ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「六本木~GIROPPON~」鼠先輩(平成20年)

流行時期(いつ流行った?)

 鼠先輩さんの「六本木~GIROPPON~」は、平成20年(2008年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると6月中旬に発売されたシングルCDは、初登場と同時に最高順位を記録しています。ベストテン入りはしていません。

 

 CDより先に音楽配信が開始されています。

 

 日本レコード協会の配信認定によると、4月9日に配信が開始された着うたフル(R)が、同年10月にプラチナ(25万ダウンロード以上)を達成されています。

 

<レコチョク・月間ランキング推移>

年月 順位
平成20年06月 17位
平成20年07月 17位
平成20年08月 18位
平成20年09月 23位
平成20年10月 37位
平成20年11月 99位

 

 配信でも6月に突然人気を集めていますが、ヒットしたきっかけは全く分かりません。

 

 


www.youtube.com

注)UNIVERSAL MUSIC JAPAN 確認済みの動画

 

 

 ・・・歌謡曲調のコミックソングは、どうして良いメロディが多いのでしょう。

 

 

"言葉の繰り返し"の限界に挑戦

 言うまでもなく「六本木~GIROPPON~」の個性は、何度も繰り返され続ける"ぽっぽ"です。

 

 「一体、何度繰り返すのか?」。カウントする気持ちも失せ、教えてもらっても「ああ、そうですか」と思うくらいのしつこさです。

 

 しかし、「面白い!」と感じるのが不思議です。

 

 

 "同じ事を何度も繰り返す事で笑いを誘う"というテクニックは、エンターテイメントの世界では有名なようです。天丼と名付けられている技術のようです。

 

 ヒット曲の世界でも、歌の世界に引き込む作詞の技として"繰り返し"を採用した作品は存在しますが、名も無い作詞法のようです。

 

 私は歌と笑いは両立しない派ですが、天丼を取り入れた「六本木~GIROPPON~」は、"笑い>音楽"を実現したヒット曲に名を刻んだ作品と感じます。

 

 作品がヒットした理由のひとつにもなっていると思います。

 

 

 "天丼"で思い付くのは、「昔、月亭可朝さんが『ほんまにほんまでっせ』だけ言い続けて高座の出番をやってのけた」という話です。

 

 何のTV番組で話されていたのか覚えていませんが、「その高座では、最初はお客さんもいぶかしんでいたんですけど、だんだんバカらしさが面白くなって来たんでしょうね、最終的にとてもウケてました(笑)。」とおっしゃられていました。

 

 

"繰り返し"はヒット曲の世界でも

 歌の世界でも"同じ言葉を繰り返すテクニック"は存在します。お笑いと違いテクニックに名称は無いようです。

 

 ヒット曲の場合は"歌唱が始まった時点でいきなり数回繰り返す"という手法で用いられます。聴き手にインパクトを与える演出と思います。

 

 調べきれていませんが、印象に残っているのは2回繰り返す作品です。

 

 "徐州、徐州と・・・"(「麦と兵隊」(1938年))や、"利根ーーのー、利根の"(「大利根無情」(1959年))が思い浮かびます。

 

 

 2回は文学的に許容範囲のようです。名句を詠んだ歌人の"松島や"のように、3回繰り返すとやや話題になり始めます。

 

 ヒット曲で3回繰り返したのは、”泣けた”や"惚れて"の「別れの一本杉」(1955年発売)、「哀愁列車」(1956年発売)です。

 

 1960年代に、歌い出しではなく曲の途中で"汽笛が"を3回繰り返す「涙の連絡船」(1966年)が登場します。

 

 3回がギリギリOKと思います。

 

 これ以降、インパクトを与えるために何度も繰り返す手法が目立ち始めます。1960年代末の「あなたのブルース」(1968年)や1970年代の飛んで回る「夢想花」(1978年)。

 

 「夢想花」は後世に面白おかしく語られている印象があります・・・。この作品ではヘミオラというテクニックが用いられているようです。

 

 

 繰り返しは他にも手法があります。

 

 歌詞が七五調だった時代には、例えば『あすは火曜日、火曜日あすは』のような繰り返しがあったような気がします。

 

 

繰り返しはアリかナシか

 繰り返しの限界に挑戦された「六本木~GIROPPON~」は、個人的に画期的な作品と思います。

 

 曲の前半は普通に心情が語られ、後半から謎の"ぽっぽ"が始まります。

 

 言葉に出来ないけど抑えられない感情が暴発した、という事を表現したのでしょうか。

 

 曲の終盤に"ぽっぽ"でフェードアウトして「やっと終わった~」と思わせてからのフェードインはずるいです。しつこすぎて、さすがに笑ってしまいました。

 

 

曲情報

 品番:UPCH-5544

 発売日:08.6.18

 

 1

  「六本木~GIROPPON~」

  作詞:松嶋重

  作曲:松嶋重、古閑慎太郎

  編曲:堀田健志

 

 2

  「みずかけ論」

  作詞:松嶋重

  作曲:松嶋重、古閑慎太郎

  編曲:堀田健志

 

 3

  「六本木~GIROPPON~(オリジナルカラオケバージョン)」

 

 4

  「みずかけ論(オリジナルカラオケバージョン)」

 

 

 六本木~GIROPPON~

  エレキギター:榊原秀樹

  ギターソロ:古閑慎太郎

  キーボード、プログラミング:堀田健志

  コーラス:松島重、滝沢乃南

  コーラスアレンジ:田中翔悟

 

 みずかけ論

  キーボード、プログラミング:堀田健志

  チェロ:古川淑恵

  コーラス:松島重

  コーラスアレンジ:田中翔悟

 

 

  エグゼクティブプロデューサー:松島重(C to X)

  アーティストマネージメント:古閑慎太郎

  ミキシングエンジニア:柏木稔(C to X)

  レコーディングサポート:田中翔悟(C to X)

 

  レコーディング&ミキシング @C to X soundstudio

 

  A&Rディレクター:青木良輔(ユニバーサルJ)

  プロダクトマネージャー:池田安寿(ユニバーサルJ)

  セールスプロモーター:平野哲男(ユニバーサルJ)

 

  スーパーバイザー:後藤知義(五百十)

 

  デザイン:澤山卓也

  写真:原章

  ヘアメイク:フクヤマヒロシ

  スタイリング:松島重(C to X)、野本巧

  アートワークコーディネイション:下前信喜(FELLOW SHIP)

 

  スペシャルサンクス:

  表面上の私の友人たち、ファンクラブの皆様、全M男、

  そして御年鼠年と私を盛り上げて下さったユニバーサルミュージックの皆様

 

  美馬鈴香(club MEMORY)、松本和彦、多賀谷樹、

  たけだしんいち、サトル佐山、野本さん、M性感ビーチクボーイズ、バーバー暁、De+LAX、ERF、占い師の赤城龍さん、Ray

  

参考資料

 「六本木~GIROPPON~」CDジャケット

 「レコチョク」Webサイト

 「you大樹」オリコン

 『歌謡曲の構造』小泉文夫