ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「ラ・ノビア(泣きぬれて)」ペギー葉山(昭和39年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ペギー葉山さんの「ラ・ノビア(泣きぬれて)」(品番:EB-7134)は、昭和39年(1964年)にヒットしました。

 

 歌詞カードには1962と印字されていますので、発売からヒットするまで1年以上かかったと考えられます。

 

 1962年盤はモノラル録音だったためか、ステレオ録音盤(品番:BS-7015)も発売されており、こちらも当時のヒットチャートにランクインしています。

 ステレオ盤のB面には「爪」が収録されています。

 

<「ラ・ノビア」売上ランキング推移>

年月 品番 EB-7134 品番 BS-7015
昭和38年12月 16位 -
昭和39年01月 15位 -
昭和39年02月 7位 -
昭和39年03月 6位 -
昭和39年04月 1位 -
昭和39年05月 1位 -
昭和39年06月 3位 19位
昭和39年07月 10位 11位
昭和39年12月 16位 -

『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズ(邦楽)より

 

 

同時期に流行った曲(昭和39年4月、5月) 

 邦楽では、西田佐知子さんの「東京ブルース」三波春夫さんの「東京五輪音頭」などがヒットしています。

 

 洋楽でも、トニー・ダララさんの歌う「ラ・ノヴィア(泣きぬれて)」が首位となっています。

 他には、ガス・バッカスさんの「恋はスバヤク」キングストン・トリオさんの「花はどこへいった」がヒットしています。

   ビートルズさんが登場した時期で、「プリーズ・プリーズ・ミー」「抱きしめたい」がヒットしています。 

 

 

 


ペギー葉山 ラ・ノビア 1964 / La Novia

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 KING RECORD CO., LTD.(King Record Co.,Ltd. の代理)

 

 

 

ヒット曲に様々な影響を与えた「ラ・ノビア」

 1964年のヒット曲を振り返ると、「ラ・ノビア」が描く世界観を取り入れた邦楽が色々登場したり、カンツォーネが次々とヒットする現象が起きているように感じます。

 

 日本の流行音楽に新しい価値観をもたらしたと解釈できる「ラ・ノビア(泣きぬれて)」は、もともとラテン圏の作品で、トニー・ダララさんがイタリア語で歌い直されてから海外で人気となったようです。

 

 

青春歌謡にも影響を与えた?

 この年にブレイクした若手の青春歌謡歌手の作品で、「ラ・ノビア」の影響を受けていると考えられる作品が見受けられます。

 西郷輝彦さんの「チャペルに続く白い道」「君と歌ったアベマリア」安達明さんの「女学生」です。

 クリスチャンスクールに通う学生を描いているのか、“チャペル”や“アベマリア”が歌詞に登場しています。

 

 歌詞にキリスト教関連のキーワードが登場するのは、「長崎の鐘」(1949年)や「南海の美少年」(1961年)など、歴史上ゆかりのある長崎を舞台にした流行歌で見受けられます。

 

 土地柄に関係なくキリスト教にまつわるフレーズが用いられたのは、この年特有の流行と考えられます。

 おそらく、「ラ・ノビア」で描かれる世界観に新しさを感じたレコード会社が、若手を売り出す際に新たな価値観を持つ世代として取り入れたのだろう、と推測されます。

 

 

 カンツォーネは、ボーカルが主役の音楽と感じます。壮大さを感じさせる曲調や雰囲気で考えると、ミルバさんや和田弘とマヒナスターズさんが歌った「ウナセラ・ディ東京」も気になります。聴きなれない“ウナセラ・ディ”はイタリア語です。

 

 

教会式の結婚式

 また、流行歌ではあまり取り上げられなかった“結婚式”を舞台にした作品だった事も、新しさを感じる要素だったのかも知れません。

 江利チエミさんの「新妻に捧げる歌」ザ・ピーナッツさんの「ジューン・ブライド」が製作されるきっかけとなったのではないか?と感じます。

 

 現在では、教会で結婚式を挙げる事に斬新さは感じませんが、もしかすると当時の結婚式は日本的な神前式が一般的で、ウエディングドレスを着て教会で式を挙げる結婚式は憧れのスタイルだったのかも知れません。

 

 

楽曲分析

 バンドプロデューサー5の分析では、「ラ・ノビア」はEメジャー(ホ長調)です。歌唱で用いられている音階はドレミファソラシドの全音階的長音階です。

 ボーカルのメロディは特に凝った要素も見当たらず、覚えやすさや分かりやすさを備えているように感じます。

 

 歌詞にも作品が支持される要素を持っているように感じます。

 

 結婚式は幸せな舞台にも関わらず、本心を偽って夫婦になる事を誓う場面が描かれていますが、そこに至る経緯は全く描かれていません。憧れの挙式なのに、なぜ主人公が悲しんでいるのかは、聴き手に色々想像させてくれます。

 

 また、小林明子さんの「恋におちて」(1985年)のように、2番を海外の言葉で歌われています。この手法を何というのか分かりませんが、曲の雰囲気を盛り上げる演出であると感じます。

 

 

曲情報

1964年 年間4位(邦楽)

 

レコード

 発売元:キングレコード株式会社

 品番:EB-7134

 

 

 A面

  「ラ・ノビア(泣きぬれて)」

  原題:LA NOVIA

  訳詩:あらかは・ひろし

  編曲:若松正司

  演奏時間:3分55秒

 

  レオン・サンフォニエット

 

 

 B面

  「いとしい人」

  原題:A NOTE DO MEN BEM

  訳詩:あらかは・ひろし

  編曲:若松正司 

  演奏時間:2分58秒

 

  レオン・サンフォニエット

 

 

参考資料

 「ラ・ノビア(泣きぬれて)」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『ポピュラー・ソングのすべて』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」