ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「軍艦行進曲(軍艦マーチ)」(昭和5年発売)

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隠れたヒット盤「軍艦マーチ」

 『売上實数ヨリ見タル流行歌「レコード」ノ變遷』(昭和十三年二月末調査)によると、昭和5年(1930年)6月に発売された「軍艦行進曲」は112,718枚の売上を記録しています。

 

 戦後は「軍艦マーチ」という名称で定着している印象があります(戦前にも「軍艦マーチ」と表記する書籍が存在しています)。

 

 戦後はパチンコ店で流される事が多かったようですが、現在でも海上自衛隊音楽隊で受け継がれている作品です。

 


www.youtube.com

注)防衛省 海上自衛隊 公式チャンネルの動画

 

 

 曲の途中に「君が代」のようなメロディに変わります。この曲は「海行かば」(明治13年製作)という作品です。

 

 昭和5年に発売されたレコードも、間に「海行かば」が挟まれる構成になっています。

 

 

「軍艦マーチ」の歴史

 歴史のある作品なので関連する出来事を年表にします。

 

西暦 元号 出来事
1893年 明治26年 『小學唱歌』巻之六下に、鳥山啓作詞、山田源一郎作曲の「軍艦」が掲載
1894年 明治27年 日清戦争
1897年 明治30年 鳥山啓作詞「軍艦」に瀬戸口藤吉が別メロディを作曲
1900年 明治33年4月 【誤った通説】初公演後、タイトルを「軍艦行進曲」に改作
1904年 明治37年2月 日露戦争
1930年 昭和5年6月

ポリドールより「軍艦行進曲」(品番:P-333)のSP盤が発売

演奏:獨逸ポリドール軍楽隊

1931年 昭和6年9月 満州事変
1937年 昭和12年7月 盧溝橋事件
1938年 昭和13年2月 「軍艦行進曲」(品番:P-333)が累計売上112,718枚を記録
1941年 昭和16年11月 作曲者:瀬戸口藤吉さん死去
1941年 昭和16年12月 太平洋戦争
1945年 昭和20年8月 終戦
1951年 昭和26年 「軍艦マーチ」がパチンコ店で流される。
1952年 昭和27年 海上警備隊音楽隊発足
1961年 昭和36年 海上自衛隊、「軍艦」を儀礼曲に制定
1983年 昭和58年 第9回先進国首脳会議(アメリカ開催)でアメリカ陸軍軍楽隊が「軍艦」を演奏
1991年 平成3年 作曲者没後50年経過により、著作権保護期間が終了
2010年 平成22年 YouTube「防衛省 海上自衛隊 公式チャンネル」開設
2013年 平成25年 練習艦隊がミャンマー連邦共和国を初訪問した際、同国海軍軍楽隊が「軍艦」とソックリの曲を演奏
※「ミャンマー・ドゥー・イェ・タッマドウ(Myanmar Doe Ye Tatmadaw)」
2019年 平成30年11月 「国立国会図書館デジタルコレクション」でインターネット公開が開始

 

 ・・・百年を超えて生き続ける作品で、情報が多すぎてまとめきれませんね(汗)。

 

 個人的には、軍国主義が封印されていたであろう戦後6年目にパチンコ店で流された事や、21世紀になってから実はミャンマーでも受け継がれていたと発覚した事は興味深いエピソードです♪

 

   公と民だけではなく、海外でも支持されていた事実にただただオドロキです♪

 

 コロナ禍ではアメリカ軍とリモートで演奏する動画も公開されています。同盟国も「軍艦マーチ」を海上自衛隊の公式曲として認識されている事が改めて分かります。

 

 


www.youtube.com

注)防衛省 海上自衛隊 公式チャンネルの動画

 

 

 みんなバラバラの場所にいるのに1つの曲を演奏できるなんて、楽団のチームワークを感じます♪

 

 

「軍艦マーチ」はいつ流行ったのか・・・

 「軍艦行進曲」は1930年6月の発売から1938年2月の調査まで、”7年8か月の年月を経て、累計10万枚以上売れた”という記録になります。

 

 残念ながら、"いつ流行ったか?"までは類推できません。

 

 「軍艦行進曲」は明治時代に製作されており、満州事変以前から軍歌として知られていた作品だからです。

 

 また、1937年7月の盧溝橋事件後、完全に日常生活が戦時下となった翌年の調査のためヒットした時期を推測できません。

 

 ヒットしたであろう年の候補は3つあります。

 

 1つめは、単純にレコード発売直後の1930年。

 2つめは、満州事変後の1931年。(この時点では国民生活が戦時下ではありません。)

 3つめは、盧溝橋事件後の1937年。

 

 個人的には東海林太郎さんが「軍艦行進曲」を吹き込まれている1937年が気になります。

 

 「ラジオか映画館で放送される戦時ニュースで『軍艦行進曲』が流れていた」という話を読んだ事がありますが、こちらは資料が無く確証がありません・・・。

 

 

著作権保護期間終了作品と商業音楽の将来

 瀬戸口藤吉さんは1941年に亡くなられており、著作権保護期間が作者の死後50年だった1991年に著作権フリーになっています。

 

 当時の音源(品番:P-333)は国立国会図書館オンラインで視聴可能になっています(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8272735

 

 未来では著作権保護期間が終了したヒット曲は国立国会図書館オンラインで公開されていく事になるのでしょう。

 

 レコードやCDは書籍と同様に出版物ですが、配信限定の作品も公開されるのでしょうか?

 

 100年後か200年後か知りませんが、色々と気になるところです。

 

 

参考資料

 『季刊 SPレコード誌 Vol.4~5号≪通算35号≫』アナログ・ルネッサンス・クラブ

 『新版日本流行歌史上 1868~1937』社会思想社

 『現代風俗史年表 昭和20年(1945)~平成12年(2000)』河出書房新社

 「海上自衛隊東京音楽隊〔Japan Maritime Self-Defence Force Band, Tokyo 〕オフィシャルサイト」(https://www.mod.go.jp/msdf/tokyoband/gallery/download/gunkan-2.html

 「国立国会図書館デジタルコレクション」(https://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/8272735