ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「シーサイド・バウンド」ザ・タイガース(昭和42年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ザ・タイガースさんの「シーサイド・バウンド」は昭和42年(1967年)にヒットしました。

 当時の雑誌ランキングを見比べると6,7月に最もヒットしていたようです。

 

集計日付 レコードマンスリー ダンスと音楽
昭和42年5月 15位 11位
昭和42年6月 2位 2位
昭和42年7月 2位 2位
昭和42年8月 7位 2位
昭和42年9月 15位 圏外
昭和42年10月 圏外 19位

 

 

同時期に流行った曲(昭和42年6、7月)

 「シーサイド・バウンド」は2位どまりですが、ジャッキー吉川とブルー・コメッツさんの人気が高く、「ブルー・シャトウ」「マリアの泉」が首位となっています。

 ザ・ワイルド・ワンズさんの「夕陽と共に」がヒットし、ザ・カーナ・ビーツさんの「好きさ好きさ好きさ」がヒットし始めた時期です。

 

 歌謡曲では、伊東ゆかりさんの「小指の想い出」が首位となっています。布施明さんの「恋」菅原洋一さんの「知りたくないの」がヒットしています。

 

 橋幸夫さんの「恋のメキシカン・ロック」舟木一夫さんの「夏子の季節」西郷輝彦さんの「願い星叶い星」がヒットしていますが、勢いは減速している印象を受けます。

 若者の人気が、青春歌謡からグループサウンズに転換した時期という印象を受けます。

 

 洋楽ではトミー・ジェイムスとザ・シャンデルスさんの「ハンキー・パンキー」がヒットしています。

 

 


ザ・タイガースThe Tigers/シーサイド・バウンドSeaside Bound (1967年)

 

 

ニュー・リズムの“バウンド”がテーマの曲

 ザ・タイガースさんの作品と言えば、「花の首飾り」「モナリザの微笑」が真っ先に思い浮かびます。後年に再結成されたときの「色つきの女でいてくれよ」も悲しみを帯びたサウンドです。

 しかし「シーサイド・バウンド」は明るい曲調で、ザ・タイガースさんにとっては異色作と感じます。沢田研二さんが楽しく歌っているボーカルが印象に残ります。

 

 歌詞カードによると、タイトルの『バウンド』は、当時売り出そうとしていたニュー・リズムのようです。「一緒に踊りに行こう」と誘うセリフで始まりますが、踊りのステップはバウンドのようです。

 

 どうも、このリズムをレコード会社が宣伝して、ザ・タイガースさんの人気に拍車を掛けようとして企画したのかも知れません。

 

 ステップの図解が、レコード袋の中に同封されています。1970年代のディスコブームでよく目にする図説です。

 バウンドは、弾むようなステップのようです。

 

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「バウンド」のステップ

  

 このステップ資料をわざわざ別紙で同封している事を考えると、当時のポリドールさんが、ザ・タイガースさんを売り出そうとして、かなりの注力をされていたように推測されます。

 

 ダンスのステップは、この年に歌詞カードに記載され始めています。「恋のメキシカン・ロック」では『メキシカン・ロック』を売りにしていました。

 

 

 

 残念ながら、バウンドもメキシカン・ロックも、売り出そうとしたレコードしかヒットしておらず、ツイストゴーゴーほど流行していない印象を受けます(>_<)。

 

 

楽しく盛り上がっている姿が想像できる曲

 楽譜を見て気になるのは、メロディの音域が狭い事です。1オクターブ以内の音域、それもやや低め音域と感じます。

 おそらく、ボーカルが楽に発声できる音域で作られたのではないか、と推測されます。

 

 そして、メロディも同じ繰り返しばかりで、ボーカルが気楽に歌っている印象を受ける作品ですので、曲を聴くと、バンドの皆さんが楽しそうに歌っている姿がイメージできます。

 

 バンドの皆さんが楽しそうにしている、と感じるのは、間奏に吹き込まれている音声です。

 謎の絶叫から始まって、ジャングルで聴こえてくるような雄たけびが聴こえてきます。メロディのフレーズが終わるたびに「ゴー!ゴー!」という合いの手も聴こえてきます。

 同じフレーズが繰り返される曲ですが、終盤の沢田研二さんの「ヘイ、もう一丁!」というセリフも印象的です。

 バウンドのステップをずっと楽しんでいる若者の姿を想像できる演出がされていると感じます。

 

 

楽曲分析

 「シーサイド・バウンド」はEメジャー(ホ長調)です。メロディがシンプルで、何度も繰り返されるためか演奏時間も2分台で短めです。

 

 楽譜を見て、これまで取り上げてきた作品とは何かが違うとは感じるのですが、上手く説明が出来ません(>_<)。

 コードの構成音を意識して作られたようなメロディのような気がしています。

 

 主音のEが、E7で用いられている点が気になります。7つめの音が半音下がるので、長調ながらも悲しい感じの響きになります。

 

 作曲されたすぎやまこういちさんが、ただ、その悲しい響きを出したかったからそうしたのかも知れませんし、もっと音楽的に深い理由があるのかも知れません。

 

 また勉強して分かったことがありましたら、追記致します。

 

 

曲情報

1967年 年間8位(洋楽・邦楽ポピュラー部門)

 

 

レコード

 発売元:日本グラモフォン株式会社

 品番:SDP-2004

 A面

  「シーサイド・バウンド」

  英題:SEASIDE BOUND

  作詞:橋本淳

  作編曲:すぎやまこういち

  演奏時間:2分47秒

 

 

 B面

  「星のプリンス」

  英題:PRINCE IN THE HEAVEN

  作詞:橋本淳

  作編曲:すぎやまこういち

  演奏時間:3分28秒

 

 

参考資料

 「シーサイド・バウンド」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興株式会社

 『ダンスと音楽』ダンスと音楽社

 『全音歌謡曲大全集3』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」