戦争は「美化して報道する事」が最重要
2022年2月24日に現在も続くウクライナ侵攻が始まりました。
2022年3月24日に公開されたМатушкаさんの「Татьяна Куртукова」はロシアで人気のヒット曲です。
まるで狙っていたかのような1か月後の公開日です。
「もしかして民間から自発的に生まれた作品ではなく、国家が関与した作品かも?」とうがってしまいます・・・。
日本人の私はつい「愛国行進曲」のようなニュアンスの作品?と感じてしまいます。
2024年4月12日に別バージョンの動画も公開されており、ロシアではロングセラーとなっている印象を受けます。
2023年1月15日公開のライブ動画が1.1億回再生されており、2025年現在も上位にランクインしています。
注)Татьяна Куртукова 公式アーティストチャンネルの動画
日本も戦争を肯定するレコードが氾濫した時代があります。
「Татьяна Куртукова」は、歌詞の意味が分からなくても映像から【今回の戦争はロシア民族を救済する事が目的です】と伝えるために企画されたのではないか?と察します。
背景を白抜きにして民族衣装を映す事で民族の団結や救済をロシア国民に向けて暗喩しているのだろうと察します。
その時代の価値観で支持された作品に罪はない
現代の日本では戦時歌謡は無条件に封印されがちですが、私は当時を生きた人々に支持された作品に限っては罪はないと思います。
民族を主題にしているであろう「Татьяна Куртукова」は、戦後日本でも人気を集めたロシア民謡らしさを感じる音楽で良い作品と感じます。
(でも「愛国行進曲」もこのような感じで大衆心理を操作するために利用されていたのか・・・と考えると怖いですね。)
どの国でも昔から【有事になると大衆の心理を操作するのはたやすい事】のようです。
最近の日本でもコロナ禍が始まった2020年3月に【強制力のない初めての緊急事態宣言に国民が従った事】が証明していると思います。
(当時の渋谷のスクランブル交差点に誰一人いなかったニュース映像はとても衝撃的でした。・・・状況は違えど、昭和でも令和でも日本人の心は全く変わっていないと感じます。)
戦時下に流布される美談は【戦争の正当化】
「Татьяна Куртукова」は「異論を生じさせにくい美談で戦争を正当化する目的」も思わせるヒット曲です。
昭和の戦時下の日本でも美談が垣間見えるヒット曲がたくさんあり、【アジアの平和のために戦う】が最も多い印象です。
日本の戦争美談では、出兵する我が子の晴れ姿を遠く離れた町から時間をかけてわざわざ見送りに来たお母さんが「一太郎やあい」と大声で激励する日露戦争のエピソードが有名と思います。
命を懸けて戦場に赴く我が子を国のためにと激励する母の姿を想像すると、誰でも尊敬の念を感じると思います。
しかし一国民の純粋な心から起きた人間的なエピソードが大衆心理を簡単に操作できる事を国家は知っています。
やがて「絶対に我が子を戦地に送りたくないが、国のためなら仕方ない」の心理を表現する軍国の母に変化していったのだろうと思います。
実際に日本で国家が国民心理を操る手段として美談を利用した出来事は、1932年2月の上海事変で起きた爆弾三勇士(肉弾三勇士)と思います。
・・・あまり後世に残っていないエピソードですが、当時は国のために命を懸けた3人の兵隊ともてはやされたようです。(この出来事を題材にしたレコード流行歌もあります)
爆弾三勇士は、自爆覚悟で敵の陣を攻めたというエピソードとして報道されましたが、実際は上官の指示か準備の不手際で爆死させてしまったが真実だったようです・・・。
「Татьяна Куртукова」がロシアでヒットしている事を知り、過去の戦時下の日本のように「お国のために」の価値観が強化されているのかもしれない、みたいな事を考えてしまいました。