流行時期(いつ流行った?)
ロニーとデイトナスさんの「GTOでふっとばせ」は、昭和39年(1964年)にヒットしました。
『ミュージックマンスリー』の月間売上ランキングによると、1964年の10月、11月にヒットしています。
<売上ランキング推移>
年月 | 順位 |
昭和39年10月 | 9位 |
昭和39年11月 | 5位 |
昭和39年12月 | 10位 |
『ミュージックマンスリー』、今月のベストセラーズ(洋楽)より
同時期に流行った曲(昭和39年11月)
洋楽では、映画『ブーベの恋人』のサウンドトラック盤が首位となっています。他には、アニマルズさんの「朝日のあたる家」、シルヴィ・バルタンさんの「アイドルを探せ」、ビートルズさんの「恋する二人」などがヒットしています。
邦楽では、和田弘とマヒナ・スターズ、松尾和子さんの「お座敷小唄」が首位となっています。 他には、青山和子さんの「愛と死をみつめて」、石原裕次郎さんの「俺はお前に弱いんだ」、園まりさんの「何も云わないで」がヒットしています。
ロニー&ザ・デイトナスRonny & the Daytonas/G.T.O.でぶっとばせG.T.O. 1964 (1964年)
注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 SME(Replay Records の代理); ARESA, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, Warner Chappell, BMI - Broadcast Music Inc., LatinAutor, CMRRA, PEDL, LatinAutor - Warner Chappell、その他 7 件の楽曲著作権管理団体
サーフィンからホットロッドへ
1964年の洋楽では、エレキギターの演奏によるサーフィン・サウンドの流行がありました。アストロノウツさんの「太陽の彼方に」の大ヒットで、世間には“エレキ=サーフィン”というイメージが定着したのではないか?と推測されます。
エレキギターの演奏が表現する疾走感を、夏のスポーツに形容したのが始まりと感じますが、1964年の日本では夏場の音楽という認識が存在していたのかも知れません。秋ごろからは、エレキインスト作品が姿を消しています。
代わりに登場したのが、ホットロッドと呼ばれるジャンルです。
「GTOでふっとばせ」はホットロッドのジャンルに該当する作品で、1964年の秋にヒットしています。
ホットロッドとは?
レコードジャケットの解説によると、ホットロッドとは「ポンコツ車を買入れて、それに強力なエンジンをくっつけたり、自分たちの好みの色に塗りかえたりして、にぎやかに車を乗りまわすスポーツのこと」と紹介されています。
改造した車を操縦する事がスポーツなのかどうかは疑問ですが、波から中古車に変わっただけで、スピード感を備えた遊びという点はサーフィンに共通していると感じます。
音楽的にもサーフィンとあまり違いを感じません。当時、東芝さんが力を入れていたジャンルのようで、ビーチ・ボーイズさんの「リトル・ホンダ」も同時期にヒットしています。
この時期に登場したホットロッドは、エレキギターの演奏曲ではなくボーカルが存在する楽曲です。サーフィンでもボーカルがある「サーフィンU.S.A」(1963年)がヒットしていますので、この違いは特に気にしなくても良いかもしれません。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「GTOでふっとばせ」はEメジャー(ホ長調)です。終盤に転調があり、半音上のFメジャー(ヘ長調)になります。
用いられている音階は全音階的長音階です。コード進行はⅠ、Ⅳ、Ⅴばかりでシンプルですが、Ⅰ7やⅣ7の“7の音”がメロディに度々用いられているように感じます。
動画ではカットされていますが、イントロより前には、車にエンジンをかけてアクセル全開で発車する効果音から曲が始まります。
また、間奏では猛スピードで駆け抜ける改造車のエンジン音が鳴り響き、曲の終わりは停車する音が吹き込まれています。
この効果音はホットロッドを表現する重要な演出と感じます。
曲情報
1964年 年間25位(洋楽)
レコード
発売元:東芝音楽工業株式会社
品番:SR-1149
A面
「G.T.O.でふっとばせ」
原題:G.T.O.
演奏時間:2分39秒
B面
「ホット・ロッド・ベイビー」
原題:HOT ROD BABY
演奏時間:2分3秒
参考資料
「GTOでふっとばせ」レコードジャケット
『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社
『永遠のポップス2』全音楽譜出版社
「バンドプロデューサー5」