ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「365日の紙飛行機」AKB48(平成27、28年)

f:id:hitchartjapan:20190818222157j:plain

「365日の紙飛行機」AKB48(Type-C)

流行時期(いつ流行った?)

 AKB48さんの「365日の紙飛行機」は平成27年(2015年)にヒットしました。

NHK連続テレビ小説『あさが来た』(2015年下半期放送)の主題歌です。

 

 オリコンランキングでは、発売された12月上旬から1月にかけてヒットしています。

 

 この作品はオリコンでは記録に残っていません。「唇にBe My Baby」のB面曲ですが、不思議な事に両A面で表記されていないからです。

 

 しかし、CD売上だけでは流行が読み切れない時代の作品であるため、音楽配信の資料から流行の推移が分かります。 

 

 月間ランキングを公開されているmoraさんのヒットチャートと、日本レコード協会さんの認定の推移は下記のとおりです。

集計日付 mora月間チャート順位 日本レコード協会配信認定
平成27年12月 3位  
平成28年1月 2位 ゴールド(10万ダウンロード達成)
平成28年2月 4位 プラチナ(25万ダウンロード達成)
平成28年3月 9位  
平成28年4月 13位  
平成28年5月 50位  
平成28年6月 71位  
平成28年7月 55位 ダブル・プラチナ(50万ダウンロード達成)
平成28年8月 圏外  
平成28年9月 98位  
平成28年10月 84位  
平成28年11月 圏外  
平成28年12月 63位  
平成29年1月 31位  
平成29年2月 89位  
平成29年3月 99位  
   
令和元年6月 圏外 トリプル・プラチナ(75万ダウンロード達成)

 

 音楽配信では、12月から翌年の卒業式シーズンの3月まで流行っていたと推測できます。

 3年半ほど経過して、累計75万ダウンロードを達成しています。おそらく、今後も少しずつ数を伸ばして、100万ダウンロードを達成すると思われる作品です。

 

 

同時期に流行った曲や話題

 配信では、浦島太郎(桐谷健太)さんの「海の声」RADIOFISHさんの「PERFECT HUMAN」がヒットしています。

 

 オリコンでは特に流行っていた作品は見当たりません。SMAPさんが解散するという報道が話題となっていた時期にヒットしていました。

 


【MV】365日の紙飛行機 Short ver. / AKB48[公式]

 

 

AKB48さんの作品らしくない曲

 この作品を聴いても、なぜかAKB48さんの作品という印象は受けません。私は、「どこかで聴いた事があるけど、いつ発売した曲だろう?」と感じていました。

 

 AKB48さんの作品というと、一人称が“僕”で、淡い恋心を抱く少年が主人公の作品が多いように感じますが、この作品では“私”になっています。また、恋愛感情についても触れていません。

 

 若者が前向きな気持ちを持とうとする姿勢だけが描かれています。

 

 

ヒット曲に登場した「紙飛行機」

 頻度はかなり少ないですが、流行歌の歌詞に“紙飛行機”が登場する事があります。

 

 昭和56年(1981年)にヒットした、"男の人は誰でも心の中に紙飛行機を持っている”と歌う、中島みゆきさんの「誘惑」が最初でしょうか。

 その後、KinKi Kidsさんの「愛されるより愛したい」(平成9年)や19さんの「あの紙ヒコーキくもり空わって」(平成11年)など、若手の男性歌手の作品で登場します。

 

 いずれの作品を聴いても感じられるのは、簡単に作れて空を飛べる紙飛行機に対して、“自らの夢”を重ねている事です。聴き手にも解釈しやすい比喩と感じます。

 

 「365日の紙飛行機」では、やってみたいと思った事を自由に行動に移せる自分を夢に見る気持ちが描かれています。少し違うのは、その想いを紙飛行機に託すのではなく、自分自身を紙飛行機に例えている表現です。

 

 私は、その紙飛行機の飛距離よりもどこをどう飛んだのかが大切だ、というフレーズが印象に残りました。おそらく多くの方の心に届いたのはこの表現であると感じます。

 SMAPさんが「世界に一つだけの花」(平成15年)で歌われた、ナンバーワンよりオンリーワンという価値観に共通していると感じるからです。

 

 

若者に向けたメッセージが詰まった歌詞 

 紙飛行機以外の箇所では、今日がダメなら明日頑張ろうという気持ちや、何気ないやさしさに気付いていないだけ、という表現がされています。

 

 これらの価値観も、「明日があるさ」(昭和39年)や「三百六十五歩のマーチ」(昭和44年)や「ふれあい」(昭和49年)などの、若者が主役の作品で描かれてきた視点なので、特筆する点ではありません。

 

 ただ、これまでのヒット曲で描かれてきた若者に対する励ましのメッセージを、すべて詰め込んでいるような印象を受けます。

 

 

楽曲分析

 「365日の紙飛行機」はシンプルで覚えやすいメロディが特徴です。音が急に高くなったり低くなったりはせず、早口で歌わないといけないような箇所もありません。

 終始変化が少なく、音域もそれほど広くなく、唱歌みたいな印象を受けます。

 

 おそらく、製作された方々は、学生でも歌えるような作品を意識して作曲されたのだと思います。

 

 

曲情報

 A面

  「唇にBe My Baby」

  作詞:秋元康

  作曲:小内喜文

  編曲:佐々木裕

 

 B面

  「365日の紙飛行機」

  作詞:秋元康

  作曲:角野寿和/青葉紘季

  編曲:清水哲平

 

参考資料

 「365日の紙飛行機(Type-C)」CDジャケット

 『365日の紙飛行機』月刊歌謡曲

 「you大樹」オリコン

 「mora ~WALKMAN®公式ミュージックストア~」https://mora.jp/ranking?genre=all&term=monthly&month=curMonth

 「一般社団法人 日本レコード協会 有料音楽配信認定」https://www.riaj.or.jp/f/data/cert/hs.html