流行時期(いつ流行った?)
J-Fiveさんの「Mordern Times」は、2004年のフランスでヒットしました。
TOP50(フランスのオリコン的存在)によると、2004年3月、4月にかけてヒットしています。
その頃、日本では…
平原綾香さんの「Jupiter」や一青窈さんの「ハナミズキ」のヒットが落ち着き始めた時期で、DREAMS COME TRUEさんの「やさしいキスをして」や大塚愛さんの「さくらんぼ」がヒットしていました。
J-Fiveさんの「Modern Times」は日本では2005年1月に発売されたアルバム『モダン・タイムス』に収録されていますがヒットしていません。
何かのCMソングに用いられたようなので、どこかで耳にされた事があるかも知れません。
J Five - "Modern Times" - Fête de la Chanson Française 2005
注)La fête de la chanson française 確認済みの動画
インパクト抜群の“サンプリング”
【過去に製作された実際の音源を抜粋して新しい作品に用いる事】はサンプリングと呼ばれるテクニックです。
誰かの作品を別の歌手が新たに吹き込むカバーではなく【切り取り&貼り付け】の手法です。そのため著作権や原作者の意志が関わってくる音楽表現です。
1990年代から見かけられるようになった表現技巧です。
日本でサンプリングを用いた作品は、Z団さんの「江ノ島」(1993年)や、EAST END × YURIさんの「DA.YO.NE」(1995年)が先駆けと思われます。
サンプリングは2000年代にも登場します。
ゲームソフト『スーパーマリオブラザーズ』のBGMを用いたトンガリキッズさんの「B-DASH」(2005年)です。
大抵のサンプリング作品は2,30年前の音源を採用していますが、「Modern Times」は約70年前の音源を採用しています。
1930年代に公開されたチャールズ・チャップリンさんの映画『モダン・タイムス』で使用された音源です。
CD解説によると、映画の劇中に即興で歌われたメロディには「ティティナ」というタイトルが付いているようです。
MVにも映像を用いているので公認?と思っています。
現代に勝る過去の音源
「ティティナ」を大胆にコピー&ペーストした「Modern Times」は主役がJ-Fiveさんではなく、チャップリンさんになっていると感じます。
チャップリンさんの歌唱になると他の音が無くなり、当時の音源だけが再生されるためそのように感じるのかも知れません。
チャップリンさんの歌唱が始まる前にJ-Fiveさんが場を盛り上げる前座の役割を果たしている構図を思い描いてしまいます。
サンプリングの作品はたくさんありますが、聴いていて【過去の音源を尊重している作品】はあまり見受けられません。
J-Fiveさんがチャップリンさんに敬意を持っておられる事も感じます。
完璧主義者で名高いチャップリンさん自身もJ-Fiveさんの「Modern Times」の仕上がりにおそらく納得されているであろうと感じる完成度を感じます。
日本人の私は「もっとヒットしても良かったのではないか?」と感じますが、本国フランスのランキング推移を見ると、ヒットしたものの話題性でとどまり短命にランキングから姿を消している印象を受けます。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「Modern Times」はEマイナー(ホ短調)です。
参考資料
TOP50(http://www.chartsinfrance.net/)
『Sweet Little Nothing』CDジャケット
「バンドプロデューサー5」