ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「俺はお前に弱いんだ」石原裕次郎(昭和39年)

f:id:hitchartjapan:20200226220419j:plain

流行時期(いつ流行った?)

 石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。

 

 『ミュージックマンスリー』の月間売上ランキングによると、5月に発売されたレコードは、7月から11月にかけてロングヒットしています。

 

 

<売上ランキング推移>

年月 順位
昭和39年06月 13位
昭和39年07月 2位
昭和39年08月 2位
昭和39年09月 5位
昭和39年10月 3位
昭和39年11月 3位
昭和39年12月 11位
昭和40年01月 10位

『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズ(邦楽)より

 

 

同時期に流行った曲(昭和39年7月、8月) 

 邦楽では、波春夫さんの「東京五輪音頭」橋幸夫さんの「恋をするなら」が首位となっています。

 「俺はお前に弱いんだ」は、当時の人気曲に首位の座を阻まれて2ヶ月連続2位となっていますが、時期が違えば首位を獲得したと考えられる作品です。

 他には、西田佐知子さんの「東京ブルース」がヒットしています。

 

 洋楽では、アストロノウツさんの「太陽の彼方に」ボビー・ソロさんの「ほほにかかる涙」が首位となっています。他には、ジリオラ・チンクェッティさんの「夢みる想い」がヒットしています。 

 

 

 


石原裕次郎 「俺はお前に弱いんだ」

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 TEICHIKU ENTERTAINMENT(テイチクレコード の代理)

 

 

 

石原裕次郎さんとハワイアン歌謡

 「俺はお前に弱いんだ」は、ハワイアンバンドのバッキー白片とアロハ・ハワイアンズさんのメンバーが製作した作品です。

 石原裕次郎さんとハワイアン歌謡は、なかなか結び付きにくい印象がありますが、おそらく「南国の夜」を吹き込んだ事がきっかけでご縁があるのではないか?と思います。

 

 石原裕次郎さんの作品で、1958年に発売された「赤い波止場」のB面に、ハワイアン音楽を日本語カバーした「南国の夜」が吹き込まれています。

 

 「南国の夜」は1960年代前半に、大橋節夫とハニー・アイランダースさんやバッキー白片とアロハ・ハワイアンズさんがカバーした作品がヒットし、石原裕次郎さんがA面で再発売し直したレコードも記録に残っています。

 

 ハワイアンが流行音楽になった時期、この音楽表現を歌謡曲に取り入れた企画として、バッキー白片さんが楽曲を製作されたのだろうと考えられます。

 「俺はお前に弱いんだ」のB面曲「無情の街」も制作されています。

 

 

 

 

1960年代に支持された石原裕次郎さんのキャラクター

 

 当時の流行音楽での石原裕次郎さんのキャラクターは、「嵐を呼ぶ男」(1958年)で描かれる野性的な男性を、つい頭で思い描いてしまいます。

 

 しかし1960年に入ってからは、女性に優しい紳士的な性格で描かれているように感じます。

 おそらく「銀座の恋の物語」(1961年)がヒットした事で、イメージチェンジされたのではないかと感じます。 

 「俺はお前に弱いんだ」でも、同じ男性像で描かれていると感じます。

 

 歌が始まる前に、女性に優しく語り掛けるセリフが吹き込まれています。相手の女性は年下のようで、相手の想いを全て受け止めるような包容力の大きさを感じさせる話し方になっています。

 

 「夜霧よ今夜も有難う」(1967年)でも、似たような人物像で描かれていると感じます。1960年代で石原裕次郎さんが支持された理由の1つかな?と考えます。

 

 

 

楽曲分析

 バンドプロデューサー5の分析では、「俺はお前に弱いんだ」はB♭マイナー(変ロ短調)です。

 歌唱で用いられている音階は#や♭の付かない自然的短音階です。

 

 ハワイアンミュージックを手掛けて来られたバンドが製作されているため、他のヒット曲とは違う味わいを感じますが、それが何によって表現されているのかは、まだ分かっていません。

 

 メロディをワンフレーズ単位で区切ると、歌い出しや歌い終わりには特徴は見受けられません。

 ただ、終わる間際で3連符になったり、16分音符が入ってきたりと、リズムが変則的になる部分はとても印象に残ります。

 このリズムがハワイアン特有なのかどうかは分かりません(^_^;A。

 

 やはりスチールギター等の演奏やスローテンポな編曲でハワイアンらしさを感じるのだと思います。

 

 冒頭や曲の最後に聴こえてくるジリリリという、黒電話の呼び出しのような音が、一体何の楽器で鳴っているのか?個人的にとても気になっています。

 

 

 

 

曲情報

1964年 年間5位(邦楽)

 

レコード

 発売元:テイチク株式会社

 品番:SN-64

 

 

 A面

  「俺はお前に弱いんだ」

  作詞:石巻宗一郎

  作編曲:バッキー白片

  演奏時間:3分18秒

 

  バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ

 

 

 B面

  「無情の街」

  作詞:石巻宗一郎

  作編曲:バッキー白片

  演奏時間:3分49秒

 

  バッキー白片とアロハ・ハワイアンズ

 

  制作担当:菅野暢

 

 

参考資料

 「俺はお前に弱いんだ」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲大全集3』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」