ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「SONS OF THE SUN」麻波25(平成14年)

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流行時期(いつ流行った?)

 麻波25(まっはにじゅうご)さんの「SONS OF THE SUN」は、平成14年(2002年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると、4月末に発売されてから、すぐにベストテン入りしています。その後も順位を上げて、6月初週までトップテンにランクインしています。

 

 CDには記載されていませんが、『オリコン年鑑2003』のタイアップ情報には、大塚製薬さんのポカリスエットのCMソングと記載されています。

 

 


麻波25 SONS OF THE SUN 名曲 DRAGON ASH KJ

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 JVCKENWOOD Victor Entertainment Corp.; Muserk Rights Management

 

 

 ポカリのCMソングとして放映された期間は、「3/16~6/下旬」と記載されています。

 

 CDが発売される3月中旬から、テレビを視聴されている方々には「どういう曲か?」が伝わっていたように推測されます。

 

 発売後にランキングも上昇した事は、「あの曲って、この曲だったんだ!」という方も多かったと推測されます。前評判が高かった作品と思われます。

 

 

和製ヒップホップの音楽表現

  CDの帯に<ヒップホップ・ロック>と記載されています。

 

 歌唱のほとんどがラップ詞になっているので、ヒップホップと捉えてしまいます。しかし、終盤にドラムやギターのソロ演奏のパートがあり、ヒップホップがメインでは無いように感じます。

 

 また、ラップ詞と同じくらい伴奏にインパクトがあり、ヒップホップらしさをあまり感じないのが「SONS OF THE SUN」の特徴です。

 

 聴いていて重さを感じない点が、"ヒップホップらしくない"と感じる要素です。

 

 イントロで聴こえて来る金管楽器の演奏や、終始繰り返されるエレキベースのアルペジオが、軽さを生んでいる印象を受けます。

 

 おそらく、麻波25さんが本来目指す音楽と異なり、聴きやすいポップス調で編曲されたのかな?と感じます。

 

 金管楽器もエレキギターのベースもメンバーではない方の演奏のようです。

 

 

 メンバーのソロパートが存在する構成も面白いです。HUNTERさんとPASSERさんがラップ詞を担当されていますが、曲の後半にドラムのソロがあり、終盤にギターのソロ演奏があります。

 

 ドラムパートがあるなんて、まるで1950年代の洋楽のジャズ作品を思わせる構成です。

 

 それぞれの役割が目立つことなく、楽曲の雰囲気を損なわずに進行しています。楽曲の雰囲気がまとまっている=完成度が高い、と感じる要素です。なかなか聴き飽きない作品です。

 

 日本の音楽業界に根付いている、"海外の文化を解釈して自国風の音楽に取り入れる才能"はヒップホップでも健在です。

 

 

ヒップホップがブームとなった2000年代

 リズムに合わせて歌詞を歌う?スタイルは、1990年代に日本で流行し始めた音楽表現です。

 

 その存在は、1980年代中頃に登場し始めます。

 

 C-C-Bさんの「ないものねだりのI Want You」(1986)や吉幾三さんの「俺ら東京さ行ぐだ」(1985)がヒットしています。

 

 しかし、当時の聴き手が「これはヒップホップだ!」と解釈していたのかどうかは分かりません。

 

 おそらく「最新の洋楽の流行りを取り入れただけ」、「コミックソング」と解釈されて収束したと思われます。

 

 1990年代初め、B'zさんの「ZERO」(1992)や大黒摩季さんの「チョット」(1993)が、ヒップホップを新しい音楽表現として、先駆的にチャレンジしている印象があります。

 

 ただ、ラップ詞は曲全体のわずかな部分で、雰囲気作り程度の扱われ方をしている印象があります。

 

 その後も、サザンオールスターズさんや安室奈美恵さん、SPEEDさんと、当時の流行歌手の作品で、似たような形でラップ詞が用いられています。

 

 

 1999年にヒットしたDragon Ashさんが、日本語のヒップホップを実現した最初のアーティストと思います。 

 

 この後、ヒップホップをメインで取り入れた作品が登場します。リップスライムさんやm-floさん、KICK THE CAN CREWさん、ケツメイシさんが人気を集めます。

 

 2002年に続いて登場した麻波25さんも、この流行に乗った形で人気を集めたように思います。

 

 新ジャンルの音楽表現は多彩で、様々なアーティストの作品が登場します。レコード会社各社が競うからでしょうか、どの作品も個性的で聴いていて面白い作品ばかりです。

 

 きっと、グループサウンズフォークソングロックも同じような盛り上がりがあったのだろう、と感じます。

 

 

曲情報

 発売元:ビクターエンタテイメント株式会社

 品番:VICL-35378

 

 Happiness reigns the world of mach 25

 Walk the walk, with sunshine in your talk!

 

 トラック1

  「SONS OF THE SUN」

  Words by PASSER, HUNTER

  Music by PASSER

  収録時間:4分36秒

 

 トラック2

  「WAVE ON RHYTHM」

  Words by PASSER, HUNTER

  Music by SHAKAN' BASS

  収録時間:5分57秒

 

 トラック3

  「2MC + DBG(Original Version)」 

  Words by PASSER, HUNTER

  Music by YUICHI

  収録時間:4分17秒

 

 麻波25 are PASSER, HUNTER, YUICHI, SHAKAN' BASS, TOMO

 

 

参考資料

 「SONS OF THE SUN」レコードジャケット

 「バンドプロデューサー5」

 『オリコン年鑑2003』オリコン・エンタテイメント株式会社

 『SONS OF THE SUN』ぷりんと楽譜