流行時期(いつ流行った?)
ウルフルズさんの「ガッツだぜ!!」は、平成8年(1996年)にヒットしました。
オリコンランキングでは、1995年12月初めに発売されたCDは、3か月後の1996年2月にベストテン入りしています。
globeさんの「DEPARTURES」や、スピッツさんの「空も飛べるはず」、Mr.Childrenさんの「名もなき詩」がヒットしている時期に流行っています。
注)ウルフルズ 公式アーティストチャンネルの動画
当時、このようなPVが製作されていたのですね。
インターネットが普及した現在に流行っておれば、海外の人が視聴する可能性も高く、面白い事になっていたカモ♪と考えてしまいます。時代を先取りしている感じです。
熱量の多い"応援歌"
ヒット曲を分類すると、"応援歌"と言える作品が多い事に気付かれると思います。
"当たって砕けろ"と訴えるような「ガッツだぜ!!」は、まさにそのタイプの作品です。爆風スランプさんの「Runner」(1989)も、同じ性質を備えていると感じます。
年長者の視点ではなく、若い世代が同世代に向けてこの主題を扱い始めたのは、平成に入ってからでしょうか?
「愛は勝つ」(1991)や「それが大事」(1992)と、若者に向けられたポジティブ思考の作品が平成初期には目立ちます。
昭和では、さまざまな演歌で"耐える心理"が歌われてきました。それに共感する気持ちが、平成の若手アーティストが表現する"応援歌"に近いと感じます。
私が真っ先に思い浮かぶ作品は、水前寺清子さんの「三百六十五歩のマーチ」(1969)です。
また、"自らに与えられた使命を果たさなければならない境遇"が主題となる、映画『ロッキー』の主題曲(1977)や、「宇宙戦艦ヤマト」(1977)も、聴き手に勇気を生み出す効果を備えていると感じます。
ZARDさんの「負けないで」(1993)も応援歌と思いますが、"すでに頑張っている人に向けたメッセージ"のように感じます。今挙げた作品と比較すると、聴き手に訴える熱量は少なめな印象を受けます。
他人を励ますには、大きなエネルギーが必要です。音楽で表現するときでも同じ事で、自然と楽曲が"熱血さ"を帯びるのかな?と考えています。
人の心に作用するヒット曲
ヒット曲が生まれる理由は未だに分かりません。当たり前の事かも知れませんが、"聴き手の心にプラスの影響を与える働きがある事"、は理由の1つと考えています。
"聴き手の心理"と"音楽"。見えない者同士が一体どのように作用しているか?はきっと永遠に分からないでしょう。
ただ、わざわざ嫌なものを聴こうとはしませんから、流行った曲にはマイナスな要素は備わっていないのだろう、と捉えています。
プラスの影響は、今挙げた、応援歌のように冷めた気持ちを温める事かも知れません。
他にも、虚しい気分の穴埋めをしてくれる、単純なリズムで気分を盛り上げる、味のある楽曲を鑑賞して雰囲気を楽しむ、流行った曲を聴いて当時の思い出を振り返る、と聴き手の心理に与える影響は様々です。
ユーモアを交えた"応援歌"
ウルフルズさんは、「明日があるさ(ジョージアで行きましょう編)」(2001)もヒットします。
「ガッツだぜ!!」と同様、聴き手を励ます事が主題の作品ですが、どちらの作品でもユーモアを感じます。
本当は、爆風スランプさんやZARDさんのように、真面目に"勇気を持つ事"を伝えたいのかも知れませんが、やはり照れ臭さがあるみたいで、わざとおどけた作風にしておられるように感じます。
初めに挙げた平成の応援歌のなかで、歌い手の個性も感じる事が出来る作品です。
"応援歌"の性質を備えた作品は、普段は日常的に聴く事はありません。しかし、"たまにとても聴きたくなる!"という性質を持っています。
ヒットチャートでも登場する頻度が少なめですが、今後も似たような作品は登場するのだろうと思います。
曲情報
発売元:東芝EMI株式会社
品番:TODT-3628
トラック1
「ガッツだぜ!!」
作詞・作曲:トータス松本
演奏時間:3分40秒
トラック2
「いいたい事はそれだけ」
作詞・作曲:トータス松本
演奏時間:4分20秒
参考資料
「ガッツだぜ!!」CDジャケット
「you大樹」オリコン