ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「怪僧ラスプーチン」ボニーM(昭和53年、昭和54年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ボニーM(BONEY M)さんの「怪僧ラスプーチン(RASPUTIN)」は、1978年の11月からヒットし始めました。

 

 『レコードマンスリー』の月間ランキングによると、10月末に発売されたレコードは、11月から翌年の1月にかけてヒットしています。

 

<『レコードマンスリー』洋楽・月間ランキング推移>

年月 順位
昭和53年11月 3位
昭和53年12月 4位
昭和54年01月 2位
昭和54年02月 11位
昭和54年03月 15位
昭和54年04月 25位
昭和54年05月 23位

 

 

 1978年は、映画『サタデイ・ナイト・フィーバー』が公開され、後世に語り継がれるディスコサウンドのブームが起きた年です。

 

 このブームは1978年にずっと続いていたと推測されます。年末に発売された「怪僧ラスプーチン」という奇抜な邦題に、当時のブームの熱狂を感じます・・・(^^;A。

 

 


www.youtube.com

注)Boney M. 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

リーダーは脇役で音楽が主役?

 レコードジャケットは"1本のロープにしがみつくメンバーの姿"でデザインされています。先頭に映っている方が上記動画のサムネイルの男性、ボビー・ファレルさんと思います。

 

 ボビー・ファレルさんはリーダーと思われますが、動画では歌唱よりダンスや演技が印象に残ります。(ほとんど歌っておられませんね(笑))。

 

 バンドやアイドルグループではメインボーカルに人気が集まりやすいですが、ボニーMさんの場合、事情が異なるのかも知れません。

 

 カリスマ性より音楽をみんなで楽しむ事を第一にする"盛り上げ役"のリーダーと感じます。

 

 

音楽性が語られないアーティスト?

 ボニーMさんは、同時期に活躍されたビー・ジーズさんやABBAさんに比べるとアーティスト性が重視される事が少ないと感じます。


 ビートルズさんやマイケル・ジャクソンさんのように、「作者が目指したのは何だろう?」と頂点を極めたアーティストは掘り下げて考察されがちですが、ボニーMさんはそういう視点で語られる事が少ない、という意味です。

 

 ボニーMさんの音楽は私でも理解できるくらい分かりやすいと思います。「主役は音楽、みんなで楽しもう!」という価値観を大切にされるアーティストと察します。

 

 "聴き手が楽しめる事を追及する姿勢"を感じますが、これが遠く離れた日本でも人気を集めた理由だと捉えています。

 

 

音楽は一人で聴くもの?みんなで楽しむもの?

 みなさんは音楽をどのように楽しまれておられますでしょうか。

 

 おそらく「複数の人と一緒に聴いて楽しむ」より、「イヤホンで一人で聴く」機会が多いと思います。

 

 "共有"ではなく"専有"で楽しむ。レコード化された音楽の宿命と思います。

 

 イヤホン世代の私にとって不思議に感じていますが、1970年代に登場したディスコ・サウンドは、”たくさんの人たちと一緒に楽しむ共有する音楽”として人気を得ていたように感じます。

 

 レコードは個人向けの音楽という価値観が定着した時代に、"大人数で一体感を得る事"を目的にしたディスコサウンドがブームとなった事は興味深いです。

 

 他のディスコサウンドの作品にも言える事ですが、このジャンルのアーティストで名前が思い浮かぶボニーMさんは、レコード音楽が表現しずらい共感より一体感を目指しておられたのだと解釈します。

 

 日本でも仕事歌や祝い歌のように、多人数で共有される民謡が古来から存在します。毎年聴こえて来る祭囃子も同じ性質を備えていると思います。

 

 もともと音楽は個人に向けて発信するのではなく皆で共有するもの、という根本的な事に気付かせてくれます。

 

 

ベースの存在感が目立つ70'sディスコ・サウンド

 1970年代のディスコ・サウンドには、"リズムではなくメロディを刻むベース音"も魅力的です。

 

 バンドでは「ベースはボーカルやドラムに比べると主張が控えめな役割」という話を経験者から聞いた事があります。「縁の下の力持ちの存在」という理由です。

 

 「怪僧ラスプーチン」でも感じますが、ディスコ・サウンドではベースが楽曲の主役に躍り出たように感じる作品も登場します。

 

 「おしゃれフリーク」(1979)の間奏のベースラインも主役に近い存在感がありますし、『サタディ・ナイト・フィーヴァー』のオープニングで流れる「ステイン・アライヴ」(1978)の冒頭でも感じる事が出来ます。

 

 

快楽を求め続けた象徴?

 ディスコ・サウンドは聴いていて本当に楽しいです。言い方が悪いかもしれませんが、"何も考えずに聴いていても楽しいサウンド"です。

 

 "聴き手の気分を高揚させる効果"を備えた音楽表現と捉えています。

 

 自分の心がどう働くのかは理解できていませんが、"曲を聴いて気分が盛り上がる"という事は、"快楽を刺激する要素を持っている"と感じます。

 

 ラスプーチンはロシア帝政末期に実在した人物で、世界史の教科書で太字では無かったと思いますが、"なぜか世間では有名な歴史上の人物"に該当します。

 

 教科書に載るような人類の発展に貢献していないものの、個人的な欲望を満たすために愚かな行いを選んだ人物として、からかわれながら後世に語り継がれている人物と解釈しています。

 

 ディスコサウンドで題材に選ばれた理由をなんとなく理解できます。

 

 

参考文献

 「怪僧ラスプーチン」レコードジャケット

 『レコードマンスリー』日本レコード振興株式会社