いつ流行った?
TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Cauetさんの「Zidane y va marquer」は、2006年1月、2月にヒットしています。
タイトルをGoogle翻訳すると「ジダンはそこで得点します」という意味になります。
W杯が開催された2006年にヒットしていますので、フランス国民が期待する心情が加味されて「ジダンがゴールを決めるぞーー!!!」みたいなニュアンスになるのだろうと思います。
カリスマ性を持つ選手に期待するファン心理、スタジアムの熱狂が伝わる作品です。
注)コー - トピックの動画
何を話されているのかは分かりませんが、間奏の実況中継も面白いです。
歌っているCauetさんはTV業界では司会者?実況中継の方?のようです。
フランスのYoutuber事情は存じ上げませんが、登録者数数345万人の人気Youtuberでもあるようです(2022年5月現在)。
2006年はジダンの年
勝利すればお祭り騒ぎ、優勝すればもっとすごい事になるW杯。
フランスでは2018年に優勝した時、20年前のアンセムが1位になるという記録が残っています。
W杯のヨーロッパでの盛り上がりは想像以上だと感じます。
(日本に置き換えると規模が小さくなりますが、関西在住の私は"フランスのW杯での盛り上がり"は"関西の阪神タイガースのファン心理"に近いと感じています。優勝した年はすごい事になります。)
2006年のワールドカップはドイツで開催されました。日韓開催の2002年の次になります。
この年のW杯は、関心がない方でも”フランスのジダン選手が相手チームの選手に頭突きをした。おそらく相手選手の非道徳的な言動がきっかけになったのではないか?”と報道されていた事が記憶に残っているかも知れません。
なぜかフランスでは、その出来事を題材にした「Coup de boule」(タイトル和訳「頭突き」)がヒットしています。(「Zidane y va marquer」よりヒットした感じで、謎の国民性を感じます・・・。)
「Zidane y va marquer」は、問題の試合が行われる前に発売されヒットしたと思います。
"フランス国民が純粋に人気選手に期待を寄せる心理"から支持されたと思います。
タイトルに実在の人物を用いる?!
"曲名に実在の選手名を用いる事"は日本人の私にとっては斬新に感じます。
日本人の感覚では、流行歌に個人名を出す事はためらわれると思います。
おそらく「サウスポー」(1978)の”一本足で”という表現で王選手を連想させるような距離感が必要です。
しかし、フランスでは「誰もが知っているなら実名を出してもいいじゃないか!」という価値観が存在するようです。
(・・・そういえば、秋元康さんは「迷惑でしょうが・・・」(1987)で八代亜紀さんのお名前を出されていますね。これは例外です。)
「燃えよドラゴンズ!」的な存在?
Cauetさんのチャンネル動画には、歌詞を変えた「Payet y va marquer」が投稿されています。
2010年版で、Zidane(ジダン)がPayet(パイエ)に代わっています。
当時の人気選手の名前に置き換えて歌い直されているようです。
この発想は中日ドラゴンズさんの応援歌「燃えよドラゴンズ!」(1974)に通じると思います。
「Payet y va marquer」は単に選手名を変えるだけではなく、なぜか歌詞に"ビデオ"が登場したり、"試合中継を一時停止する映像"が映ったりします。
どうもこの年に南アフリカで開催されたW杯では、後々ビデオ判定が導入されるきっかけとなった誤審があり、その事を取り上げたのかも知れません。
W杯はみんなで盛り上がる事が目的
Cauetさんは、あえて2010年バージョンを作られたのだと思います。
コロナ禍の2021年に「Kylian y va marquer」を投稿されています。
ジダン→パイエ→キリアンと選手は変わっても、ファンは自国のチームを応援し続けているのだと感じる事が出来ます(^^)/♪
おそらくW杯の大ファンで、純粋に観戦する事が出来なくなった危機が生まれた時だけ、異なるバージョンの「〇〇 y va marquer」を発表されているだろうと感じます。
Cauet さんが1ファンとしてワールドカップを盛り上げたい!という想いが秘められた作品と感じます。