流行時期(いつ流行った?)
1910フルーツガム・カンパニーさんの「サイモン・セッズ」は、昭和43年(1968年)にヒットしました。
『レコードマンスリー』の月間売上ランキングによると、下記の売上推移を記録しています。
年月 | 順位 |
昭和43年06月 | 20位 |
昭和43年07月 | 9位 |
昭和43年08月 | 5位 |
昭和43年09月 | 2位 |
昭和43年10月 | 5位 |
昭和43年11月 | 8位 |
昭和43年12月 | 18位 |
昭和44年01月 | 20位 |
注)1910フルーツガム・カンパニー - トピックの動画
聴いて楽しいバブルガム・ミュージック
「サイモン・セッズ」を聴くと、”明るいポップス”という印象を受けます。それだけでなく、聴いている側が何も考えなくても楽しめるようなサウンドが印象に残ります。
テンポが速めで、歌唱が終わると短いブレイクで同じメロディが再び歌われます。その繰り返しのなかでドラムやコーラス、手拍子など様々な音が登場します。
たまに歌唱ではなく伴奏に変化する事もありますが、全体的ににぎやかで聴き手を飽きさせない工夫がされている印象を受けます。
音楽にも色々なタイプがありますが、歌い手が伝えたい想いに共感をしたり、歌唱力を味わうようなタイプの作品ではありません。
こういった音楽は、アメリカではバブルガム・ミュージックと形容されているようです。
”バブルガム=風船ガム”で、子供が楽しむお菓子のような音楽、というニュアンスで定義されているようです。
翌年にヒットするビートルズさんの「オブ・ラ・ディ、オブ・ラ・ダ」も同じカテゴリに属する作品と感じます。
「サイモン・セッズ」とは?
「サイモン・セッズ」はアメリカでは有名な遊びのようです。
和訳すると「サイモンが言う」となりますが、このゲームはその後に続く指示どおりに体を動かさなければいけない、というルールがあります。
歌詞カードの解説では、「むすんでひらいて」のような遊び、と説明されています。
「サイモン・セッズ」の動画では、途中から登場する人たちが、頭の上に手を置いたり、両手を振りながら左に傾いたり、そのまま右に傾けたりするシーンが登場します。
これは歌詞で歌われる通りに身体を動かしている様子を表現しています。(歌詞カードには和訳がありませんでした(>_<)。)
サイモン・セッズは日本ではなじみが薄いです。そのため、この歌がヒットする前から有名な遊びだったのか、この歌のヒットで再び人気に火が付いたのかは分かりません。
命令をする”サイモン”がどういった人物なのか全く想像がつきませんが、当時アメリカで放送されていたと思われる『おかしなカップル』というホームドラマで、「サイモン・セッズ」が登場する回があります。
その時の日本語の吹替では、「サイモンちゃんが言った~」と言っていた記憶があります。
どうやらアメリカでは、指示を出す”サイモン”は大人の司令官ではなく、幼い子供、というニュアンスで認識されているように推測されます。
「サイモン・セッズ」は、「まぁ、子供の言うとおりにしましょう。」みたいな感覚で楽しむ遊びで、指示の内容が簡単な動作である理由も、子供が考える命令だからなのかも知れません。
ヒット曲のその後
中学校の英語の授業で「サイモン・セッズ」が登場した記憶があります。この曲を知っている方が英語の教師だったとしたら、同じ経験をされた事がある方もおられるかも知れません。
日本人にとっては、英会話のリスニングのハンデがありますので、子供向けの遊びであっても頭を使う遊びだと思います。
しかし経験した記憶では、先生が優しかったからか、中学生にとっては簡単だったような気がします…(^_^;A。
小学校の教科で英語が必修となるようですが、リスニングを学ぶ機会として「サイモン・セッズ」を取り入れる授業が増えるのではないか?と想像しています。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「サイモン・セッズ」はB♭メジャー(変ロ長調)です。
用いられている音階はほぼヨナ抜き長音階です。サビの部分で4つ目の音が登場します。
用いられる音が欠けると、なぜか耳に残りやすい、なじみやすい要素を備えます。「サイモン・セッズ」が気楽に聴ける音楽である理由の一つになっていると感じます。
曲情報
1968年9月のヒット曲 (洋楽・邦楽ポピュラー)
レコード
発売元:日本コロムビア株式会社
品番:LL-2157-DA
BUDDAH RECORDS 原盤
A面
「サイモン・セッズ」
原題:SIMON SAYS
演奏時間:2分19秒
B面
「鏡の反射」
原題:REFLECTIONS FROM THE LOOKING GLASS
演奏時間:3分4秒
参考資料
「サイモン・セッズ」レコードジャケット
『レコードマンスリー』日本レコード振興
『永遠のポップス』全音楽譜出版社
「バンドプロデューサー5」