流行時期(いつ流行った?)
King Gnuさんの「SPECIALZ」は令和5年(2023年)にヒットしました。
現在放送中の『呪術廻戦・渋谷事変』のオープニングテーマです。
moraさんのランキングによると、配信が開始された9月に首位を記録しています。
年月 | 通常 | ハイレゾ |
令和05年09月 | 1位 | 15位 |
令和05年10月 | 5位 | 57位 |
令和05年11月 | 8位 | 79位 |
令和05年12月 | ? | ? |
注)King Gnu official YouTube channel 公式アーティストチャンネルの動画
「渋谷ハロウィン」は「群衆が生みだす制御不能の力」の象徴?
軽トラックが横倒しにされたニュース映像が代名詞の2018年渋谷ハロウィンは、多くの方の記憶に強く刻まれていると思います。
その2018年の渋谷ハロウィンが『呪術廻戦』の"渋谷事変"の題材になっています。
現実に起きた"暴徒化した渋谷ハロウィン"は実際には大した被害がなかったと思われます。
しかし現在も語り継がれるほど世間に衝撃を与えた理由は、【みなぎる力を持つ若者がたくさん集まり、誰も制御できない底知れぬ力が生まれた事に恐怖を感じたから】だと思います。
秩序を築いている人たち、その秩序に守られている人たちは【多くの人たちの力が集まると一夜で転覆される革命的なエネルギーが生まれる事】を心得ていると思います。
築かれた秩序が乱される、という本能的な危機感が記憶に残っているのではないか?と想像しています。
・・・2013年の渋谷は平和的で、日本が2014FIFAワールドカップブラジルに出場が決まった予選の日に、ユーモアを交えた交通整理で脚光を浴びたDJポリスが話題となっていました。
私は関西在住なので分かりませんが、渋谷に対して"正も負も入り混じり巨大なエネルギーが生まれる事がある街"という印象を持つようになりました。
それぞれの正しさが衝突する"渋谷事変"
私はアニメでしか見たことが無い派なので語る事がおこがましいですが、前のシーズンで『呪術廻戦』の面白さを知ってから「渋谷事変ってどんなストーリなんだろう?」と関心を持っていました。
まさかハロウィンの渋谷が舞台だったとは。
そして呪いを祓う事で辛い思いをしてきた一部の呪術師がテロを起こすシナリオに驚きました。
絶対的な悪が敵ではなく、同じ境遇の呪術師が「人間はそれほど守らなければいけない存在か?」という考えに至って去って行き、勝算が無いから策を練って命がけで勝ちに行こうとする背景を描いた渋谷事変は、読んだり視聴したりする人たちの心に訴える名エピソードと感じています。
プラスの感情もマイナスの感情も交じる【混沌とした群衆から生じる得体の知れないエネルギー】のなかで【考えを異にした正義が全力で立ちはばかる状況】はとても見ごたえがあります。
「SPECIALZ」はその渋谷事変の本質を見事に音楽化されていると思います。
歌詞は誰視点で描かれているのでしょうか。事件の首謀者、巻き込まれた非呪術師の一般人、事態を収めようとする呪術師、もしかして五条先生や宿儺の視点も含まれている?と、事件に遭遇した人たちの様々な心境が描かれているように感じます。
絶望か希望かは歌の主人公が誰になるかで変化し、いずれとも捉えられない"混沌"が表現されていると感じます。
こういった心情や状況を描いたヒット曲は聴いた記憶がありません。
普段透き通るような高音のボーカルが魅力的なKing Gnuさんが、あえて重低音を軸に歌われている事もこのエピソードを尊重されていると感じます。
途中に登場する女性ボーカル?のような声も印象的に残ります。
少しでもそういった演出があると曲の世界観が広がります。つい「LOVE PHANTOM」(1995年)を連想してしまいました。
参考資料
「音楽ダウンロード・音楽配信サイト mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~」