流行時期(いつ流行った?)
美空ひばりさん、ジャッキー吉川とブルー・コメッツさんの「真赤な太陽」は、昭和42年(1967年)にヒットしました。
『レコードマンスリー』の月間売上ランキングによると、7月から9月にかけてヒットしています。
年月 | 順位 |
昭和42年06月 | 11位 |
昭和42年07月 | 2位 |
昭和42年08月 | 1位 |
昭和42年09月 | 2位 |
昭和42年10月 | 11位 |
昭和42年11月 | 14位 |
昭和42年12月 | 25位 |
参考)『レコードマンスリー』(歌謡曲)の月間ランキング推移
Hibari Misora with The Blue Comets "Makkana Taiyo (Red Sun)" in 1967
注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Nippon Columbia Co., Ltd.(COLUMBIA の代理)、その他 5 件の楽曲著作権管理団体の動画
美空ひばりさんと対等に扱われたブルコメさん
「真赤な太陽」は美空ひばりさんが歌っています。実際は、ジャッキー吉川とブルー・コメッツさんが歌うのは、終盤のコーラスでほんの少しだけです。
しかし、歌詞カードのクレジットは美空ひばりさんと対等に扱われています(下図)。左がA面、右がB面の表記です。
どのレコード会社でも、伴奏するバックバンドの名称は太字にはなりませんが、ブルコメさんは太字で印刷されています。
また、日本コロムビアさんは、編曲者の名前を記載しない習慣がありますが、井上忠夫さんの名前が印字されています。
「真赤な太陽」は6月発売ですので、楽曲が製作されている頃は、「ブルー・シャトウ」が大ヒットしていた頃と推測されます。
レコード会社としては、人気真っ最中のグループを普段通りの扱いに出来なかったのかも知れません。
新しい音楽を取り入れる美空ひばりさん
流行りのグループサウンズと組んで新曲を出す、という発想は面白い企画と感じます。
現在では、美空ひばりさんは演歌歌手に属すると捉えられていますが、1960年代以前、演歌という言葉が浸透する前から活躍されているので、演歌ではない作品も色々と歌われています。
なかでも、「お祭りマンボ」(1952)、「ロカビリー剣法」(1958)、「ひばりのドドンパ」(1961)と、流行りのリズムや音楽を新曲に取り入れた作品を発表されています。
そのためグループサウンズの作品を歌う事は、美空ひばりさんにとっては「それほど斬新な企画ではない」と受け止められていたのだろう、と感じます。
「真赤な太陽」は「ブルー・シャトウ」と同じリズム?
伴奏はジャッキー吉川とブルー・コメッツさんが担当していますが、作曲は別のバンドを率いる原信夫さんが担当しています。
そのため、メロディにはブルー・コメッツさんらしさをあまり感じません。しかし伴奏で気になる音が聞こえてきます。
「真赤な太陽」と「ブルー・シャトウ」は、楽譜では同じリズム型が印刷されています(下図)。
確かに、ドラムが記載されたリズムを刻んでいます。しかし、実際の曲では楽譜に記載されていない、下図のようなリズムが聴こえてきます。
私の耳では「・タッ・タッ・」と、2拍目の初めと3拍目の後半に聴こえてくるのですが、このリズムのほうが、ドラムよりも印象に残ります。
キーボードなのか、何の楽器で出している音色かは分かりません。
聴きなれないリズムの刻み方なので、印象に残っている方もおられるかも知れません。「ブルー・シャトウ」にも、このリズムは登場しています。
編曲が井上忠夫さんですので、「当時、このリズムを気に入っていたのかな?」と想像しています。
三田明さんの「夕子の涙」(1967)、中村晃子さんの「虹色の湖」(1968)でもこのリズムが聞こえてきます。
名前の分からないリズムですが、「ブルー・シャトウ」と「真赤な太陽」が立て続けにヒットした後、しばらくの間、流行していたように思われます。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「真赤な太陽」はAマイナー(イ長調)です。
用いられている音階はほぼ26抜き短音階です。サビの終わりに2つ目の音が登場します。
また、#11thのテンションと解釈できる音がメロディに登場しているように思います。
冒頭のイントロから登場しており、この作品のサウンドで重要な役割を果たしているように感じます。
曲情報
1967年 年間3位(歌謡曲)
レコード
発売元:日本コロムビア株式会社
品番:D-1
A面
「真赤な太陽」
作詞:吉岡治
作曲:原信夫
編曲:井上忠夫
演奏時間:2分38秒
ジャッキー吉川とブルー・コメッツ
B面
「やさしい愛の歌」
作詞:西沢爽
作曲:佐伯亮
演奏時間:3分6秒
原信夫とシャープス・アンド・フラッツ
制作担当:雨森康次
参考資料
「真赤な太陽」レコードジャケット
『レコードマンスリー』日本レコード振興
『全音歌謡曲全集16』全音楽譜出版社
「バンドプロデューサー5」