ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「美しい鰭」スピッツ(令和5年)

流行時期(いつ流行った?)

 スピッツさんの「美しい鰭」は令和5年(2023年)にヒットしました。

 

 moraさんのランキングによると、4月中旬に配信開始された作品は翌5月に最高順位を記録しています。

 

 昭和の感覚では納得できないかもしれませんが、ロングセラーの作品と感じます。

 

<mora~WALKMAN公式ミュージックストア~月間ランキング推移>

年月 4/10
配信開始
4/12
配信開始
令和05年04月 8位 31位
令和05年05月 7位 57位
令和05年06月 14位 圏外
令和05年07月 35位 圏外
令和05年08月 65位 圏外

 

 

 


www.youtube.com

注)spitzclips 公式アーティストチャンネルの動画

 

 

聴きなれない"鰭"で何をする?

 タイトルに用いられた【鰭(ひれ)】はヒット曲でも目にしたことのない漢字です。

 

 そのため最初は「何と読むのだろう?」が気になりますが、聴いているうちに【一体その鰭で何をするの?】が気になってくる作品と思います。

 

 

 作品を聴いて印象に残るのは【主人公が"何か"に対して抗おうという、前向きで心強い気持ち】です。

 

 

 【抗】という漢字もヒット曲ではあまり目にしませんが、【抵抗や反抗の"抗"】で目にすることがあり、強い意味を持つ漢字です。

 

 歌詞に【抗】が用いられたヒット曲には、「不協和音」(2017年)や「Cry Baby」(2021年)、「第ゼロ感」(2023年)が思い浮かびます。

 

 【"抗"=敵対する何かに全力で立ち向かう姿勢】を連想しがちなのは、表現するアーティストにとっても同じようです。

 

 上記3曲とも、歌唱や曲調で【全力で何かに立ち向かう姿勢】を感じる作品です。

 

 

 ・・・同じことを主題にしているはずの「美しい鰭」を聴いていても、その【切羽詰まった必死さ】を感じません。

 

 強者の余裕で必死さが無いのではなく、【自分が強いのか弱いのか分からないけれど「やってやろうじゃん!」と意気込む心理】を感じます。

 

 今までのヒット曲が描かなかった「今の自分自身を許容する心理」も含まれていると感じます。

 

 

 【抗う事】が主題ではなく【自分なりの抗い方】に掘り下げた「美しい鰭」の個性を感じます。

 

 

何十年経っても心に残る歌を作れるアーティスト

 流行歌手流行歌の寿命は数年程度と思います。

 

 大変失礼な表現ですが"新曲を売りにするレコード市場"は、生鮮食品と同じで賞味期限が短いと思います。

 

 ”飽きられたらおしまい"が前提の業界で【何十年経っても心に残る歌】は純粋に素晴らしい事だと感じています。(私がヒット曲が好きな理由です。)

 

 

 スピッツさんは「空も飛べるはず」「ロビンソン」などなど、何十年経っても多くの方々の心に残り続けるヒット曲を残すだけでなく、現在でも支持されるヒット曲を生み出されるアーティストです。

 

 「美しい鰭」が【初登場後にすぐヒットチャートから消えていくような作品】ではなく【今年のヒット曲】と感じる事が出来るくらいの記録を残している事が証明していると思います。

 

 

"タイアップ"はアーティストの力試しか都合の良い使い捨てか

 「美しい鰭」は映画『名探偵コナン 黒鉄の魚影』の主題歌です。

 

 2020年代のヒット曲は【人気のアニメやドラマ等の主題歌・挿入歌のタイアップが前提で曲作りが行われている】と感じる時代です。

 

 タイアップは戦前から行われている事なので違和感がないのですが、多すぎる気がし始めています。

 

 今は相乗効果となって、とても良い作品がたくさん生まれていると感じますが、【音楽を志したアーティストがタイアップありきで曲作りをする事は、本来したかった音楽を表現できなくなるさせる縛りになっているのでは?】と、モヤモヤ気になり始めています。

 

 肯定的に捉えれば自らの表現力を試すコラボと解釈できますが、映像作品のために利用されるだけのポジションという側面が気になります。

 

 依存関係のバランスを勝手に心配しています。

 

 

参考資料

 「音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~」