流行時期(いつ流行った?)
Moosさんの「Au nom de la rose」は1999年のフランスでヒットしました。
TOP50(フランスのオリコン的存在)のランキングによると、1999年4月から8月初週までベストテンにランクインしています。
5月から7月初週まで9週間連続で1位となっていますので、当時、かなりヒットした作品と推測されます。
Moosさんの作品は他には存じ上げませんが、初登場6位となっているため前評判が高い作品だったようです。
その頃、日本では…
ラルク・アン・シエルさんの「HEAVEN'S DRIVE」やGLAYさんの「サバイバル」、KinKi Kidsさんの「フラワー」などが首位となっています。
坂本龍一さんの「energy flow」も首位を獲得しています。
他には、宇多田ヒカルさんの「First Love」や浜崎あゆみさんとつんくさんのデュエット曲「LOVE~Since1999~」がヒットしています。
Moos - au nom de la rose ( Let's GoMusic HD )
「ある愛の詩」のメロディが用いられた作品
この作品の特徴は、日本では1971年にヒットした映画『ある愛の詩』の主題曲の旋律がサビの部分で用いられている事です。
フランシス・レイさんが作曲された「ある愛の詩」は演奏のみの作品でしたが、当時はアンディ・ウィリアムスさんが英語詞で歌った盤にも人気が集まっていました。
人気の高さからか日本語で歌い直した盤も発売されています。
1960年代以前から日本では、器楽演奏の洋楽盤でも日本語の歌詞を作ってレコード化する流れがありましたが、あまりヒットした事はありません。
「ある愛の詩」の場合は、演奏するより歌唱があった方が作品の世界観を深く表現できたのかも知れません。
この作品はサンプリングではなく、聴いた事のあるフレーズを拝借して新しい作品に仕立て直しています。
初めて聴いたとき「アレ?どこかで聴いた事があるメロディ?」と感じたものの、すぐに曲名が思いつきませんでした。
フランシス・レイさんの旋律が「Au nom de la rose」に違和感なく溶け込んでいる印象を受けます。
原曲を知らなければオリジナル作品と感じてしまうくらいの世界観を持っていますし、原曲を聴いて感じられる切ない気持ちも損なわれていないように感じます。
既存の作品に対する価値観
もしかするとフランスでは、既存曲を用いて新しい作品を作る事、曲をリサイクルする事に対して、日本より寛容なのかも知れません。
権利より製作者の意向を尊重する土壌があるのかも知れませんし、音楽は時代を重ねても継承されていくべきだ、という価値観が存在するのかも知れません。
しかし「Au nom de la rose」は、「ある愛の詩」のメロディを用いるにしても、「ここまで書き換えてしまってもいいの?!」と驚いてしまうくらい、別の作品に仕上がっている印象を受けます。
「よく実現できたなぁ。」と感心いたします。仮に日本で似たようなことをしたら、あまり良いように受け止められないかも知れません(^_^;A。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「Au nom de la rose」はAマイナー(イ短調)です。
参考資料
TOP50(http://www.chartsinfrance.net/)
「you大樹」オリコン
「Au nom de la rose」CDジャケット
「バンドプロデューサー5」