ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「七色のしあわせ」ピンキーとキラーズ(昭和44年)

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流行時期(いつ流行った?)

 ピンキーとキラーズさんの「七色のしあわせ」は、昭和44年(1969年)にヒットしました。

 

 オリコンランキングによると、1969年の5、6月にかけてヒットしています。

 

 

同時期に流行った曲(昭和44年5、6月)

 由紀さおりさんの「夜明けのスキャット」森進一さんの「港町ブルース」が首位を獲得しています。

 

 他には、カルメン・マキさんの「時には母のない子のように」森山良子さんの「禁じられた恋」がヒットしています。

 歌謡曲系では鶴岡雅義と東京ロマンチカさんの「君は心の妻だから」内山田洋とクール・ファイブさんの「長崎は今日も雨だった」がヒットしています。

 

 ザ・タイガースさんの「美しき愛の掟」がヒットしていますが、この時期はグループサウンズ・ブームも収束しているように見受けられます。ボーカルの沢田研二さんがアイドル的な人気を得ていたように感じます。

 洋楽では、ジリオラ・チンクェッティさんの「雨」ザ・ゾンビーズさんの「ふたりのシーズン」がヒットしています。

 

 

 


ピンキーとキラーズ 「七色のしあわせ&愛の湖」

注)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 KING RECORD CO., LTD.の動画

 

 

 

独特な雰囲気を持つ昭和のR&B

 「七色のしあわせ」がヒットしていた頃、流行歌のなかでR&B(リズム&ブルース)の流行がありました。

 グループサウンズやフォークソングに比べると、規模が小さかったためか、後世で語られる事は少ない気がします。

 

 この時期は和田アキ子さんがデビューされた頃で、デビュー曲の「どしゃぶりの雨の中で」のジャケットには、“R&Bの女王”というキャッチコピーが印刷されていたりします。

 

 「七色のしあわせ」の前にヒットしていた、黛ジュンさんの「不思議な太陽」も、R&Bを意識しているような持ち味があります。

 

 女性歌手のあいだで流行になった現象のように思われますが、最も成功した和製R&Bは、ザ・キングトーンズさんの「グッド・ナイト・ベイビー」です。

 


  R&Bは海外の民族文化に根付く音楽ですので、異なる民族の日本人が、バンドを組んだり、ギター1本で歌ったりと、フォークやロックのように容易に模倣出来ないジャンルだったために、小規模の流行で終わったのだろうと推測しています。

 

 

R&Bの雰囲気を支える裏拍

 「七色のしあわせ」は、ピンキーとキラーズさんの「恋の季節」「涙の季節」に続くヒット曲ですが、曲調がそれまでの作品と少し異なるように感じます。当時流行だったR&Bを意識した作品と推測されます。

 

 R&Bの明確な定義は勉強中ですが、私が「七色のしあわせ」を和製R&Bであると感じる理由は、スローテンポながらもリズム感がある事です。

 

 グループサウンズの流行をきっかけに、リズムを刻むドラムの存在感が増したように感じますが、2、4拍目でドラムを叩く裏拍がリズム感を聴き手に与える要素で、今聴いても新しさを感じる理由と捉えています。

 

 裏拍は現在では一般的なテクニックですが、この時代のヒット曲ではあまり耳にしない、珍しい演奏技術だったと感じます。

 

 同年にヒットしたいしだあゆみさんの「ブルーライト・ヨコハマ」も裏拍となっています。もしかすると、この時期のレコード業界では、リズム感を出す事が流行になっていたのかも知れません。

 

 ボーカルを活かすように、演奏を抑えるパートもあり、作品の構成にはメリハリを感じます。聴き手がR&Bらしさを感じる要素かも知れません。

 

 

海外の音楽を取り入れ続けた1960年代

 1960年代は海外の音楽文化を積極的に取り入れ、流行歌に転用された時代です。脱歌謡曲、ポップス化を目指していたように感じます。

 

 当時のレコード会社は、海外で流行っている盤を様々な国から次々と輸入していました。ヒットした盤をもとに、日本人向けに分かりやすく国産で模倣した盤を企画・製作する、という試行錯誤を繰り返していた時代です。

 

 個人的には1960年代末に登場したR&Bでさえ、例外では無かった事に驚きを感じました。

 

 

楽曲分析

 「七色のしあわせ」はGマイナー(ト短調)です。

 

 メロディの構成はA→B→Aになっています。Aメロでの音階は26抜き短音階、Bメロでは和声的短音階になります。

 

 耳に残りやすい音階をAメロで用いて、それだけでは単調だからか、異なる音階を用いて雰囲気を変えているようです。

 Bメロでは、同じメロディを用いながらも、音の高さを徐々に下げていく手法が用いられています。反復進行(ゼクエンツ)の一種と思われます。

 

 タイトルが“七色”となっていますが、歌詞に登場する色は、みどり、オレンジ、青、むらさき、赤、レモン、ブルーの7つになります。

 

 “青”と“ブルー”は同じではないか?と思いますが、ブルーは水色のようです。

 

 

曲情報

 発売元:キングレコード株式会社

 品番:BS-990

 

 A面

  「七色のしあわせ」

  作詞:岩谷時子

  作・編曲:いずみたく

  演奏時間:3分43秒

 

 B面

  「愛の湖」

  作詞:岩谷時子

  作編曲:いずみたく

  演奏時間:3分10秒

 

ピンキーとキラーズ

 ヴォーカル 今陽子

       ジョージ浜野

 E・ギター エンディ山口

 E・ベース ルイス高野

 ドラムス  パンチョ加賀美 

 

 

参考資料

 「七色のしあわせ」レコードジャケット

 「you大樹」オリコン

 『全音歌謡曲全集18』全音楽譜出版社

 『歌謡曲の構造』小泉文夫

 「バンドプロデューサー5」