ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「男ならやってみな」和田弘とマヒナスターズ(昭和39年)

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流行時期(いつ流行った?)

 和田弘とマヒナスターズさんの「男ならやってみな」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。

 

 『ミュージックマンスリー』の月間売上ランキングによると、1964年2月、3月に小ヒットしています。

 

 

<売上ランキング推移>

年月 順位
昭和39年02月 14位
昭和39年03月 13位
昭和39年04月 16位

『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズ(邦楽)より

 

 

同時期に流行った曲(昭和39年3月) 

 邦楽では、舟木一夫さんの「あゝ青春の胸の血は」が首位となっています。 他には、村田英雄さんの「姿三四郎」三波春夫さんの「東京五輪音頭」西田佐知子さんの「東京ブルース」がヒットしています。

 

 洋楽では、ビートルズさんの「プリーズ・プリーズ・ミー」が首位となっています。他には、ヴィレッジ・ストンパーズさんの「ワシントン広場の夜はふけて」ガスバッカスさんの「恋はスバヤク」トニー・ダララさんの「ラ・ノヴィア」がヒットしています。 

 

 

※YouTubeには、公式と判断できる動画はありませんでした(>_<)。 

 

 

業界のタブー?戦時歌謡のアレンジ作品

 「男ならやってみな」は、間奏に「同期の桜」のメロディが引用されています。また、原曲は「男なら」で、戦時中に発売された作品のようです。

 歌詞は書き換えられています。

 

 戦後の流行歌では、「長崎の鐘」(1949年)や「雨の九段坂」(1961年)など、第二次世界大戦によって家族を失った人物が主人公の作品が登場します。

 GHQ占領下から独立した1950年代以降も、戦時歌謡を題材にしたヒット曲は記録に残っていません。

 

 1960年末~1962年にはリバイバルブームと呼ばれる現象が起こり、戦前のヒット曲をリメイクした作品が数々ヒットしましたが、その時でも戦時歌謡を題材にした作品は登場しませんでした。

 おそらく、全てのレコード会社が軍事色の強い時代の作品をリメイクする事を、意図的に避けていたと推測されます。

 

 リバイバルブームが落ち着いた時期に、ビクターさんが戦時歌謡のリメイクを企画された事になりますが、なぜこのタイミングで行ったのかは分かりません(^_^;A。

 

 「男ならやってみな」は戦後のヒット曲の中で、戦時歌謡を取り上げたヒット曲の第1号と考えられます。それが戦後19年目の1964年だった事は気になります。

 

 

どうしてもヒットさせたかった?

 1964年には、ビクターさんから発売された作品でもう1曲、戦時下の日本人の姿を描いた、橋幸夫さんの「あゝ特別攻撃隊」がヒットしています。

 こちらは新曲として製作されており、特攻隊に志願する若者が主人公の作品です。

 

 品番はSV-1で、ビクターさんのステレオ録音盤の第1号となりますが、なぜ記念すべき第1作目にこのテーマを選んだのかは不明です。

 

 どちらの作品も、当時ビクターに所属していた歌手のなかで、最も人気を獲得していた方々が吹き込んでいます。

 様々なヒット曲を持ち、それによって築かれてきた歌手のイメージとは合わない企画と感じます。

 あえてその企画を通したレコード会社の姿勢からは「この企画は必ずヒットさせよう!」という意気込みが感じられます。

 

 ビクターさん以外の他社では戦時歌謡をリメイクする企画は行われておりませんので、ビクターさんの社内での流行と感じられます。

 

 

 

楽曲分析

 バンドプロデューサー5の分析では、「男ならやってみな」はCマイナー(ハ短調)です。

 歌唱の音階は、完全なヨナ抜き短音階です。

 

 

 戦時歌謡には有名な作品が色々ありますが、「男なら」は後世に語り継がれている作品のなかでは知名度はそれほど高くないように感じます。

 歌詞を改変する事で、戦後の価値観でも受け入れられる作品を選曲されたのではないか?という印象を受けます。

 

 

 間奏に誰もが知っている作品のメロディを借りてくる手法を何というのか分かりませんが、その手法で「同期の桜」を選曲した事は、かなり興味深いです。

 

 「同期の桜」は戦後間もないころから愛唱され続けており、おそらくビクターさんとしては、元の歌詞のままで「同期の桜」をマヒナスターズさんに吹き込んでもらいたかったのではないか?と考えたりもします。

 

 しかし、いくら軍国主義の思想が感じられない兵隊ソングであっても、流行歌手が吹き込む事がはばかられる価値観が存在したため、やむなく編曲で用いたのかも知れません。

 

 

曲情報

1964年 年間33位(邦楽)

 

レコード

 発売元:ビクターレコード

 品番:VS-958

 

 

 A面

  「男ならやってみな」

  作詞:石田一松

  補作:清水みのる

  作曲:草笛圭三

  編曲:寺岡信三

  歌:和田弘とマヒナ・スターズ

  演奏時間:3分36秒

 

  ビクター・オーケストラ

 

 

 B面

  「女ひとり旅」

  作詞:井田誠一

  作編曲:利根一郎

  歌:神楽坂とき子

  演奏時間:2分56秒

 

  ビクター・オーケストラ

 

 

 

 

参考資料

 「男ならやってみな」レコードジャケット

 「あゝ特別攻撃隊」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲大全集3』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」