ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「シンシアのワルツ」パーシイ・フェイス管弦楽団(昭和31年)

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流行時期(いつ流行った?)

 パーシイ・フェイス管弦楽団パーシー・フェイス・オーケストラ)さんの「シンシアのワルツ」は、昭和31年(1956年)にヒットしました。

 

 『ダンスと音楽』の月間売上ランキングによると、SP盤が1956年の8月から11月にかけてヒットしています。

 EP盤は昭和31年9月に発売されていますが、昭和32年から集計が始まっているため、同時期に人気だったかどうかはわかりません。

 

 10年後の昭和42年5月に、再びランクインしています。レコードが再発売されたのでしょうか。

 

 

<「シンシアのワルツ」ランキング推移>

年月 SP盤 EP盤
昭和31年08月 7位 -
昭和31年09月 5位 -
昭和31年10月 5位 -
昭和31年11月 7位 -
昭和31年12月 11位 -
昭和32年01月 12位 6位
昭和32年02月 13位 8位
昭和32年03月 圏外 8位
昭和42年05月 - 13位

『ダンスと音楽』より

 

 

同時期に流行った曲(昭和31年9月、10月)

 スリー・サンズさんの「誇り高き男」が首位となっています。

 

 他には、ドリス・デイさんの「ケ・セラ・セラ」エルヴィス・プレスリーさんの「ハートブレイク・ホテル」などがヒットしています。

 

 

 


シンシアのワルツ(A Waltz For Cynthia)/パーシー・フェイス楽団

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(TP4 Music の代理)

 

 

 

深夜のラジオ番組からヒット

 レコードジャケットの解説によると、ラジオ放送局のニッポン放送で、深夜11時40分から放送されていた『ひとみの囁き』という番組のテーマ音楽に使用されていたようです。

 聞いた事の無い番組名で、「シンシアのワルツ」がオープニング曲として流れていたのか、エンディング曲だったのかは分かりません。

 

 B面の「恋をして」もラジオ番組のテーマ音楽ですが、こちらは『L盤アワー』です。

 

 ジャケットに“『L盤アワー』テーマ音楽”と印字されていますので、『L盤アワー』の方が人気番組だったと推測されます。

 

 今でいうタイアップ曲と言えますが、なぜかマイナーな番組のテーマ音楽に人気が集まった事は興味深いです。

 

 

 昭和31年の日本では、深夜のラジオ番組から「シンシアのワルツ」が流れていたという事になります。

 

 その事実を知ったうえで改めて聴くと、当時の世の中はどのような雰囲気だったのか?と色々思い浮かべてしてしまいます。

 『ひとみの囁き』はどのような番組内容だったのか、深夜に番組を聞いていた人たちはどういった方々だったのでしょうか。

 

 

もともとは映画主題歌

 ラジオ番組がきっかけで日本で知れ渡るようになった「シンシアのワルツ」は、もともとは、短編映画"A Prince For Cynthia"の主題曲である、という説明も書かれています。

 

 映画のタイトルが邦題で記載されておらず、『ダンスと音楽』で★マーク(映画関連の曲に付けられるマーク)が付いていない事から、日本では未公開だった映画のようです。

 

 当時の洋楽は、映画を通じてヒットする作品が多かったですが、ラジオ番組をきっかけに人気となった事がこの作品の特徴です。

 

 映画やラジオ番組とメディアが何であれ、ふと流れてきた「シンシアのワルツ」の作品の良さが、多くの人たちに伝わったのだと考えられます。

 

 深夜という時間帯も、曲の雰囲気を演出する効果があったのかも知れません。にぎやか過ぎず、落ち着いたサウンドは夜の静寂に合っていると感じます。

 

 

楽団が演奏する曲

 ラジオ時代は、オーケストラが奏でる演奏曲のヒットが目立ちます。

 

 ヒットした作品に共通するのは、一度聞くだけで覚えられるくらいの分かりやすさを備えている事です。そのシンプルなメロディを楽団で演奏している事です。

 

 大人数で演奏すると、シンプルなメロディでも、様々な楽器の音色を重ねる事でハーモニーが生まれ、複雑な構成、聴きごたえのあるサウンドになると感じます。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「シンシアのワルツ」はDマイナー(ニ短調)です。 

 

 途中から始まるオーボエのソロ演奏、奏者はミッチ・ミラーさんと書かれています。

 

 「シンシアのワルツ」の2年後に「クワイ河マーチ」がヒットする事になる方ですが、ミッチ・ミラーさんは米国コロムビアの文芸部長という肩書で紹介されています。

 

 レコード会社での文芸部長の職務が何かは全く分かりませんが、名前が記載されているという事は、当時レコード会社が売り出し中のアーティストだったのかもしれません。

 

 

 

曲情報

 発売元:コロムビア・レコード

 品番:LL-1

 

 A面

  「シンシアのワルツ」

  英題:A WALTZ FOR CYNTHIA

  作曲:グランツベルク

 

 

 B面

  「恋をして」

  英題:IN LOVE

  作曲:マスケローニ

 

  「L盤アワー」テーマ音楽

 

 

 

参考資料

 「シンシアのワルツ」レコードジャケット

 『ダンスと音楽』ダンスと音楽社

 「バンドプロデューサー5」