ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「キープ・ミー・ハンギング・オン」バニラ・ファッジ(昭和44年)

f:id:hitchartjapan:20200516131712j:plain

流行時期(いつ流行った?)

 バニラ・ファッジさんの「キープ・ミー・ハンギング・オン」は、昭和44年(1969年)にヒットしました。

 

 シングル盤の解説には記載されていませんが、この作品は、シングル盤では3分弱の作品で、LP盤(『アートロックの旗手』)に収録されているバージョンは7分弱の作品になっています。

 

 『レコードマンスリー』の月間売上ランキングによると、それぞれ下記の売上推移を記録しています。

 

年月 シングル盤 LP盤
昭和43年11月 25位 -
昭和43年12月 圏外 26位
昭和44年01月 11位 12位
昭和44年02月 5位 8位
昭和44年03月 5位 11位
昭和44年04月 10位 圏外
昭和44年05月 27位 圏外

参考)『レコードマンスリー』の月間売上ランキング推移

 

 

 アルバムの邦題となっている”アートロック”と呼ばれるジャンルの作品に該当しているようです。

(この時期から、本当に洋楽のカテゴリが複雑化している事を感じます…(^^;A。)

 

 


Vanilla Fudge - You Keep Me Hangin' On (1967)

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 WMG(East/West の代理); LatinAutor, Warner Chappell, EMI Music Publishing, LatinAutor - SonyATV, CMRRA, SOLAR Music Rights Management, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM、その他 8 件の楽曲著作権管理団体

 

 

”アートロック”って何?

 「キープ・ミー・ハンギング・オン」は、”アートロック”に分類される作品です。

 

 LP盤の解説でも”定義が難しい”と記述されていますが、"アート"は"芸術"の事で、ヒット性ではなく芸術性を尊重しているロック・バンドの作品が、”アート・ロック”の定義となっているようです。

 

 線引きがあいまいな定義ですが、"表現者の独創性を鑑賞する"という楽しみ方を備えた、新しい音楽表現であると感じます。

 

 この作品は、ザ・シュープリームスさんの作品をカバーしており、バニラ・ファッジさんのオリジナル曲ではありません。

 

 バニラ・ファッジさんの楽曲を説明する際には、”他のグループの作品である事”は重要な点だと思うのですが、シングル盤の解説では触れられていません。

 

(シュープリームスさんのバージョンを聴いて、あまりの違いに驚きました(^^;A。)

 

 

聴き手の興味を惹きつける演奏

 ふいに流れて来る曲を聴いた時に「この曲は〇〇さんの作品だな!」と直感する事があります。歌っている人が別の人であっても気付ける事があります。

 

 楽曲を構成するメロディ?歌唱?、何に要因があるのかは分かりませんが、心のどこかが"〇〇さんの個性"を感じている事になります。

 

 「キープ・ミー・ハンギング・オン」は、バニラ・ファッジさんのオリジナル作品と感じてしまうような個性を持っていると思いますが、聴き手にそう認識させているのは、やはりバンドの演奏であると思います。

 

 音楽については素人なのでうまく説明できませんが、ボーカルが主役では無く、オルガン、ベース・ギター、ドラムも、ボーカルと同じくらい存在感を持つサウンドが印象に残ります。

 

 3分弱の演奏ですが、気付けば終わっているという印象を受ける作品です。おそらく演奏が絶えず変化していくからだと思います。

 

 流行音楽によくある1番、2番のように、同じ演奏を繰り返している部分が感じられません。

 

 楽曲のテンポが遅めで、すべての楽器が主張しているような音量になっているため、曲を聴きながらそれぞれのパートの音色を楽しめる演奏になっていると感じます。

 こういう音楽表現ができるバンドは凄い!と思います。

 

 

 音の厚みを感じる演奏で、自由に歌っているボーカルも印象的ですが、私は出だしや終盤に登場するソロ演奏のオルガンの音が最も印象に残ります。

 

 オルガンの音色は、後のエマーソン・レイク・アンド・パーマーさんの『展覧会の絵』(1972)に通じる響きを持っていると感じます。

 

 オルガンは、この時代の”前衛的”と形容される音楽作品で愛用されている印象を受けますが、この時代の電子オルガンは、独特で良い感じの音色が出ていると思います。

 

 

 

楽曲分析

 バンドプロデューサー5の分析では、「キープ・ミー・ハンギング・オン」はEマイナー(ホ短調)です。

 

 楽譜を入手できなかったので用いられている音階は分かりません(>_<)。また調べておきます。

 

 

 

曲情報

1969年2月のヒット曲 (洋楽・邦楽ポピュラー)

 

 

レコード

 発売元:日本グラモフォン株式会社

 品番:DT-1061

 

 

 A面

  「キープ・ミー・ハンギング・オン」

  原題:YOU KEEP ME HANGING ON

  演奏時間:2分58秒 

 

 

 B面

  「フォー・ア・リトル・ホワイル」

  原題:TAKE ME FOR A LITTLE WHILE

  演奏時間:3分25秒

 

 

参考資料

 「キープ・ミー・ハンギング・オン」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興

 「バンドプロデューサー5」