 A面

  「ラズベリー・ドリーム」

  英題:RASPBERRY DREAM

  作詩:Nokko

  作曲:土橋安騎夫

  編曲:レベッカ

  演奏時間:4分39秒

 

 

 B面

  「モーター・ドライヴ」

  英題:MOTOR DRIVE

  作詩:Nokko

  作曲:土橋安騎夫

  編曲:レベッカ

  演奏時間:3分48秒

 

 

 Nokko:Vocal

 Akio Dobashi:Synthesizers

 Noriyuki Takahashi;E.Bass

 Yutaka Odawara:Drums

 Mario Koga:E.Guitar

 

 

参考資料

 「ラズベリー・ドリーム」レコードジャケット

 「you大樹」オリコン

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

「人生の並木路」ディック・ミネ(昭和12年発売)

歌だけ残った映画主題歌のヒット曲

 ディック・ミネさんの「人生の並木路」は昭和12年(1937年)に発売されました。

 

 歌の登場人物が"兄と妹"という設定は珍しいですが、映画主題歌として製作された作品です。

 

 当時公開された日活映画『検事とその妹』の主題歌として製作されています。

 

 残念ながら映画フィルムが失われているようで、1937年に公開された映画の情報はほとんど存在しません。主題歌が後世に歌い継がれている事を考えると、当時かなり人気を集めたのかな?と想像します。

 

 

 "映画とレコード流行歌"は相性が良いみたいです。「人生の並木路」に限らず、1929年発売の「沓掛小唄」「東京行進曲」のSP盤には"映画小唄"というジャンル名が記載されています。

 

 当時はテレビがありませんが現在でも映画に限らずドラマやアニメなど映像作品とのタイアップが行われています。

 

 レコードが誕生した頃から現在までタイアップが企画され続けている事は興味深いです。

 

 


www.youtube.com

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 TEICHIKU ENTERTAINMENT(テイチクレコード の代理); Muserk Rights Management、その他 1 件の楽曲著作権管理団体

 

 

 「人生の並木路」は1937年2月に発売されたようです。1937年7月に盧溝橋事件が起き、日中戦争の戦況が日常生活で報道され始める戦時下の数か月前です。

 

 国民生活が戦前の価値観で製作された作品と思いますが、この曲が歌う主題は戦時下になってからますます支持されたのではないか?と感じます。

 

 

妹の心を支える兄の気持ち

 映画の原作『検事の妹』を読んだ事はありません。しかし「人生の並木路」で描かれる場面、"幼くして親を亡くし故郷を離れざるを得なかった不憫な境遇"や"妹が頼れる存在は兄だけで、「自分が親代わりにしっかりしなければいけない」という兄の心情"を読み取る事ができます。

 

 

 「人生の並木路」は"兄が妹を想う心情"が描かれた数少ない作品です。おそらく、この心情を描いたのは流行歌史上初めてで、ヒット曲の世界では名を残す理由のひとつと思います。

 

 同じ主題で思い浮かぶヒット曲は、1970年代に目立ちます。かぐや姫さんの「妹よ」(1974年)や加山雄三さんの「ぼくの妹に」(1976年)、さだまさしさんの「親父の一番長い日」(1979年)です。

 

 シンガーソングライターが作曲する時代に描かれ始めた心理と思います。

 

 それぞれの作品で歩んだ人生や時代が違いますが、"兄が妹を想う気持ち"は共通していると感じます。

 

 映画では現在でも名が知られている『火垂るの墓』が思い浮かびます。しかし戦後のヒット曲では、親を亡くした兄妹の戦災孤児が主人公の作品は描かれませんでした。

 

 戦前に兄妹を主人公にした「人生の並木路」の主題が異例である事が分かります。

 

 

突然描かれた"兄妹愛"

 私は映画も文学もほとんど知らないため、浅はかな考えで想像を続けますが映画『検事とその妹』があまり後世に名を残していない事が気になります。

 

 映画より曲の歌詞が主題を描いている事で支持され、「人生の並木路」だけが後世に名を残す事になったのではないか?と疑ってしまいます。

 

 "ドラマやアニメがヒットしなくても主題歌が流行る"という現象でヒットしたのではないか?と想像しています。

 

 

 キネマ旬報ベストテン歴代1位(2022年発表)キネジュン作品賞の受賞映画 (gaffer.jp)には、1937年の『検事とその妹』はノミネートしていませんが、1936年のベストテンに『兄いもうと』がノミネートしている事が気になります。(1939年の『兄とその妹』もとても気になりますね・・・(^^;A)

 

 それぞれどういった映画か分かりませんが『検事とその妹』は、室生犀星さんの『あにいもうと』(1934年連載)の人気から映画化された『兄いもうと』(1936年公開)に便乗して企画された作品だったのではないか?と思ってしまいます。

 

 1937年の『検事とその妹』に関する当時の評価などの資料があれば良いのですが、現時点で見つけられていません・・・(>_<)。

 

 しかし流行歌の視点から見ると『検事とその妹』のおかげで、「人生の並木路」で描かれる心情がとても斬新な視点でドラマチックな内容になっており、とてもありがたいと感じています。

 

 歌詞が4番まであります。3拍子の作品ですが、歌詞を増やすために古賀政男さんは3拍子で作曲されたのでしょうか。

 

 戦前の作品ですが、歌で描かれる心情は今聴いても通用すると思います。

 

 

参考文献

 『日本流行歌史(上)1868~1937』社会思想社

 キネマ旬報ベストテン歴代1位(2022年発表)キネジュン作品賞の受賞映画 (gaffer.jp)

 犀星年譜 | 室生犀星 | 室生犀星記念館 (kanazawa-museum.jp)

「白日」King Gnu(平成31年[令和元年]、令和2年)

流行時期(いつ流行った?)

 King Gnuさんの「白日」は、平成31年(2019年)にヒットしました。そして翌年にもヒットしています。

 

 ランキングの推移では2回ヒットしているように感じます。1回目は発売後、2回目は年末から翌年にかけてです。

 

 有線放送のランキングでも2回目のヒットから「白日」の人気が高まっています。新たな支持層を獲得して作品の人気が再燃したと思います。

 

<mora月間ランキング、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成31年02月 17位  
平成31年03月 4位 シングルトラック、10万ダウンロード認定
平成31年04月 8位  
令和元年05月 8位  
令和元年06月 12位  
令和元年07月 25位 シングルトラック、25万ダウンロード認定
令和元年08月 22位  
令和元年09月 21位  
令和元年10月 11位  
令和元年11月 8位  
令和元年12月 3位  
令和02年01月 1位 シングルトラック、50万ダウンロード認定
令和02年02月 7位  
令和02年03月 8位  
令和02年04月 7位  
令和02年05月 10位 シングルトラック、75万ダウンロード認定
令和02年06月 15位  
令和02年07月 25位  
令和02年08月 42位  
令和02年09月 41位  
令和02年10月 23位  
令和02年11月 40位  
令和02年12月 42位  
令和03年01月 56位  
令和03年02月 53位  
令和03年03月 54位  
令和03年04月 75位  
・・・ ・・・  
令和03年10月 圏外 シングルトラック、100万ダウンロード認定

 

 

 


King Gnu - 白日

注)King Gnu official YouTube channelの動画

 

 

雪の白さも印象に残る歌詞

 「白日」はドラマ『イノセンス 冤罪弁護士』の主題歌で、公式サイトにはKing Gnuさんのコメントが掲載されています(イノセンス 冤罪弁護士|日本テレビ (ntv.co.jp))。

 

 

 ドラマの主題である、"真犯人(クロ)ではない無実の人間(シロ)"から発想を広げて、"白"を軸に作詩されたのかも知れないと想像しています。

 

 潔白の真実を白日のもとに晒すは容易に連想できますが、"雪"が登場している事が気になります。

 

 "雪=冷たく寒い"のイメージがヒット曲では一般的ですが、「白日」では”冷たい・寒い”という表現は登場せず、例えに用いている印象があります。

 

 冤罪の濡れ衣で世の中から批判される境遇に例えたり、疑いが晴れる希望の春と結び付けたりされていますが、包み隠してほしい心理や何もかも忘れたいという気持ちを降りしきる雪に託すと表現する事に才能を感じます。

 

 雪を知っている人でなければ思い浮かばない歌詞と思います。

 

 

"完成度の高さ"と"覚えやすさ"

 初めて「白日」を聴いた時、今までのヒット曲では聞いた事のないサウンドだったので驚きました。

 

 この作品のように、ヒット曲には完成度が高いと感じる作品が登場する事がありますが2部で構成されているイメージがあります。一般的な作品に比べて曲の世界観が広がります。

 

 「白日」ではピアノ伴奏のみで始まる冒頭部分と、ボーカルが入れ替わって以降で楽章のように明確な線引きが出来るような気がします。

 

 ギターソロのパートも印象に残りますが、ドラムもボーカルも誰も前に出すぎないサウンドも上品さを感じさせてくれます。


 オーケストラのように、全員で曲を作る考え方で演奏されていると感じます。

 

 

 こだわって製作された楽曲は、その分聴き手が音楽性を理解する努力が必要になると思いますが、「白日」を聴いていても難しさを感じる事はありません。

 

 音楽の事はよく分かりませんが、主旋律が聞こえやすい事が理由かも知れません。ボーカルと間奏のギターが入れ替わりながら歌の主役の座をキープし続けます。

 

 "間奏のメロディも覚えやすい"という、昭和歌謡の特徴に通じる部分を感じます。

 

 

参考資料

 「mora」Webサイト

「プロポーズ」純烈(平成30年)

流行時期(いつ流行った?)

 純烈さんの「プロポーズ」は、平成30年(2018年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると2月中旬に発売されたCDシングルは、発売と当時に最高順位を記録しています。

 

 9月中旬に再び順位を上げますが、感謝盤~紅~、感謝盤~白~が発売された事がきっかけと思います。

 

 私はこの年の紅白歌合戦に出場が決定した11月末に純烈さんの存在を知りました。「まさか2010年代後半に歌謡グループが人気になるなんて!」と大きな衝撃を受けていました・・・(^^;A。

 

 


www.youtube.com

注)純烈じゃ〜TV 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

プロポーズをマイナーで

 「プロポーズ」で描かれる心理はタイトル通り、「この人とこれからの人生を共に歩んで行きたい」と決断し結婚を申し込む場面、主人公が未来に希望を持つ前向きな心理が描かれています。

 

 しかし、"音の響きが悲しさを感じる短調(マイナー)"がメインと感じます。(シュワシュワあたりは並行調の長調(メジャー)に転調していると感じます。)

 

 プロポーズを題材にした作品なのに、マイナーな曲調で表現している事は面白いと感じます。

 

 ブライダルソングというと「Lifetime Lispect」(2001年)や「明日への扉」(2003年)が思い付く世代ですが、この主題はどの世代でも『長調(メジャー)で表現するのが当たり前』という価値観を裏切っていると思います。

 

 歌詞で相手の気持ちが描かれていないので、プロポーズを受け入れてくれるかどうか不安な気持ちを音楽で表現されたのでしょうか。

 

 

夜、酒は登場しないムード歌謡

 1960年代末に確立されたムード歌謡、歌謡コーラスのスタイルを踏襲されていますが、当時のヒット曲では「プロポーズ」のような未来志向の心情は描かれていません。

 

 どちらかというと真逆で黒沢明とロス・プリモスさんや内山田洋とクールファイブさんのヒット曲で描かれる、都会の盛り場で叶わない恋に傷つき、お酒で気持ちを紛らわせる後ろ向きな心理が目立ちます。

 

 前向きな心理を描いたのは鶴岡雅義と東京ロマンチカさんの「小樽のひとよ」(1968年)だけではないか?と思います。(そう考えると「プロポーズ」は後日談的な主題と感じますね。)

 

 1967年~1970年代前半にかけて流行したムード歌謡、他に思いつくのは「思案橋ブルース」「おんな占い」「宗衛門町ブルース」・・・少し遅れて登場した敏いとうとハッピー&ブルーさん。

 

 "ムード歌謡=悲しい気持ち"という感覚を持っていると、純烈さんの作品に違和感を覚えるかも知れませんが、ムード歌謡全盛期に描かなかった心情を題材にしている事に新しさを感じます。

 

 歌謡曲を継承されるアーティストはとても少ないので、今後のご活躍に期待しています。

 

 

参考資料

 「プロポーズ」CDジャケット

 「you大樹」オリコン

「FLASH」Perfume(平成28年)

配信限定のヒット曲

 Perfumeさんの「FLASH」は平成28年(2016年)にヒットしました。配信限定の楽曲です。moraさんの月間ランキング推移は下記の通りです。

 

<mora月間ランキング推移>

年月 順位
平成28年03月 2位
平成28年04月 2位
平成28年05月 6位
平成28年06月 28位
平成28年07月 48位
平成28年08月 圏外
平成28年09月 97位
平成28年10月 100位
平成28年11月 圏外
平成28年12月 60位
平成29年01月 17位
平成29年02月 58位
平成29年03月 74位
平成29年04月 97位
・・・ ・・・
平成30年03月 88位

 

 


www.youtube.com

注)東宝MOVIEチャンネルの動画

 


 映画『ちはやふる』の主題歌です。平成30年(2018年)に再びランクインしますが、『ちはやふる -結び-』が公開されたからだと思います。

 

 主題歌は「無限未来」ですが、「『ちはやふる』と言えば「FLASH」」という事で再び人気を集めたのだろうと感じます。

 

 

音楽で競技かるたの刹那を表現?!

 映画に限らずアニメやドラマのタイアップ作品は、ストーリーや作中の登場人物の想いを感じる歌詞が多いです。

 

 タイアップ=作品の主題を汲んだ歌詞という価値観が一般的ですが、「FLASH」は歌詞ではなく音楽で表現していると感じます。理由は聴き取れない歌詞です。

 

 何も見ずに「FLASH」を聴いて歌詞を聞き取れる方は少ないのではないかと思います。

 

 

 私は何度聴いても、サビの「FLASH!」に続く歌詞を聴き取れません。

 

 「FLASH!」に続く「光る」や「超える」が、「かる」や「える」に聴こえてしまいます。

 

 「鳴らした」の「た」等も聴き取れませんが、わざとそのような演出をしているのだろうと思います。

 

 意図的に生み出した無音の瞬間は、スポーツの世界で有名な"集中力がとても高まったときに発生するフロー状態"を表現していると感じます。

 

 

 競技かるたでは、読手が数語読み上げた瞬間に札を奪い合う選手の姿をニュース等で見た事があります。スポーツと同じで、選手は周囲の音が気にならなくなるくらい目の前の札に集中している事を想像できます。

 

 「FLASH」は"相手より先に札を取る一瞬のひらめき"を表現するために、あえて歌詞の一語を聞き取りにくい歌唱で表現している感じる事ができます。

 

 ・・・最近のヒット曲は歌詞が聞き取りにくい箇所があると感じていますが、"意図的にそれを行う"という手法に新しさを感じます。

 

 Perfumeさんならではのタイアップ作品と思います。

 

 

参考資料

 「mora」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「シュガーソングとビターステップ」UNISON SQUARE GARDEN(平成27年)

流行時期(いつ流行った?)

 UNISON SQUARE GARDENさんの「シュガーソングとビターステップ」は、平成27年(2015年)にヒットしました。

 

 オリコンでは初登場と同時に上位にランクインしています。配信での人気は下記の通りです。

 

 数年経ってもランクインする事は凄い事です。息の長いヒット曲に成長し続けていると感じます。

 

 

<mora月間ランキング、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成27年05月 3位  
平成27年06月 2位 シングルトラック、10万ダウンロード認定
平成27年07月 6位  
平成27年08月 23位  
平成27年09月 29位  
平成27年10月 20位  
平成27年11月 58位  
平成27年12月 50位  
平成28年01月 25位  
平成28年02月 48位  
平成28年03月 42位  
平成28年04月 35位  
平成28年05月 77位  
平成28年06月 63位  
平成28年07月 37位  
平成28年08月 72位  
平成28年09月 59位 シングルトラック、50万ダウンロード認定
平成28年10月 71位  
平成28年11月 圏外  
平成28年12月 84位  
平成29年01月 71位  
平成29年02月 94位  
平成29年03月 86位  
平成29年04月 56位  
平成29年05月 64位  
平成29年06月 67位  
平成29年07月 71位  
平成29年08月 79位  
平成29年09月 76位  
平成29年10月 52位  
平成29年11月 66位  
平成29年12月 69位  
平成30年01月 69位  
・・・ ・・・  
平成30年04月 93位  

 

 


www.youtube.com

注)unisonsgofficial 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

生きる意味を死ねない意味と表現

 この作品はサウンドも歌詞も凝っていて面白いです。甘いものと苦いもの、相反するものをタイトルに採用されていますが、歌詞にも正反対の視点がたくさん登場します。

 

 南南西と北北東の方角が最も分かりやすいです。私が印象に残ったのは、祭りが終わった後の心理です。熱狂の余韻に浸る人と静寂に寂しさを感じる人、この二つの価値観を見抜いた例えは秀逸と感じます。

 

 この曲を聴いて印象に残るのは"優しさ"です。ボーカルの声質がそのように感じさせてくれると思いますが、歌詞にも優しさを感じます。正確な表現かどうか分かりませんが、"価値観を押し付けないメッセージ"を感じます。

 

 

 従来のヒット曲では耳にしないような突飛で難解な言葉を登場しますが、歌の主題は、"異なる価値観が存在する世界を生きているけど、自分の気持ちを大切にしよう!"と訴えているように感じます。

 

 聴き手をポジティブな気持ちにさせてくれるサウンドで前向きさを感じますが、これまでのヒット曲が描いて来た"生きる意味"という表現を用いず、"死ねない意味"と表現されている事が最も印象に残りました。世代の価値観が変化していると感じました。

 

 聴き手を励ますならば"生きる意味"と表現すると思いますが、押し付けになるかも知れないから「あえてその表現をしない」と避けていると感じました。私はこれを当たり前ではなく、優しさと感じてしまいます(^^;A。

 

 自らの主張は控えて一歩下がった視点で描かれる歌詞。この視点は「水平線」(2021年)に通じる気がします。

 

 ネットの無い時代から日本人は世間体という言葉が存在します。検索すれば色々な人たちの考えを知る事ができる世代では、ますます他人の気持ちを察する心の働きが強まっている?と感じたりもします。

 

 人によって価値観が違う事がヒット曲に登場したのは1990年代の中島みゆきさんの作品と思いますが、2010年代では当たり前の事になったのかも知れません。

 

 

参考資料

 「mora」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「ひまわりの約束」秦基博(平成26年)

流行時期(いつ流行った?)

 秦基博(はた もとひろ)さんの「ひまわりの約束」は、平成26年(2014年)にヒットしました。

 

 オリコンでは初登場と同時に上位にランクインしています。配信で人気が高く100万ダウンロード認定されています。

 

 現在でも『のど自慢』で披露される方が多く、多くの人たちの心に生き続けるヒット曲と感じます。

 

<mora月間ランキング、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成26年08月 1位  
平成26年09月 3位 シングルトラック、10万ダウンロード
平成26年10月 5位 シングルトラック、25万ダウンロード
平成26年11月 18位  
平成26年12月 8位  
平成27年01月 6位 シングルトラック、50万ダウンロード
平成27年02月 32位  
平成27年03月 35位  
平成27年04月 43位  
平成27年05月 53位  
平成27年06月 32位  
平成27年07月 33位  
平成27年08月 49位  
平成27年09月 23位  
平成27年10月 40位 シングルトラック、75万ダウンロード
平成27年11月 81位  
平成27年12月 28位  
平成28年01月 34位  
平成28年02月 64位  
平成28年03月 57位  
平成28年04月 72位  
・・・ ・・・  
平成28年07月 75位  
・・・ ・・・  
平成28年09月 88位  
平成28年10月 61位  
平成28年11月 圏外 シングルトラック、100万ダウンロード
・・・ ・・・  
平成29年06月 68位  
平成29年07月 90位  

 

 

 


www.youtube.com

注)秦 基博 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

友情が主題のヒット曲?

 冒頭の歌詞で主人公と気心の知れた友達の友情を感じる事が出来ます。

 

 同年に公開された『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌ですが、それを知ると、主人公はのび太、先に泣いたのはドラえもんと分かります。

 

 子どもの頃から慣れ親しんでいるキャラクターなので、お互いに気心の知れた間柄である事、二人?の友情と理解しやすいです。曲の世界に入り込みやすいです。

 

 友情も愛のかたちの1つと思いますが、愛が歌われるヒット曲では友情を主題にした作品は意外と思いつきません。

 

 "友情を通して、他の主題を描く作品"が思いつきます。

 

 「高校三年生」(1963年)が別れ・旅立ち、「我がよき友よ」(1975年)は過去を懐かしむ心理、「ふられてBANZAI」(1982年)は恋人に対する未練、など思い付きます。

 

 どの曲も友情に触れているものの、主題とは感じません。「青春アミーゴ」(2005年)も夢が破れた時の悲しみが主題に感じます。

 

 

 友達は不思議な関係と思います。何年も連絡を取っていなくても久しぶりに会ったときは普通に話せたりします。

 

 この関係性を歌詞で表現するのはとても難しいと思いますが、「ひまわりの約束」の歌い出しはその根拠を見事に描いていると感じます。

 

 「君はそういう人だから、今とてもつらいんだろう」と理解して共感してくれる友達、学校生活など長い時間を共に過ごさなければ見えて来ない自分の人間性を理解してくれる大切な存在です。

 

 友情を丁寧に描いた「ひまわりの約束」は、"人を想う気持ち"を分かりやすく表現されています。(教科書に載っても良い作品と思いますが、ちょっと歌唱がテクニカルな感じで難しそうですね・・・(^^;A)

 

 誰の事を想う気持ちかを聴き手が様々に解釈できる歌詞です。今もなお、色あせる事無く愛されている理由も分かる気がします。

 

 

参考資料

 「mora」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「RPG」SEKAI NO OWARI(平成25年)

流行時期(いつ流行った?)

 SEKAI NO OWARIさんの「RPG」は、平成25年(2013年)にヒットしました。

 

 オリコンでは初登場と同時に上位にランクインしています。CDよりも配信で人気が高かった作品のようで、息の長いヒットを記録しています。(配信では、ケータイよりパソコンが主流になったようです。)

 

<mora月間ランキング、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成25年05月 2位  
平成25年06月 9位  
平成25年07月 8位  
平成25年08月 27位  
平成25年09月 41位  
平成25年10月 39位  
平成25年11月 66位  
平成25年12月 26位 PC配信(シングル)、25万ダウンロード
平成26年01月 8位  
平成26年02月 19位  
平成26年03月 39位  
平成26年04月 10位  
平成26年05月 24位  
平成26年06月 31位  
平成26年07月 26位  
平成26年08月 39位  
平成26年09月 48位  
平成26年10月 18位  
平成26年11月 33位 シングルトラック、50万ダウンロード
平成26年12月 19位  
平成27年01月 11位  
平成27年02月 61位  
平成27年03月 48位  
平成27年04月 65位  
平成27年05月 88位  
平成27年06月 -  
平成27年07月 60位  
平成27年08月 -  
平成27年09月 86位  
平成27年10月 95位  

 

 


www.youtube.com

注)SEKAI NO OWARI 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

ポップとロックの融合?

 「RPG」は聴いていて心が温めらる音楽と思います。励まされる歌詞ではありませんが、聴いていて気持ちを前向きにさせてくれる作品です。

 

 バンドロックのイメージが強いですが、この作品のサウンドにはロックさを感じません。

 

 ロックの定義は全く詳しくありませんが、この作品は聴き手を主役にさせてくれる音楽で、目指す表現にはロックを感じます。

 

 (・・・話がそれますが、ロックとロックンロールの違いを分かっていません。勉強不足の私は"ロック=ロックンロール"の1950年代の価値観を持っています。)

 

 

 大太鼓や手拍子で始まるイントロもヒット曲では珍しいので新鮮さを感じます。

 

 そして前向きで迷いのない心境を描く歌詞には、聴き手を鼓舞する応援歌の要素を備えていると感じます。

 

 

 "ギターの音色が聞こえない"からかも知れませんが、バンドの作品でロックさを感じないサウンドがヒットした事に新しさを感じます。

 

 間奏のストリングスもメンバー以外のオーケストラ、聴いた感覚では主張はロック、サウンドはポップの印象です。

 

 ポップ・ロックという言葉があるのかどうか分かりませんが、相反する音楽表現がバランスよく溶け込んだ作品と感じます。

 

 

 

参考資料

 「mora」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「ヒカリヘ」miwa(平成24年)

流行時期(いつ流行った?)

 miwaさんの「ヒカリヘ」は、平成24年(2012年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると8月中旬に発売されたシングルCDは、発売初週に最高順位でランクインしています。

 

 音楽配信での人気が高く、日本レコード協会の配信認定によると、2018年7月に100万ダウンロードを達成されています。

 

 ケータイの着うたより、パソコンでダウンロードが主流になり始めた時代と感じます。

 

 

<mora月間ランキング(12年8月から)、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成24年08月 不明(レコチョクでは1位)  
平成24年09月 1位 着うたフル®、10万ダウンロード
平成24年10月 2位  
平成24年11月 24位 PC配信(シングル)、10万ダウンロード
平成24年12月 29位  
平成25年01月 34位  
平成25年02月 97位  
平成25年03月 78位  
平成25年04月 25位  
平成25年05月 52位  
平成25年06月 57位  
平成25年07月 84位 PC配信(シングル)、25万ダウンロード
・・・ ・・・  
平成25年12月 91位  
平成26年01月 18位  
平成26年02月 73位 シングルトラック、75万ダウンロード
・・・ ・・・  
平成26年07月 96位  
・・・ ・・・  
平成30年07月 - シングルトラック、100万ダウンロード

 

 

 


www.youtube.com

注)miwa official YouTube channel 公式アーティストチャンネルの動画

 

 6年後に100万ダウンロードを達成・・・。CD売上で語られていた時代では聞いた事の無い長期的な記録です。

 

 音楽配信は"人の心に生き続ける作品"を探すことが出来る面白いデータと感じます。

 

 おそらく昭和でも、同じように何年たっても売れ続け、累計枚数がジワジワと積み上げられた作品があったのだろうと気付かせてくれます。

 

 

エレクトリックなフォークソング?

 「ヒカリヘ」は今どきの音楽と感じる作品です。ボーカルの歌声にエフェクトを追加したような編曲がそのように感じさせてくれます。

 

 miwaさんは自らで作詞作曲をされるシンガーソングライターですが、もし他の歌い手と同じようにギター弾き語りの編曲だったら、違う流行り方をしたのだろうと思います。

 

 聴き手にインパクトを与えたのは、デジタル加工された歌声?を感じさせたからだと捉えています。

 

 冒頭の英語詞や「本当の想いを聞かせてほしい」と歌う箇所でフィルタがかかったように聞こえる加工(テクニックの名称が分かりません)がされたり、後半で一人デュエットのように多重録音(オーバーダビング)がバックコーラスのように吹き込まれていたりします。

 

 どちらも昔から存在するテクニックですが、全体を通して聴こえて来るmiwaさんの歌声の無色透明さを感じさせる演出が印象に残ります。

 

 

伝えたい部分では生の声で

 感覚的な表現の歌詞が歌われているときはボーカルにエフェクトが用いられていると感じます。

 

 しかし、サビの印象に残るメロディが歌われ始めると、デジタルな雰囲気は途端に姿を消しmiwaさん本来の歌声になります。

 

 曲を通して伝えたい主題部分では普通の歌声にする、と意図的に使い分けているような編曲に面白さを感じます。

 

 本来の歌声だけのパートと人工的な歌声と感じさせるような加工をするパート、どちらを聴いていても曲全体の印象に変わりはありません。

 

 違和感無く聴ける事、バランスのとり方が絶妙と思います。

 

 私は曲の後半で聞こえてくる♪ジョアジョアがなぜか耳に残りますが、雰囲気で聞き流していても心地よい音作りが「ヒカリヘ」の個性と感じます。


 後世、似たような作品はヒットしていません。「ヒカリヘ」の独特の世界観は色あせる事無く、支持され続けると感じます。

 

 

参考資料

 「レコチョク」Webサイト

 「mora」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「家族になろうよ」福山雅治(平成23年)

流行時期(いつ流行った?)

 福山雅治さんの「家族になろうよ」は、平成23年(2011年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると8月末に発売されたシングルCDは、9月中旬から10月中旬にかけて上位にランクインしています。

 

 音楽配信は4月中旬に開始されています。CDが発売された9月に上位にランクインしています。紅白効果で翌年1月に再び上位にランクインしています。

 

 日本レコード協会の配信認定によると、2020年9月に100万ダウンロードを達成されています。

 

 時代の価値観に左右されない普遍的な感情がテーマなので、時代が過ぎても色あせない魅力を持っていると感じます。

 

 

<レコチョク月間ランキング(12年7月まで)、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成23年04月 10位  
平成23年05月 15位  
平成23年06月 21位 着うたフル®、10万ダウンロード
平成23年07月 88位  
平成23年08月 13位  
平成23年09月 2位  
平成23年10月 19位  
平成23年11月 36位  
平成23年12月 12位  
平成24年01月 6位 着うたフル®、25万ダウンロード
平成24年02月 28位  
平成24年03月 17位  
平成24年04月 26位  
平成24年05月 37位  
平成24年06月 34位  
平成24年07月 55位  
・・・ ・・・  
平成26年02月 - シングルトラック、50万ダウンロード
・・・ ・・・  
令和2年09月 - シングルトラック、100万ダウンロード

 

 

 


www.youtube.com

注)福山雅治 Official 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

自分以外の誰かを愛する心

 時代と共に姿かたちは変化しますが、流行歌で表現される心情はほとんど、誰かを愛する気持ちが歌われています。

 

 異性に想いを寄せる愛情が最も多いですが、愛の形は様々です。子を想う親心、兄弟愛、師弟愛、自己愛…人間が持つ感情から芽生える愛の形は色々あります。

 

 対象が何であれ、誰でも愛する心を持っています。

 

シンプルなプロポーズ

 今も昔もラブソングが多数登場するヒット曲では、結婚をテーマにしたブライダルソングと呼ばれるジャンルが存在します。

 

 「家族になろうよ」も、2010年代の新たなブライダルソングとして支持をされ続けているようです。

 

 ブライダルソングは周りの人達がお祝いの気持ちを表現する作品もあります。親御さんの立場なら「娘よ」(1984年)、親友であれば「乾杯」(1988年)が思い浮かびます。

 

 "生涯愛し続けると誓っている気持ち"が描かれていると解釈できる作品が思いつきますが、結婚式の晴れ舞台よりもプロポーズの瞬間もドラマチックです。


 "これからの人生を、この人と共に歩もう!"と決断する瞬間を描いた作品・・・「Lifetime Respect」(2001年)、「明日への扉」(2003年)があります。

 

 男性のプロポーズを主題にした作品は1970年代から登場し始めています。「結婚しようよ」(1972年)や「関白宣言」(1979年)も、愛のあるプロポーズをしていると感じるものの、照れ隠しからか、主人公の個性が強調された作品が目立ちます。

 

共に築く家庭にも愛を

 愛する人に自分の愛情の深さを訴える歌。プロポーズを主題にした作品は、愛する人にのみ向けられている作品が多いように感じます。

 

 「家族になろうよ」で新しさを感じた事は、奥さんになる人に対する愛情だけではなく、これから二人で築いていく家庭についても触れている事です。

 

 "家族"というキーワードを用いている事に対して、これからの長い人生を共に歩む決心の固さを表現をしていると感じました。

 

 人生で最も長い時間共に生活する"家族"。近すぎるためか、お互いに愛の深さになかなか気付けないのが家族愛です。


 このテーマを取り上げるアーティストはさだまさしさんが思い浮かびます。

 

 「家族になろうよ」はきれいごとだけが語られるのではなく、きちんと"分かり合えない事もあるだろうけど、一緒に家庭を築くことができたら"と歌っています。

 

 

当たり前に存在していた絆

 「家族になろうよ」が製作されヒットしたのが、東日本大震災後だった事は興味深いです。

 

 街を壊滅させるほど自然の脅威が映像で報道され、絶望的なニュースが続いた3月は日本人の価値観を大きく変えたと思います。

 

 福山雅治さんは真っ先に希望を持つ気持ちを伝えたかったのだと思います。音楽配信が4月で、CD発売が5か月後の9月・・・特殊な事情が無ければ有り得ないです。

 

 

 「家族になろうよ」では"自分も成長して、親と同じように子供に愛情を与えることができるようになれれば"と、未来に向けた前向きな気持ちも歌われています。

 

 主題はレコードが生まれる以前から当たり前に存在する感情と思いますが、地味な主題のためか、あまり描かれなかったように感じます。

 

 

 "当たり前のように存在してきた愛のかたち"が主題なので、後世でも評価され続けると思います。

 

 未来では、「歌っている人は知らないけど、この曲知ってる!」というスタンダードナンバーになるのではないか?と想像しています。

 

 

参考資料

 「レコチョク」Webサイト

 「you大樹」オリコン

「会いたくて 会いたくて」西野カナ(平成22年)

流行時期(いつ流行った?)

 西野カナさんの「会いたくて 会いたくて」は、平成22年(2010年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると5月中旬に発売されたシングルCDは5月末に上位にランクインしています。

 

 音楽配信では3ヶ月上位にランクインし、100万ダウンロードを達成されています。

 

 

<レコチョク月間ランキング、配信認定の推移>

年月 順位 配信認定
平成22年05月 1位 着うたフル®(25万DL達成)
平成22年06月 1位 着うたフル®(75万DL達成)
平成22年07月 2位  
平成22年08月 13位 着うたフル®(100万DL達成)
平成22年09月 28位  
平成22年10月 39位  
平成22年11月 30位  
平成22年12月 24位  
平成23年01月 28位  
平成23年02月 69位  
・・・ ・・・  
平成23年12月 100位  
平成24年01月 86位  
平成24年02月 59位  
・・・ ・・・  
平成24年11月 - シングルトラック(10万DL認定)

 

 

 


www.youtube.com

注)西野カナ Official YouTube Channel 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

感情が伝わって来る歌詞

 様々なヒット曲を聴いていると、心情がダイレクトに伝わって来る歌詞に出会う事があります。

 

 個人的な感想ですが、"現在進行形の気持ちが綴られた歌詞"に多い気がします。「会いたくて 会いたくて」はこのタイプの作品です。数は少ないですが「私は泣いています」(1974年)あたりがルーツになるのでしょうか。

 

 "時間が経って気持ちを整理できた心理状態で過去を振り返る歌詞"も心情が伝わりますが、この作風は後からジーンと心に響いてくる感覚です。こちらは「香水」(2020年)や「ドライフラワー」(2021年)等、どの時代にも多数あります。

 

 

 リアルタイムの心境を描く作品は、"今とても幸せ"よりも"今とても悲しい"の方が支持される気がします。

 

 自分の気持ちの整理が出来ないくらい取り乱した心境が描かれますが、その後主人公がどうなったのか?は描かれません。

 

 救いの無い、終わらない悲しみは聴き手に伝わりやすいと思います。

 

 なかにし礼さんが「今日でお別れ」(1970年)や「ホテル」(1985年)で描かれた世界観に似ている気がします。

 

 

嫉妬心も感じる歌詞

 "リアルタイムの感情を歌詞にする事"はとても難しいと思います。

 

 生々しさは経験者でしか語れないと考えているからです。

 

 想像力だけで書けないと思います。実体験か、他の人の経験談を念入りに取材するくらいの努力が必要な作詞法と思います。

 

 「会いたくて 会いたくて」では別れを告げられた主人公の気持ちを整理できない心境が綴られますが、「今頃、あの子と楽しんでるの?」、「あの子と幸せになってほしいとは思わない」と明確に嫉妬する心境も描かれています。


 流行歌で嫉妬心を感じさせる歌詞・・・意外と思いつきません。「何んでもないわ」(1966年)はやきもち?、「怨み節」(1973年)は憎しみ、「まちぶせ」(1981年)は強がり・・・近い心情を描いた作品があるようで見当たりません。(このテーマ面白そうです。)

 

 

 流行歌はなぜか後世に茶化される事があります。これは悪い事では無く、それだけ愛されている作品に成長した証と思います。(調べるのは大変ですが、このテーマも面白そうです。)

 

 この曲の場合は、歌い出しのフレーズが愛されていると思います。

 

 冷静でいられない時、怒りに近い感覚を覚えたときは手が震えたりしますので、そういった心理状態を表現されているのだろう解釈しています。

 

 このような詞を書ける西野カナさんの才能を感じます。

 

 

参考資料

 「レコチョク」Webサイト

 「you大樹」オリコン

 「Discography | 西野カナ オフィシャルサイト (nishinokana.com)」Webサイト