ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「理由」中条きよし(昭和49年)

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流行時期(いつ流行った?)

 中条きよしさんの「理由(わけ)」は、昭和49年(1974年)にヒットしました。

 

 1974年10月初めに発売されたレコードは、翌月に最高順位となっています。

 

<『レコードマンスリー』歌謡曲・月間ランキング推移>

年月 順位
昭和49年10月 5位
昭和49年11月 4位
昭和49年12月 7位
昭和50年01月 26位

 

 


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作詞家の遊び心を感じる「うそ」三部作

 中条きよしさんは、同年に「うそ」(1974)が大ヒットしています。

 

 そして、「うすなさけ」、「理由」と3作続けてヒットが続きますが、この一連の作品で、ひとつの物語が成立しているような構成となっています。

 

 公にされない事が多いですが、ヒット曲には三部作と捉える事が出来る場合があります。映画や小説でも耳にする構成ですが、なぜ三部作なのかは分かりません。なにかのゲン担ぎでしょうか?

 

 こういった場合、同じメンバーで作品が製作される事が多いのですが、2作目「うすなさけ」の作詞家が、なかにし礼さんになっています。

 

<「うそ」三部作の製作陣>

タイトル 作詞 作曲 編曲
うそ 山口洋子 平尾昌晃 竜崎孝路
うすなさけ なかにし礼 平尾昌晃 竜崎孝路
理由 山口洋子 平尾昌晃 竜崎孝路

 

 なぜ担当が変わったのかは分かりません。当時、山口洋子さんが多忙だったのかも知れませんが、なかにし礼さんが「うそ」で描かれる物語の幅を広げているように感じます。

 

「うそ」の頃

 交際相手が浮気をしている事に感付いても、関係が壊れる事を恐れて問いただせない心理、疑いながらも好きな人と一緒にいる事を選んでしまう心理が描かれています。

 

 男性側も、浮気をしている事にうしろめたさを抱いているのか、遊び段階なのか、主人公に優しい言葉をかける関係です。

 

「うすなさけ」の頃

 恋人の心が冷めている事に気付きながらも、「この人と一緒に生きていきたい!」という想いから、色々と尽くす姿が描かれています。

 

 この時点では、交際相手が浮気をしている事を隠しながら、遠回しに「君を幸せする事は出来ない」と伝える場面が描かれます。

 

 二人の距離が離れ始めた事が明確に描かれます。

 

 

 なかにし礼さんは「『うそ』の主人公の恋は、実らないだろうね。」と感じられて「うそ」の後日談を執筆されたのでしょうか…(^^;A。

 

 

ひどい仕打ちを受ける主人公

 山口洋子さんが再び作詞を担当した「理由」では、主人公が交際相手と別れた事が報告されます。

 

 続けて、「この人とは、気持ちを通じ合う事は出来ない。」と感じさせる決定的な場面が語られ続けます。

 

 「なんでもない」と言いながら、全く救いの無い場面が生々しく描かれ続けます。

 

 

 私は2番の歌詞に衝撃を受けました。電話口での浮気相手の悪びれぬ態度や、問い詰めても話し合おうとしない交際相手の態度は、容易に背景を想像でき、頭の中で映像として思い描く事もできます。

 

 文字数に限りがあるにも関わらず、歌詞で鮮明に場面を描写できる作詞家の技術に驚くばかりです。

 

 秀逸すぎて、思わずニヤニヤしてしまいましたが、中条きよしさんも初めて歌詞を見た時は驚かれたのではないか?と想像しています。

 

 

 

 ・・・心変わりをした元恋人に非があるはずなのに、なぜか主人公が不利な状況が描かれ続ける。二人の作詞家が、この展開で物語を仕上げた事も興味深いです。

 

 おそらく、2作目になかにし礼さんが担当していなければ、山口洋子さんも「理由」を描けなかったのではないか?と想像しています。

 

 

曲情報

 発売元:株式会社キャニオンレコード

 品番:A-235

 

 A面

  「理由」

  作詞:山口洋子

  作曲:平尾昌晃

  編曲:竜崎孝路

  演奏時間:3分46秒

 

 

 B面

  「ゆめ」

  作詞:山口洋子

  作曲:平尾昌晃

  編曲:竜崎孝路

  演奏時間:3分47秒

 

 

 製作担当:金井謙一郎

 録音:佐藤広行

 デザイン:NPC護所野俊典

 フォト:佐野猛男

 

 

参考資料

 「理由」レコードジャケット

 『レコード・マンスリー』日本レコード振興株式会社

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン