流行時期(いつ流行った?)
ザ・ドリフターズさんの「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」は、昭和45年(1970年)にヒットしました。
『レコード・マンスリー』の月間売上ランキングによると、4月末に発売されたレコードは翌月に最高順位を記録しています。
<『レコード・マンスリー』歌謡曲のランキング推移>
年月 | 順位 |
昭和45年05月 | 4位 |
昭和45年06月 | 5位 |
レコード発売後の翌月に上位で初登場、"初登場で上位にランクイン"というヒットチャート推移は、当時のザ・ドリフターズさんがとても人気だった事を示していると感じます♪
注)ザ・ドリフターズ - トピックの動画
「海軍小唄」の次は「陸軍小唄」
「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」は、「ドリフのズンドコ節」(1970)に続いて発売されたレコードです。
現在では「ズンドコ節」という曲名で世間に浸透しているメロディですが、原曲を「海軍小唄」と記載する書籍もあります。
「ズンドコ節」は「同期の桜」と同じように、第二次世界大戦で出征した日本人に愛唱された歌(兵隊ソング)と言われています。
”嫌じゃありませんか”で始まる「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」も元歌は兵隊ソングです。
こちらも「陸軍小唄」や「軍隊小唄」、「軍隊ストトン節」と記載される事があります。曲のタイトルが統一されていない事は、当時、自然と口ずさまれて流行していた歌だった事を示していると感じます♪
「海軍小唄」の次に「陸軍小唄」。当時のザ・ドリフターズさんは、戦時歌謡を題材にしながらも、当時の世相や政権の顔色をうかがったような作品を避け、非常時でも国民に愛唱されていた歌を選んでいる事が分かります♪
『ドリフ大爆笑』のテーマソングも、原曲は「隣組」(1940年発売)です。
本当の元歌は「ほんとにほんとにご苦労ね」
「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」は、山中みゆきさんの「ほんとにほんとにご苦労ね」(1939年発売)のメロディです。支那事変が発生し、日本が中国と戦争状態になっていた時期に発売された作品です。
詳細は不明ですが、この曲が流行った後に出征された方々の間で、替歌が心を慰めるために口ずさまれたと思います。書籍によりますが、替歌は下記のような内容です。
イヤな所だよ 軍隊は
金の茶碗に 金の箸
仏さまでも あるまいに
一ぜん飯とは なさけなや(作者不詳「軍隊ストトン節」1番)
「ズンドコ節」や「同期の桜」と異なり、歌詞が国や家族のためではなく、所属する軍隊の窮状を嘆く厭戦歌に変化している点が興味深いです。
…当時の世の中を知らない私でも、仮に戦地でこのような歌詞を口ずさんでしまったら、上官から、今で言うパワハラを強烈に受けてしまうのでは?と容易に想像できます。
想像ですが、事実、歌詞で歌われるくらい物資が不足しており、上官も「実際そうなんだから、仕方がない」と大目に見られていたかも知れません。
「陸軍小唄」が復員された方々の心に残り、書籍等に記録で残して頂いた事に感謝致しております。
長期的な有事
災害は、地震や台風・水害など、突然に日常生活を破壊する自然災害しか知りませんでした。新型コロナウイルス感染症という疫病のまん延(長期間に渡る災害)を生まれて初めて経験し、有事と感じています。
周期があるのか100年に一度かどうか分かりませんが、おそらく後世の人たちが「ふーん、そんな事あったんだ。」と思うくらい稀な災害の中、生活していると感じています。
志を抱いて職に就かれた医療従事者や政治家のみなさんは、平時以上に責任を問われ、最前線の立場にあると解釈しています。
そして年単位の長期に渡る異常事態で、正直なところやっていられないと感じられている方々がいるかもしれない、という事も容易に想像できます。
一国民の私は、外出を控えてマスクをして外出するしかできません…。今、この作品を改めて聴くと、ついつい現状と結び付けて考えてしまいます(>_<)…。
曲情報
発売元:東芝音楽工業株式会社
品番:TP-2273
A面
「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」
英題:DORIFUNO HONTONIHONTONIGOKUROSAN
原詩:野村俊夫
替詩:なかにし礼
作曲:倉若晴生
編曲:川口真
演奏時間:2分57秒
東芝レコーディング・オーケストラ
B面
「冗談炭坑節」
英題:JODANTANKOBUSHI
作詩:なかにし礼
日本民謡
編曲:川口真
演奏時間:2分18秒
東芝レコーディング・オーケストラ
参考資料
「ドリフのほんとにほんとにご苦労さん」レコードジャケット
『レコード・マンスリー』日本レコード振興株式会社
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン
『新版 日本流行歌史(中)1938~1959』社会思想社