ヒット曲けんきゅうしつ

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「禁じられた遊び」か「愛のロマンス」か?

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「愛のロマンス(禁じられた遊び)」ヴィセンテ・ゴメス

流行時期(いつ流行った?)

 フランス映画『禁じられた遊び』で度々登場するギターの旋律は、ナルシソ・イエペスさんが演奏されています。当時発売されたレコードの曲名が、映画のタイトルと同じでしたので、日本では「禁じられた遊び」というタイトルで広まったようです。

 

 日本では『禁じられた遊び』がリバイバルで上映された、昭和37年(1962年)にヒットしています。

 

 

<ナルシソ・イエペスさんの演奏>


Narciso Yepes : " Jeux interdits " ( 1952 )

 

 

 元々は古くから歌われていた民謡を、スペインのギター奏者であるヴィセンテ・ゴメスさんが編曲された作品です。

 1941年(昭和16年)に公開されたアメリカ映画『血と砂』で初めて演奏されており、その時のタイトルが「愛のロマンス」でした。

 

 時系列で考えると、この作品は「愛のロマンス」が正確なタイトルと考えられます。

 

 

 1962年には、ナルシソ・イエペスさんの盤もヴィセンテ・ゴメスさんの盤もヒットしています。

 

 

日本ではどちらがヒットした?

 当時のレコード情報誌『ミュージック・マンスリー』に掲載されているランキングによると、下記の表のような推移となっています。

 

 ヴィセンテ・ゴメスさんの盤は昭和34年6月に発売され、ナルシソ・イエペスさんの盤は3年後の昭和37年8月に発売されています。

 

集計日付

ヴィセンテ・ゴメス盤

(テイチク)

ナルシソ・イエペス盤

(キング)

昭和37年5月 17位 -
昭和37年6月 圏外 -
昭和37年7月 12位 -
昭和37年8月 4位 圏外
昭和37年9月 1位 圏外
昭和37年10月 4位 8位
昭和37年11月 8位 9位
昭和37年12月 圏外 6位
昭和38年1月 11位 19位
昭和38年2月 12位 8位
昭和38年3月 16位 15位
昭和38年4月 16位 19位
昭和38年5月 19位 18位
昭和38年6月 圏外 13位
昭和38年7月 20位 圏外

 

 

 ランキングの推移を見ると、当時の日本では、ヴィセンテ・ゴメスさんのレコードの方が人気が高かったように感じます。

 

 

予想外に人気を集めた作品?

 『禁じられた遊び』がリバイバル上映されたのが、1962年の何月か?は定かではありません。

 ヴィセンテ・ゴメスさんのレコードが突然売れ始めた事を考えると、5月以前ではないかと推測されます。

 

 

 映画が予想外の人気となった事を知ってから、本家のサウンドトラック盤であるナルシソ・イエペスさんのレコードが数カ月遅れて発売されているように感じます。

 

 映画で聴こえて来たメロディが心に残ったので、当時、レコード店に向かった方が多かったと思います。しかし、サウンドトラック盤が発売されていなかったため、やむを得ずヴィセンテ・ゴメスさんの盤を購入された方も多かったのかな?と考えたりもします。

 

 また、ヴィセンテ・ゴメスさん盤のレコードジャケットには、映画の主人公と思われる男の子と女の子の写真が印刷されていますので、勘違いして購入された方もおられるかも知れません(>_<)。

 加えて、ジャケットでは「禁じられた遊び(愛のロマンス)」と表記しているため、レコード会社の方が、映画の人気に便乗したジャケットにしたのかも知れません。

 

 

<ヴィセンテ・ゴメスさんの演奏>


Romance de amour / Vicente gomez

 

 

 ヴィセンテ・ゴメスさんの演奏は、映画で流れていた音色よりも繊細で、やはりスペイン音楽特有の情熱的なギターの演奏となっています。

 

 同じメロディでも奏者が変わるだけでこんなに印象が変わってしまうところが、音楽の面白いところだと感じます。

 

 

同時期に流行った曲(昭和37年8月~11月)

 歌謡曲では、村田英雄さんの「王将」橋幸夫さんと吉永小百合さんのデュエット曲「いつでも夢を」が首位となっています。

 

 青春歌謡という言葉が当時存在したかどうか分かりませんが、北原謙二さんの「若いふたり」和田弘とマヒナスターズさんが吉永小百合さんと組んだ「寒い朝」と、若手歌手が歌う作品が多くなっているように感じます。

 

 その他には、西田佐知子さんの「アカシアの雨が止むとき」ハナ肇とクレイジー・キャッツさんの「ハイそれまでョ」ジェリー藤尾さんの「遠くへ行きたい」がヒットしています。

 

 洋楽では、ケニー・ボールと彼のジャズメンさんの「モスコーの夜はふけて」コレット・テンピア楽団さんの「太陽はひとりぼっち」が首位となっています。 

 

 シェリー・フェブレーさんの「ジョニー・エンジェル」コニー・フランシスさんの「ヴァケイション」パット・ブーンさんの「スピーディ・ゴンザレス」と、明るいメロディのアメリカン・ポップスが多くヒットしています。

 

 

 

楽曲分析

  ナルシソ・イエペスさん盤は、Eマイナー(ホ短調)から始まり、同主調のEメジャー(ホ長調)で終止しています。

 

 ヴィセンテ・ゴメスさん盤は、 E♭マイナー(変ホ短調)です。途中で同主調のE♭メジャー(変ホ長調)に変わる部分があります。

 

 

 シンプルなメロディが何度も繰り返されているため、記憶に残りやすいと感じますが、なかなか聴き飽きない不思議なメロディと感じます。

 

 

 曲情報

 ヴィセンテ・ゴメス盤

  発売元:テイチク株式会社

  レーベル:デッカレコード(DECCA RECORDS)

  品番:DS-133

  A面

   「愛のロマンス(禁じられた遊び)」

   原題:ROMANCE DE AMOR - Romanza

   演奏時間:2分50秒

 

  B面

   「セヴィリャーナスとパナデロス(血と砂)」

   原題:SEVILLANAS Y PANADEROS

   演奏時間:2分58秒

 

 

 ナルシソ・イエペス盤

  発売元:キングレコード株式会社

  レーベル:ロンドンレコード(LONDON RECORDS)

  品番:LED-260

  A面

   「禁じられた遊び 第一部」

   原題:JEUX INTERDITS 1st part

 

  B面

   「禁じられた遊び 第二部」

   原題:JEUX INTERDITS 2nd part

 

   昭映フィルム提供フランス映画「禁じられた遊び」主題曲

 

 

   1952年ヴェニス国際映画祭グランプリ/仏映画フェミナ賞/米アカデミイ賞外国映画賞/28年キネマ旬報ベストテン1位/文部省特選

 

   ルネ・クレマン監督・仏シルヴェル映画・昭映フィルム配給

 

参考資料

 「愛のロマンス(禁じられた遊び)」レコードジャケット

 「禁じられた遊び」レコードジャケット

 『洋楽シングルカタログ テイチク編』オールデイーズ

 『洋楽シングルカタログ キング編』オールデイーズ

 『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社

 「バンドプロデューサー5」