ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

幻のオリコンチャート1位曲「北国の二人」ジャッキー吉川とブルー・コメッツ(昭和42年)

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流行時期(いつ流行った?)

ジャッキー吉川とブルー・コメッツさんの「北国の二人」は、昭和42年にヒットしました。

 

集計日付 順位
昭和42年9月 13位
昭和42年10月 1位
昭和42年11月 2位
昭和42年12月 6位
昭和43年1月 13位

 ※『レコードマンスリー』洋;邦楽ポピュラーのランキング推移

 

 レコードマンスリーのランキング推移によると、10月から年末にかけてヒットしています。

 この年はグループサウンズがブームとなった年で、ブルコメさんの「ブルー・シャトウ」がレコード大賞に選ばれます。彼らの人気は1年中続いていた、と推測されます。

 

同時期に流行った曲

  グループサウンズ作品では、ザ・タイガースさんの「モナリザの微笑」ザ・ワイルド・ワンズさんの「青空のある限り」ヴィレッジ・シンガーズさんの「バラ色の雲」などがヒットしています。

 

 洋楽では、スコット・マッケンジーさんの「花のサンフランシスコ」モンキーズさんの「モンキーズのテーマ」が流行し、歌謡曲では、舟木一夫さんの「夕笛」佐良直美さんの「世界は二人のために」黒沢明とロス・プリモスさんの「ラブユー東京」が流行していました。

 


ジャッキー吉川とブルーコメッツ - 北国の二人 - 1967

※YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Nippon Columbia Co., Ltd.(Nippon Columbia Co., Ltd. の代理)の動画

 

1967年のオリコン実験ヒットチャート

 オリコンランキングは昭和43年(1968年)から正式に始まりました。日本で最も歴史が古く権威のあるヒットチャートです。

 

 実はオリコンは、前年の11月から実験的にヒットチャートを作成しており、現在も公開されていない謎のランキングがあります。

 その時の第1号の首位作品が「ラブユー東京」ではなく、「北国の二人」である事は、有名な話だと思われます。

 

 

誰でも見れるオリコン実験チャート 

 上位20曲ですが、オリコン実験チャートが海外誌『Billboard』に掲載されていました。

 

 Googleブックスで誰でも閲覧できる『Billboard』誌の、世界の国々のヒット曲を取り上げた“HITS OF THE WORLD”のページに掲載されています。

 

 ランキングを考えて、集計日付を逆算すると下記のようになります。

オリコン日付 ビルボード発売日 『GoogleBooks』リンク先 首位作品
1967/11/02 1967/11/18 『Billboard』1967/11/18発売号 「北国の二人」
1967/11/09 1967/11/25 『Billboard』1967/11/25発売号 「北国の二人」
1967/11/16 1967/12/02 『Billboard』1967/12/02発売号 「ラブユー東京」
1967/11/23 1967/12/09 『Billboard』1967/12/09発売号 「ラブユー東京」
1967/11/30 1967/12/16 『Billboard』1967/12/16発売号 「ラブユー東京」
1967/12/07 1967/12/23 『Billboard』1967/12/23発売号 「ラブユー東京」
1967/12/14 1967/12/30 『Billboard』1967/12/30発売号 「ラブユー東京」
1967/12/21 1968/01/06 『Billboard』1968/01/06発売号 「ラブユー東京」
1967/12/28 1968/01/13 『Billboard』1967/01/13発売号 「ラブユー東京」
1968/01/04 1968/01/20 『Billboard』1967/01/20発売号

↑この号のみ、直接該当ページに飛べません(>_<)

「ラブユー東京」

 

 “HITS OF THE WORLD”の、JAPANの下に記載されている「Original Confidence Co., Ltd」は、「株式会社オリジナル・コンフィデンス」の事であると推定できます。

 

 1968年1月4日がオリコンの公式ランキングの始まりですので、ビルボードの号を順にさかのぼると、1967年11月2日付のオリコンチャートにたどり着きます。

 

 確かに「北国の二人」が首位になっています。そして「ラブユー東京」は10週間首位を獲得した事になります。

 

 

 

歌謡曲化したグループサウンズ

  グループサウンズの衰退の背景は、本来の“若者が作るポップス”が始まりだったのに、いつの間にか受け手の解釈が“若者のアイドル的な存在”に定義されてしまった事と捉えています。

 

 オリコンが正式に始まった昭和43年(1968年)も、グループサウンズ人気は続いていました。黛ジュンさんの「天使の誘惑」がレコード大賞に選ばれるという事は、若者の音楽が強かった事を物語っていると感じます。

 

 しかし、もはやザ・タイガースさんやザ・テンプターズさんというスター性を帯びたメンバーがいるバンドしか支持されていませんでした。音楽面で評価されなくなっていたのではないか、と感じます。

 オックスさんも活躍されていましたが、レコードジャケットを見ると、「どこの国の王子様なんだろう?」と感じるファッションに身を包んでおられます。

 

 そして、エレキギターを武器に若者のためのポップスを開拓してきたブルコメさんや加山雄三さんの作品も、売れるためにか、歌謡曲の雰囲気を帯びた作品に変化していきます。ブーム後期のヒット曲、パープル・シャドウズさんの「小さなスナック」も歌謡曲調です。

 

 レコード会社は、グループサウンズ=若者の購買層の開拓、として取り組み、その役割を終えたと判断したのかな?と考えたりもします。

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」では、「北国の二人」はCマイナー(ハ短調)です。

 

 「何をもって歌謡曲と感じるのか?」を説明できる力がありませんが、聴いた感じでは、淡々と1番、2番と繰り返す盛り上がりの無さが印象に残ります。

 良い曲なのですが、心がそれほどワクワクしないから歌謡曲?と感じてしまうのかも知れません。

 

 

曲情報

1967年 年間14位(洋楽・邦楽ポピュラー部門)

 

 

レコード

 発売元:日本コロムビア株式会社

 品番:LL-10039-JC

 A面

  「北国の二人」

  英題:IN A LONESOME CITY

  作詞:橋本淳

  作曲:井上忠夫

  演奏時間:2分32秒

 

 B面

  「銀色の波」

  英題:LOVERS ON THE BEACH

  作詞:橋本淳

  作曲:井上忠夫

  演奏時間:3分9秒

 

  撮影:常世昌利

 

参考資料

 「北国の二人」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興

 『Billboard』海外雑誌

 『ORICON No.1 HITS 500  1968~1985 上』株式会社クラブハウス

 「You大樹」オリコン

 「バンドプロデューサー5」