ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「二輪草」川中美幸(平成10年)

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流行時期(いつ流行った?)

 川中美幸さんの「二輪草」は、平成10年(1998年)1月に発売されました。

 

 ヒットしたのはソロで歌われた盤で、デュエット盤ではありません。この作品で1998年の紅白歌合戦に出場されました。

 

  オリコンランキングでは紅白効果の影響で、年末年始にヒットした形で記録が残っていますが、発売から半年後の6月下旬に突然人気が再燃し始めた推移も記録されています。

 

 弦哲也さんとのデュエット盤の発売は9月下旬ですので、他のきっかけがあったのだと思われます。

 

 


二輪草

注)川中美幸 - トピックの動画

 

 

人気を高めるきっかけになったイベント?

 歌詞が書かれた別紙には、『"川中美幸「二輪草~四季彩花~」カラオケ大会"開催』という告知も印刷されています(下図)。

 

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 締切りが、平成10年5月末日消印有効ですので、決勝大会は6月以降に開催されたと思われます。

 

 もしかすると、レコード会社が企画したこのイベントが「二輪草」の人気が向上するきっかけとなったかも知れません。

 

 演歌・歌謡曲歌手では"デビュー〇周年記念"作品で、売上が向上する事があります。このようなイベント開催が大々的に告知されているのは珍しく感じます。

 

 1980年代後半以降は演歌・歌謡曲部門のセールス低迷が続いています。

 

 すでに実績のある川中美幸さんの新曲でも上記のようなイベントが企画された事は、レコード会社が一丸となって「二輪草」のヒットを願っていた事も感じさせてくれます。

 

 

1990年代に支持された"夫婦愛"

  演歌の主題は、"未練"や"男気"を連想しがちです。しかし、1980年代に入ってからは"家族愛"を取り上げる作品が登場し始めます。

 

 初めに登場したのは、夫婦の愛情を題材にした五木ひろしさんの「おまえとふたり」(1979、1980)です。「二輪草」と同じ価値観で描かれた作品と感じます。

 

 この時期の演歌では、村田英雄さんの「夫婦春秋」(1979)も夫婦愛を取り上げています。

 しかし1967年発売の作品がカラオケブームで発掘された形であるため、私は「おまえとふたり」が夫婦演歌の第1号ヒットと捉えています。

 

 1980年には、川中美幸さんの「ふたり酒」もヒットしています。この作品も長年共に過ごす事で育まれた愛情が描かれていると思います。

 

 長い時間をかけて育つ愛情は、ポップスではなかなか扱う事の出来ないテーマです。

 

 ”夫婦愛”をテーマにした演歌は1980年前半でブームとなりましたが、それ以降はあまりヒットしていません。

 

 なぜ、1998年に「二輪草」が描いた夫婦愛が突然支持を集めたのか?が不思議ですが、2年後には大泉逸郎さんの「孫」(2000)もヒットします。

 

 "家族愛"はブームで終わるものではなく、流行歌の普遍的なテーマとして定着したのかな?と思います。

 

 

明るい声質が主題にピッタリ

 川中美幸さんの代表作と言える「ふたり酒」と「二輪草」は、ともに苦楽を共にした相手に対する愛情が歌われています。

 

 聴いていて、優しさや暖かさを感じる声質をお持ちの歌手と感じ、作品の主題にピッタリの歌声と感じます。

 

 音楽には、明るいメジャーと悲しいマイナーの調性が存在しますが、声質にも存在すると考えています。

 

 通る声、細い声、高い声、ハスキーボイスなど、声質を形容する言葉は色々あります。私は明るい声質の方は、波紋のように揺れているイメージを抱いてしまいます。

 

 個人的な感覚の話になりますが、川中美幸さんの歌声はメジャーと感じます。ビタミンボイスと称される三山ひろしさんも明るい歌声と思いますが、もしかすると、演歌歌手では珍しいかもしれません。

 

 歌謡曲系の作品を歌う山内惠介さんや、民謡のように高く伸びる歌声が特徴の氷川きよしさんや福田こうへいさんは、たとえ長調の作品を歌っていても、短調の哀愁を帯びた声質を感じてしまいます。水森かおりさんも、声質は悲しさを帯びているように感じます。

 

 2020年現在でも、川中美幸さんに続く、暖かい愛情、持続する愛情を歌いこなせる歌手はなかなかおられないと感じます。

 

 

曲情報

 発売元:テイチク株式会社

 品番:TEDA-10407

 

 トラック1

  「二輪草」

  作詞:水木かおる

  作曲:弦哲也

  編曲:前田俊明

 

 トラック3

  「伊豆夜情」

  作詞:水木かおる

  作曲:弦哲也

  編曲:馬場良

 

 

  【ニリンソウ】

  キンポウゲ科の多年草

  丘陵地帯とか山地の林下、やや湿った所に群生する。

  高さ15~30cm。4、5月頃2cmくらいの可憐な白い花を開く。

  花はおおむね二輪で寄り添って咲きこの名がある。

 

 

参考資料

 「二輪草」CDジャケット

 「川中美幸[二輪草(デュエット:弦 哲也):TEDA-10427] / TEICHIKU RECORDS」ウェブサイト