国難に支持が集まる子供向けの歌
大都市への空襲が本格化した昭和20年(1945年)に流行した「お山の杉の子」は戦前最後のレコード流行歌です。
レコードは3月に発売されていますが、その後レコードを製造する工場が空襲を受けたようで、それ以降レコードの生産は行われなかったようです。
「お山の杉の子」は子供たちが「お国のために」と歌う軍歌ですが、戦後には歌詞を書き直した希望の歌に生まれ変わっています。
当時の大人たちが「曲に罪はない」と判断し、歌詞を変えて子供たちに親しんでもらおうと動いたのだろうと感じます。
敗戦直前のような日本中が悲しみに暮れる状況はめったにありません。
戦後では、平成23年(2011年)の東日本大震災が同じ規模で悲しみに暮れた年と感じます。
この年も薫と友樹、たまにムック。さんが歌う「マル・マル・モリ・モリ!」がヒットしました。
【大人たちも辛い状況の時、子供向けの歌に希望を感じる心理】は存在すると思います。
東日本大震災が起きた時期にACジャパンのCMで何度も流れた「あいさつの魔法」にも似た心理が働いていたのではないか?と考えています。
ただし、希望ではなく怒り?というかうんざりの心理です。
この曲が茶化されたり、記憶に残り続ける理由と捉えています。
日本中に衝撃を与えた能登半島地震
2024年元旦に発生した能登半島地震は、どうしても「なぜ正月に起きるのか」という想いが拭えません。
翌日に羽田空港で起きた航空機事故にさらなる衝撃を受けました。全員無事に脱出された報道で心が救われました。
リアルタイム映像の刺激
元旦に発生した事に加えて、SNSに投稿されたリアルタイム動画がニュースで報じられた事も、ニュースを視聴する側に大きな心理ダメージを与えていると思います。
私は震度7を被災した事はありませんので文字でしか認識していませんでしたが、ニュースで映されたSNS動画で、川の水が左右に波打つ映像や地面が生きているかのように揺れる様子を見ました。
映像で震度7を見たのは今回が初めてかも知れません。
事故直後の旅客機内の映像もリアルすぎます。
心が痛む映像が生のままニュースで流されるので、見る側も気を付けないといけない時代になったと感じました。
不安な気持ちのサンドバッグ?
失礼ながら、東日本大震災当時は「あいさつの魔法」が何度も流れるので、「まーた流れてるよ」と、うんざりしていた記憶があります。
この曲を聴いて思い出すのは東日本大震災です。
本来の「あいさつは大切です」という主題は全く無視された作品と思います。
しかしこの作品は、当時の日本中が不安な気持ちのなか、図らずもイライラさせる心理に切り替えさせ、サンドバッグのように受け止める役割を果たしていた存在だったのかも知れないと感じています。
この曲がしつこく流れたおかげで、いくらか不安が解消された可能性を感じます。
こういった形で支持?された曲は他には全く思い浮かびません。