流行時期(いつ流行った?)
アストロノウツ(The Astronauts)さんの「太陽の彼方に(原題:Movin')」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。
月刊ミュジック社発刊の『ミュージック・マンスリー』に掲載されている「今月のベスト・セラーズ」によると、5月から9月にかけてヒットしています。
7月に首位を獲得していますので、最も流行したのは7月と考えられます。
年月 | 順位 |
昭和39年05月 | 5位 |
昭和39年06月 | 2位 |
昭和39年07月 | 1位 |
昭和39年08月 | 3位 |
昭和39年09月 | 5位 |
昭和39年10月 | 10位 |
同時期に流行った曲(昭和39年7月)
邦楽盤では、三波春夫さんの「東京五輪音頭」が首位となっています。
石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」、西田佐知子さんの「東京ブルース」も人気です。
田辺靖雄さん、克美しげるさん、西郷輝彦さんと、若者に人気のある男性歌手の作品が多く、流行音楽を支える年齢層が若くなっていると感じるランキングです。
洋楽では、マット・モンローさんの「ロシアより愛をこめて」、ジリオラ・チンクェッティさんの「夢見る想い」、エルヴィス・プレスリーさんの「ラスベガス万才」などがヒットしています。
ビートルズさんが登場した年で、様々な盤がランキングに登場していますが、この時期は「プリーズ・ミスター・ポストマン」が人気を集めています。
注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(RCA/Legacy の代理); UMPG Publishing, UMPI、その他 2 件の楽曲著作権管理団体
大ヒットしたエレキギター演奏曲
「太陽の彼方に」はエレキギターの演奏のみの作品です。エレキ演奏曲、エレキインストと呼ばれるジャンルは、現在ではベンチャーズさんの活躍に結び付けられますが、日本に初上陸した1964年は、まだベンチャーズさんに人気は集まっていませんでした。
この作品は他のエレキサウンドのヒット曲に比べて、音色にエコーがかかっているような、リバーブの加工がされているのが特徴です。
エレキギターは電気で音を出す楽器なので、人工的に響きを変える事ができるようです。どういった技術を用いたのか分かりませんが、これまでの楽器では表現できない音色を再生できる事が特徴です。
1970年代に登場するシンセサイザーと同じように、音楽表現に革命的な変化をもたらした楽器と思います。
この作品がヒットしてから数年ほどはエレキインストの作品が多数登場しますが、音色に新鮮さが感じられた事がブームとなった要因かも知れません。
♪ノッテケノッテケの日本語詞
出だしのメロディを聴くと、"ノッテケ×2"という歌詞を一緒に思い出される方がおられると思います。
洋楽であれば日本語の歌詞を付けてカバーした盤が発売された時代で、「太陽の彼方に」は当時、藤本好一さんが日本語カバーした盤が発売されています。
"ノッテケ"と歌唱されていますが、多くの人に知られる程のヒットはしていないと感じます。
誰が歌った事で広まったのでしょうか。
エレキギターの演奏で活躍された日本人というと、寺内タケシさんや加山雄三さんが思い浮かびますが、「太陽の彼方に」のカバー盤がヒットした記録はありません。
お二方とも1965年から登場しますので、別の方と思われます。
色々考えましたが、日本語詞は1970年代初頭に活躍されたゴールデン・ハーフさんの歌唱で広まったのではないか、と推測します。
「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」が1972年に発売されています。オリコンの記録では7月下旬から8月初めにかけて、規模が小さいですがヒットしています。
オリコンの記録ではゴールデン・ハーフさんにとって最大のヒット曲となっています。おそらくテレビ出演で歌唱した事で多くの人に広まったのではないかと考えます。
楽曲分析
「太陽の彼方に」はEマイナー(ホ短調)です。
印象的なフレーズは8小節で作られています。演奏時間は2分に満たないですが、音の高さを変え、7回繰り返されます。
それだけの曲構成ですが、なぜかまた聴きたくなる作品、聴いていて楽しい作品です。
曲情報
1964年 年間3位(洋楽)
レコード
発売元:日本ビクター株式会社
品番:SS-1428
A面
「太陽の彼方に」
原題:MOVIN'
作曲:LEE HAZLEWOOD
演奏時間:1分56秒
B面
「ベビー・レッツ・プレイ・ハウス」
原題:BABY LET'S PLAY HOUSE
作曲:GUNTER
演奏時間:2分26秒
参考資料
「太陽の彼方に」アストロノウツ盤 レコードジャケット
「太陽の彼方に」藤本好一盤 レコードジャケット
「ゴールデン・ハーフの太陽の彼方」レコードジャケット
『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社
「you大樹」オリコン
「バンドプロデューサー5」