流行時期(いつ流行った?)
フィフス・ディメンション(The 5th Dimension)さんの「輝く星座(アクエリアス)」は、昭和44年(1969年)5月に発売され、6月から10月にかけてヒットしています。
ミュージカルのために製作された楽曲です。レコードには、「ラヴ・ロック・ミュージカル"ヘア"より」と印字されています。
<『レコードマンスリー』月間ランキング(洋楽)の推移>
年月 | 順位 |
昭和44年05月 | 29位 |
昭和44年06月 | 9位 |
昭和44年07月 | 6位 |
昭和44年08月 | 4位 |
昭和44年09月 | 5位 |
昭和44年10月 | 6位 |
昭和44年11月 | 14位 |
昭和45年01月 | 16位 |
昭和45年02月 | 18位 |
注)The 5th Dimension 公式アーティストチャンネルの動画
原題の"Aquarius"は"みずがめ座"になります。この曲のタイトルを「輝く星座(アクエリアス)」と意訳された方は、豊かな表現力をお持ちだと感じます(^^)/♪
日本で公演されなかった"幻の"ミュージカル作品
レコードの解説欄ではミュージカル『ヘア』について、
「(アメリカの広告を見ると”アメリカ種族の愛と、ロックのミュージカル”と書かれています)」
と、短い文章で説明されています。
洋盤では、情報が少ないため、海外でのリアルタイムの評判を先行して伝える解説をよく見かけます。
しかし「輝く星座」が発売された後も、日本で『ヘアー』は公演される事が無く、それ以上の情報が途絶えています。
"ミュージカル『ヘアー』の曲と知りながら、誰もそのミュージカルを見た事がない"…。
そのため、後世の日本では伝説のように紹介されている感じがします。
色々検索すると、40年以上経った2013年に初めて日本で上演されたようです。…遅すぎます(>_<)!
さらに、1969年当時のミュージカルで歌われていたのはフィフス・ディメンションさんではありません(オリジナル音源は下の動画を参照)。
フィフス・ディメンションさんは、当時話題だった『ヘアー』の作品をカバーしただけで、直接ミュージカルに関わってはおられません。
~オリジナルの「Aquarius」と「The Flesh Failures (Let the Sunshine In)」~
注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(RCA Victor の代理); UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, CMRRA, ASCAP, Sony ATV Publishing, SOLAR Music Rights Management, LatinAutorPerf, LatinAutor - SonyATV、その他 6 件の楽曲著作権管理団体
Hair - The Flesh Failures (Let the Sunshine In)
注)https://www.youtube.com/watch?v=xWBEam2U-KQ&list=PLmE-nbZ89BYZVdAmSxDyfh8yC8Eu2co4k&index=30 SME(RCA Victor の代理); LatinAutor, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, ASCAP, UMPG Publishing, SOLAR Music Rights Management, LatinAutor - UMPG, CMRRA, LatinAutor - SonyATV, LatinAutor - Warner Chappell, LatinAutorPerf、その他 4 件の楽曲著作権管理団体
サウンドに明らかな違いがありますが、どちらの歌唱でも"若者たちのあふれる力"を感じます♪(なぜそのように感じるかは、具体的には説明できませんが…(^^;A。)
フィフス・ディメンションさんは、ミュージカルで歌われる最初の「Aquarius」と最後の「Let the Sunshine In」の2曲をメドレーで歌われています。
"完成度が高い!"と感じる作品
日本で「輝く星座」がヒットした事と、ミュージカル『ヘアー』の作品だった事はそれほど因果関係は無かったと推測されます。
では「輝く星座(アクエリアス)」が日本で支持された理由は何だったのでしょうか?
ヒット曲は使い捨ての消耗品で製造され、おそらく人手も時間も掛けていない商品がほとんどと捉えています。
そのため、"ひとりの人間の胸の内"を描く作品が目立つのは止むを得ないと思いますが、「輝く星座(アクエリアス)」を聴くと"若者たちの湧き上がる活気"を感じます。
おそらく、コーラスグループが重視する美しいハーモニーに加えて、当時人気だったR&Bで表現されるリズム感が加わり、サウンドの幅が広がったからだと感じます。
2曲目の「レット・ザ・サンシャイン・イン」では、よりR&Bの雰囲気が強くなります。男性の歌唱がメインで、コーラスが裏方に変わった印象を受けます。
この歌唱は、当時の洋楽でも斬新な音楽表現だったと思います。「今まで聴いた事が無い!」と感じた方も多かったのではないか、と思います。
現在でも他に類の無い作品ですので、半世紀前の作品でも色あせないサウンドです。
"2曲をメドレーにした事"は、他に例が無いため、どうしても気になります…。
おそらくフィフス・ディメンションさんは、自分たちが本当に表現したかった音楽を「レット・ザ・サンシャイン・イン」の方で演じる、という結論に至ったのではないか?と考えています。
カバー曲ながら、編曲や構成が練られた作品と感じます。ヒット曲の世界ではあまり耳にしない、とてもクオリティの高い作品です♪
曲情報
1969年8月のヒット曲 (洋楽・邦楽ポピュラー)
レコード
発売元:東芝音楽工業株式会社
リバティ・レコード
品番:LL-2246
A面
「輝く星座(アクエリアス)」
原題:Aquarius/Let The Sunshine In
演奏時間:3分50秒
ラヴ・ロック・ミュージカル”ヘア”より
B面
「マジック・ガーデン」
原題:The Magic Garden
演奏時間:2分49秒
参考資料
「輝く星座(アクエリアス)」レコードジャケット
『レコード・マンスリー』日本レコード振興