流行時期(いつ流行った?)
千昌夫さんの「津軽平野」は、昭和59年(1984年)にヒットしました。
1984年3月末に発売され、年末の紅白歌合戦で歌唱された事で人気が再燃したようで、翌1985年にも順位を上げています。
注)千昌夫 - トピックの動画
(もし可能でしたら、徳間ジャパンさんには公式フルコーラスMVの公開をお願いしたいと思っています。)
「待ち続ける心理」を描いた作品
【待つ心理】は様々なヒット曲で用いられている印象です。
【待ち続ける心理】を描いたヒット曲はなかなか思いつきません。
最初に思いついたのが「津軽平野」です。
1980年代初めには、「待つわ」(1982年)や「まちぶせ」(1981年)、「帰ってこいよ」(1980年)も思い浮かびます。
これらの作品は【待ちつづける辛さ】より【私のもとに早く来てほしいと願う】心理を強く感じますので、主題は異なると思います。
対義語か分かりませんが【勢いが止まらない心理】が支持される時代もあれば、【待ちつづける時代】もあるようです。
1970年代中頃に三善英史さんの「雨」(1972年)がヒットした頃からもしばらく支持されたように感じます。
小柳ルミ子さんの「冬の駅」(1974年)も待ち続ける主人公ですね。
【待ちつづける心理】のみで考えると、二葉百合子さんがカバーした「岸壁の母」(1976年)がヒットした理由も納得です。
「なぜ支持されたか分かりませんが、当時は【待ち続ける心理】が求められていた。」と思います。
当時の日本人が心の中で"何"を待ち続けたのか?とても興味深いです。
会いたい人に会えない心理
2020年代初めは新型コロナのパンデミックが人々を離れ離れにさせましたが、「津軽平野」では"降り積もる雪"が家族を離ればなれにさせる障害となっています。
出稼ぎに向かったお父(おどう)の帰りを春まで待ち続ける主人公は、雪を「憎い」とは思わず、「仕方がない、耐えるしかない」と捉えています。
私は雪国で生活した経験はありませんので、「津軽平野」で描かれるような"毎年冬になると家族が離れ離れになる事が当たり前だった時代"の辛さは想像できません。
「津軽平野」のように、辛さに耐えて待ち続ける心理を描いたヒット曲は意外と少ないかもしれません。
作詞・作曲された吉幾三さんは"人の優しさ"を表現されるアーティストと思います。
千昌夫さんが歌われていても、曲を聴くと「やっぱり吉さんが作った歌か」となんとなく分かります。
曲情報
発売元:株式会社徳間ジャパン
レーベル:キャッツ・タウンレコード
品番:CTS-2002
A面
「津軽平野」
作詞・作曲:吉幾三
編曲:京建輔
演奏時間:3分47秒
B面
「旅の居酒屋」
作詞:山田孝雄
作曲:桜田誠一
編曲:京建輔
演奏時間:4分15秒
参考資料
「津軽平野」レコードジャケット
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン