流行時期(いつ流行った?)
山川豊さんの「アメリカ橋」は、平成11年(1999年)にヒットしました。
オリコンランキングでは、1998年2月に発売されたCDシングルは、11か月後の1999年1月に最高順位を記録しています。
およそ1年かけてヒットしたのは、1998年の紅白歌合戦で歌唱された事と思います。私も紅白で初めてこの曲を知りました。
最高順位は30位台です。細く長くで流行した作品と感じます。
演歌というよりフォークソングのような作品に感じます♪
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アメリカ橋はどこにある?
アメリカ橋は東京にあります。橋の下は川ではなく、山手線が走行しています。
歌詞では「どこにあるのか?」の描写が無く、東京も出て来ません。
作詞された山口洋子さんは「橋の所在地は説明する必要が無い」と判断されたのだと思います。
理由は、狩人さんが1979年に発売した同名異曲の「アメリカ橋」かも知れません。
こちらでは「アメリカ橋がどこにあるのか?」を、冒頭から詳しく説明されています。
アメリカ橋で偶然の再会?
流行歌では、"元恋人への慕情や、別れた事を後悔する未練"を主題にする作品が登場します。若い世代も取り上げる普遍的なテーマです。
このテーマは"二度と会う事が無い"という前提で描かれる事が多いです。
「アメリカ橋」はこのテーマに踏み込み、主人公が元恋人と再会した場面を描いています。
山口洋子さんは具体的な描写を省くことで、聴き手に色々な解釈ができるような詞を作られています。
「主人公が、"元恋人は人生を共にするべき存在だった事"に気付き、後悔している心境」が表現されています。
しかし、二人が付き合っていたのが何年前か?の描写がありません。
「お互いに家庭を持った後、たまたま再会した。」という解釈もできますし、「まだ独身の主人公が昔を思い出し、後悔の思いを胸に秘めて元恋人との思い出の地を訪ねた。」という解釈も出来ます。
演歌・歌謡曲はポップスに比べて歌詞の文字数が少ないです。
"歌詞で描かない余白を聴き手の想像にゆだねる表現"が、「アメリカ橋」をヒット曲にした最大の理由と感じています。
「アメリカ橋」は、この年の日本作詩大賞に選ばれています。・・・おそらく満場一致になるくらい秀逸な作品ではないか?と思います。
目立たずにロングセラー
山川豊さんのヒット曲は「アメリカ橋」と「函館本線」(1981)、「しぐれ川」(1990)しか存じ上げません・・・(^^;A。
不思議なことに3曲とも、ヒットチャート上はロングセラーながら最高順位はそれほど高くありません。
しかし、ロングセラーは"幅広い層に支持された作品"という記録になります。
私は"ヒットチャート上位にランクインしている=ヒットしている"という解釈がまかり通る時代を経験してきた世代です。
そのため、流行歌に関心が無い人が「誰が歌っているか知らないけど、聴いた事がある」という存在は本物であると考えています。
ネットの普及により、音楽配信からストリーミング(定額聴き放題)へと音楽の形態が変化してします。
これは、"生産者が消費者に与える時代"から、"聴きたい曲が支持される時代"に変化したのだと解釈しています。
・・・強引な結び付け方ですが山川豊さんのように、幅広い層に支持される作品を歌える歌手がこれからも登場するであろう事を期待しています(^^)/。
曲情報
発売元:東芝EMI株式会社
品番:TOST-5122
発売日:98.2.18
演奏:東芝レコーディング・オーケストラ
オリジナル・カラオケ 楽譜付
A面
「アメリカ橋」
作詞:山口洋子
作曲:平尾昌晃
編曲:矢野立美
収録時間:4分12秒
B面
「北国」
作詞:山口洋子
作曲:平尾昌晃
編曲:矢野立美
収録時間:3分46秒
※私の持っているシングルCDはセカンドジャケット盤です。
「新ジャケット版※内容に変更はありません」という注意書きが記載されています。
参考資料
「アメリカ橋」CDジャケット
「you大樹」オリコン