ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「パートタイム・ラバー」スティービー・ワンダー(昭和60年)

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流行時期(いつ流行った?)

  スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)さんの「パートタイム・ラバー」(PART-TIME LOVER)は、昭和60年(1985年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると、10月初旬に発売されたレコードは、11月中旬~12月初めにかけてヒットしました。

 

 

同時期に流行った曲(昭和60年11月中旬~12月はじめ)

  小林明子さんの「恋におちて」小泉今日子さんの「なんてったってアイドル」が首位となっています。

 

 チェッカーズさんの「神様ヘルプ!」薬師丸ひろ子さんの「『野蛮人のように』より-ステキな恋の忘れ方-」レベッカさんの「フレンズ」がヒットしています。

 

 若者向けの音楽が、完全に流行の主役となり、そのなかで様々なジャンルの音楽が生まれ始めた時期であると感じます。

 

 


Stevie Wonder - Part-Time Lover

 

 

洋楽のシングル盤ヒット

  「パートタイム・ラバー」は80年代の洋楽らしさを感じます。例えが良くないかも知れませんが、聴いた印象が“良い感じのBGM”という存在に変化しているように感じられるからです。

 

 

 現在では、洋楽はアルバムチャートでの存在感が大きいです。昔のヒットチャートでは、シングル盤も定期的にヒットしていましたが、1970年代から減少傾向となり、ヒットの規模も縮小し始めました。

 翌1986~1989年は、洋楽シングル盤ヒットが1曲も誕生していません。洋楽のカバーで人気となった作品でも、原曲がヒットしませんでした。

 

 おそらく、日本のヒット曲のサウンドがポップス化した事が最大の要因であると感じます。日本人が作曲した作品でも、聴き手の欲求を満たせるようなサウンドを表現できるようになったからかも知れません。

 

 そして、レコード会社も「洋楽はもうシングルでは売れないみたいだし、アルバムで発売する事にしよう。」と判断されたように感じます。

 

 

無機質な打ち込みの16ビート

 “おしゃれなBGM”という印象を醸し出しているのがシンセサイザーの存在です。私は実物を見たことはありませんが、1970年代から登場したこの楽器はとても興味深い存在です。

 楽器と同時にコンピュータの側面を持つため、人間が演奏できない音色を出す事が可能になるからです。

 

 「パートタイム・ラバー」で言うと、終始刻み続けられる16ビートのリズムです。規則的に繰り返されるこのリズムは、とても人が演奏できるものでは無いと感じます。

 

 音色でも無機質さを感じる事ができます。1970年代のシンセサイザーは、温かみを感じますが、技術が進歩したのか1980年代には金属音のような冷たさを感じる音色で用いられるように変化したと感じます。

 

 マイケル・ジャクソンさんの『スリラー』(昭和58、9年)が登場した時期に変化している気がします。マイケル・ジャクソンさんをプロデュースされたクインシー・ジョーンズさんの「愛のコリーダ」(昭和56年)では、まだ温かみのある音色だと感じます。

 

 シンセサイザーはクールな響きを出すと同時に、無機質な繰り返しも出来るため、「スリラー」や「ゴーストバスターズ」のような、生命を持たないゾンビやゴーストを連想させる作品も誕生したのかな?と考えています(^_^;A。

 

 

楽曲分析

 「パートタイム・ラバー」はB♭マイナー(変ロ短調)です。

 

 スティービー・ワンダーさんもシンセサイザーの特性を理解されているようで、メロディも同じ繰り返しをすることを意識されているように感じます。コード進行もⅠmから順番に下降する進行が繰り返されています。

 ただ、同じメロディでもリズムを少し変化させるアレンジがされています。

 

 サビになると1オクターブ上の高さで歌われています。聴き手の立場では単純に“雰囲気の良い曲”と感じますが、それを表現するために多くのテクニックが用いられていると感じます。

 

 スティービー・ワンダーさんはリズムに合わせてアドリブの歌唱をされており、「パートタイム・ラバー」を簡単に歌いこなされている印象を受けてしまいます。

 しかし実際に楽譜を見ると、感じていたよりもボーカルの音域が広く、メロディのリズムも難しいので、改めて表現力の高さを感じます。

 なかなか聞き飽きない理由はこういったところにあるのだろう、と感じます。

 

 

曲情報

 発売元:ビクター音楽産業株式会社

 品番:VIPX-1820

 

 A面

  「パートタイム・ラバー」

  原題:PART-TIME LOVER

 

  TDK カセットテープAR TV-CF使用曲

 

 B面

  「パートタイム・ラバー(インストルメンタル)」

 

   原題:PART-TIME LOVER INSTRUMENTAL

 

 ARRANGER AND PRODUCED BY STEVIE WONDER

 Photography : Bobby Holland 

 

参考資料

 「パートタイム・ラバー」レコードジャケット

 「パートタイム・ラバー」ヤマハぷりんと楽譜

 「you大樹」オリコン

 「バンドプロデューサー5」