ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「心の色」中村雅俊(昭和57年)

f:id:hitchartjapan:20201014215223j:plain

流行時期(いつ流行った?)

 中村雅俊さんの「心の色」は、昭和57年(1982年)にヒットしました。

 

 オリコンや『ザ・ベストテン』のランキングでは、3月に入ってからひと月ほど首位を獲得し続けています。

 

 オリコンではサザンオールスターズさんの「チャコの海岸物語」が、この作品に阻まれて2位止まりとなっています。

 

 「心の色」は前年11月末発売ですので、ヒットするまで4カ月かかった事になります。

 

 

 中村雅俊さんにとって、本当に久しぶりのヒット曲です。

 

 おそらく、製作サイドの方の中にも「良い曲だけど、まさかヒットするとは!」と感じていた人が多かったのではないか?と感じます…(^^;A。

 

 近藤真彦さんや松田聖子さんが大人気のアイドルブームの時代でしたので…。

 

 

第一印象がパッとしないヒット曲

 私は「心の色」を初めて聴いたときに「?」と感じました。あまり印象に残らないというか、ピンと来ませんでした。

 

 "1回聴いただけでは、頭の中で解釈しきれない楽曲"という事だと思います。数は少ないですが、たまにこの性質の作品がヒットします。

 

 「心の色」がヒットするまで4か月かかった理由にもなると思います。

 

 

 …ヒット曲には、1度聴けば「なんとなくヒットしそう。」と感じたり、イントロの時点で「絶対ヒットする!」と感じたりするタイプの作品が存在します。

 

 ほとんどのヒット曲がこの性質を持っており、"万人に理解できる音楽"という解釈から、"ベタな"と形容される事があります。

 

 販売する側からすれば、"何度も聴かないと良さが分からない曲"は売りにくい商品なので、自然な流れと思います。

 

 

ドラマ挿入歌から主題歌へ

 「心の色」は、TBS系TV『われら動物家族』挿入歌です。

 

 視聴した事がありませんので調べてみると、第8話から主題歌に昇格したようです。当初は堀江淳さんの「ルージュ」が主題歌だったようです。

 

 途中で主題歌を入れ替える判断をした背景は興味深いです。

 

 ドラマで「心の色」が放送された事をきっかけに、楽曲の人気が高まった事を示しているようにも解釈できます。

 

 

静と動の差が大きい2部構成

 1回聴いただけでは良さが分からない理由は、サビまでの歌唱が印象に残らないからです。

 

 控えめな声量で途切れ途切れ歌うフレーズは、聴いていてあまりインパクトを感じません。

 

 伴奏もギター1つで、途中からピアノが加わりますが、雰囲気に変化は起きません。しんみりしたまま進行します。

 

 しかしサビのサンライズから、突然ベースやコーラスが加わり、様々な音が聴こえ始めます。

 

 サビまでの抑えていた部分が引き立つ編曲が行われています。

 

 おそらく、この"静"と"動"の激しい変化が1つの曲のなかで起きているために、1度聴くだけでは分からない要素になっているように思います。

 

 1度聴いて雰囲気が分かる曲は、テンションに変化が無い作品が多いです。「心の色」のように、緊張と緩和の差が激しい構成の作品はあまり存在しないので、解釈するのに時間が掛かるのだと考えます。

 

 こういった作風のヒット曲は、1970年代後半から登場し始めます。フォーク系の歌手に多い印象があります。因幡晃さんの「わかって下さい」(1976)が、第1号でしょうか?

 

 ドラマチックな響きを聴き手に与える楽曲構成であると感じます。現在、バラードと形容される作品に通じる音楽表現をしていると思います。

 

 

ヒットのその後

 中村雅俊さんは、桑田佳祐さんから「恋人も濡れる街角」(1983)の楽曲提供をされます。

 

 「恋人も濡れる街角」は2度目の楽曲提供で、最初は「マーマレードの朝」という作品だったようです。

 

 「心の色」は「チャコの海岸物語」と同時期にヒットしており、歌番組でお二人が直接会話する機会があったようです。

 

 中村雅俊さんが「提供してもらった前作は売れなかった。」と話したところ、桑田佳祐さんが「もう1回書かせてくれます?」と返答された事で実現したそうです。

 

 不思議な縁を感じるエピソードです。

 

 

曲情報

 発売元:日本コロムビア株式会社

 品番:AH-145-A

 

 A面

  「心の色」

  作詩:大津あきら

  作曲:木森敏之

  編曲:川村栄二

  演奏時間:4分31秒

 

  TBS系TV「われら動物家族」挿入歌

 

 B面

  「さらば涙・・・・・・風の彼方に」

  作詩:大津あきら

  作曲:鈴木キサブロー

  編曲:川村栄二

  演奏時間:4分31秒

 

 

 

参考資料

 「心の色」レコードジャケット

 『ザ・ベストテン』山田修爾 ソニー・マガジンズ

 「テレビドラマデータベース」Webサイト

 「TVでた蔵」Webサイト