ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』NHK交響楽団(昭和63年)

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流行時期(いつ流行った?)

 NHK交響楽団さんの『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』は、昭和63年(1988年)にヒットしました。

 

 同年2月に発売されたファミコンソフト『ドラゴンクエストIII そして伝説へ・・・』の様々なBGMが、オーケストラで演奏されています。

 

 LPやCD、カセットテープの形態で3月に発売されました。オリコンランキングによると、初登場で上位にランクインしています。

 

 

初代から製作されているドラクエ組曲

 楽団が演奏するアルバムは、初代ドラクエから製作されています。

 

 『組曲ドラゴンクエスト』(1986)、『ドラゴンクエストの世界 ドラゴンクエストII ~悪霊の神々~』(1987)に続く3作目ですが、NHK交響楽団さんが初めて演奏を担当されています。

 

 『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』がヒットした事で、この年のレコード大賞では、3作品を含めて特別企画賞を受賞しています。

 

 "過去に発売された作品が含められている事"には疑問を感じますが、若い世代で誕生した新しい音楽(ゲーム音楽)が、すべての世代には理解されていない事への配慮と感じます。

 

 

 人気ぶりから、ソフト発売の前日には徹夜組の行列が出来たそうです。

 

 授業を休んで買いに行く子どもが現れたり、ソフト購入者を脅して奪おうとする者や、抱き合わせ商法を行う業者が現れたりする等、見過ごせない事件も発生したため、社会現象に発展したようです。

 

 前評判の高さも伝説となっていますが、実際プレイした方は、隠し要素を備えたシナリオに驚かれただろう、と思っています。(私が初めてプレイしたのはドラクエIVですので・・・)

 

 

組曲の元祖はTVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』

 『ドラゴンクエスト』のBGMをオーケストラで演奏するという企画は斬新に感じます。

 

 しかし、アニメで用いられたBGMを楽団演奏するレコードが過去に存在します。

 

 『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』(1978)、『交響詩銀河鉄道999』(1979)が人気を集めています。

 

 人気にあやかって、『科学忍者隊ガッチャマン』『サイボーグ009』も交響組曲の企画盤が製作されています。

 

 子供向けの"テレビまんが"から、大人でも楽しめる"アニメ"に発展した1970年代後半の出来事です。

 

 ストーリー性が尊重される事から、「TVゲームもアニメの延長線に存在する」と解釈されたのだと思います。

 

 

東京五輪の入場行進曲に採用?!

 昨日の開会式、各国の選手が入場する際の行進曲として、ゲーム音楽が採用された事は、世代である私にはとても衝撃でした。

 

 1964年の東京五輪を知っている親の世代は、当時の思い出を重ねて視聴していたと思いますが、私は「1964年以降も日本は頑張ってます!」というメッセージを感じました。

 

 日本が誇りにするモノとして"テレビゲームの音楽"が選ばれた事は、日本人だけではなく、多くの国の方々が驚かれたと思います。

 

 このアイデアが、昨年開催でも企画されていたのか?、コロナ禍の巣ごもりを反映して生まれたのか?は気になるところです。

 

 


【NHK】東京オリンピック開会式ハイライト | 東京オリンピック

注1)NHK 確認済みの動画

注2)39秒から入場時のハイライトが始まります。

 

 

 私はそれほどゲームに詳しくありませんので、『ドラゴンクエスト』、『ファイナルファンタジー』、『モンスターハンター』の3作品しか気付けませんでしたが、面白い企画であると感じました。

 

 

 「日本のアニメが世界で人気である事」は何となく気付いていましたが、恥ずかしながら「TVゲームも世界で人気がある事」に改めて気付かされました。

 

 

 そして入場行進曲にゲーム音楽を提案された方は、このアルバムの事が頭の片隅に残っていたから思い付かれたのかな?と想像しながら視聴していました。

 

 

オリジナル音源も収録

 タイトルから、『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』は楽団演奏がメインのアルバムです。

 

 しかし、ゲームのオリジナル音源で構成された「ドラゴンクエストⅢ ゲームオリジナルサウンドストーリー」も収録されています。

 

 ゲーム開始時の名前入力画面の場面から、真のラスボス攻略後のエンディングまでのBGMが、ストーリーの順番に構成されたメドレー曲です。(30分弱あります。)

 

 呪文詠唱や階段移動、セリフ表示といったエフェクト音も入っており、実際にRPG(ロールプレイングゲーム)を楽しめるような遊び心を感じる構成になっています。

 

 

曲情報(LP盤)

 発売元:アポロン音楽工業株式会社

 品番:AY30-1~2

 

 タイトル:『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』

 英題:SYMPHONIC SUITE DRAGON QUEST III

 

 演奏:NHK交響楽団

     主席第一コンサートマスター 徳永二男

 作曲・指揮:すぎやまこういち

 

 

 遂に実現!!「NHK交響楽団」による一大シンフォニー

 

 

 イラストデザイン:鳥山明 ©バードスタジオ

 音楽:すぎやまこういち

 ©エニックス

 

 

参考資料

 『交響組曲ドラゴンクエストⅢ そして伝説へ・・・』レコードジャケット

 『現代風俗史年表』河出書房新社

 「you大樹」オリコン