流行時期(いつ流行った?)
山口百恵さんの「パールカラーにゆれて」は、昭和51年(1976年)にヒットしました。9月末に発売され、10月、11月にかけてヒットしています。
オリコンランキングの記録では、史上3番目の初登場1位となった作品です。
同時期に流行った曲
あおい輝彦さんの「あなただけを」と研ナオコさんの「あばよ」が、この作品の前後で首位を獲得しています。
ニューミュージック系の作品では、小椋佳さんの「揺れるまなざし」や布施明さんの「落葉が雪に」、アイドル系の作品では、太田裕美さんの「最後の一葉」、野口五郎さんの「針葉樹」がヒットしています。ピンク・レディーさんが登場する直前の時期です。
洋楽では、ジャニス・イアンさんの「ラブ・イズ・ブラインド」、オリビア・ニュートン・ジョンさんの「ジョリーン」と「カントリー・ロード」がヒットしています。
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オリコン初登場1位曲
作品を発売してすぐに売れる事が当たり前となった現在では、「初登場1位」は珍しい事ではありません。しかし1970年代では、とても珍しい事でした。
1970年代に初登場1位を成し遂げた作品は、下記の4作品しかありません。
No | 曲名 | 歌手名 | 達成した年 |
1 | およげ!たいやきくん | 子門真人 | 1976年 |
2 | ビューティフル・サンデー | ダニエル・ブーン | 1976年 |
3 | パールカラーにゆれて | 山口百恵 | 1976年 |
4 | サウスポー | ピンク・レディー | 1978年 |
オリコンランキングで、歴代最多セールス枚数を誇る子門真人さんの「およげ!たいやきくん」は“オリコン史上初の初登場1位”という記録も持っています。
また、ダニエル・ブーンさんの「ビューティフル・サンデー」も洋楽シングル盤の歴代最多セールスの作品です。
どちらの作品も、初登場1位になってから売上枚数が伸びているため、『ヒットの規模が大きすぎて、初登場1位になってしまった。』という解釈ができそうです。
ピンク・レディーさんの7作目である「サウスポー」も、連続してミリオンセラーを記録していた時期、ブームが最も過熱している時期のため、同じように解釈できます。
しかし、「パールカラーにゆれて」は、他の3作品と比べると、ヒットの規模はそれほど大きくないのに、なぜか初登場1位を記録しています。
歌手のスター性を示す初週の売上枚数
CDが発売されると同時に購入する層は、ファンの方々と考えられます。新曲がいつ発売されるかを知っている、自らすすんでチェックしていると推測されるからです。
昔のヒット曲を取り上げる音楽番組で当時の映像が流れるとき、人気アイドルが歌うステージには、客席に多くのファンの方がいて歌っている合間に声援を送る姿が映る事があります。
このファン行動は、オーディション番組「スター誕生」あたりから始まったのでしょうか、まるでファンというより組織的な応援団のようで、本気度の高さ、真剣さが印象に残る場合もあります。
「パールカラーにゆれて」が初登場1位となったのは、前作「横須賀ストーリー」のヒットが新たなファン層を生み出すきっかけとなり、新曲への期待が相当高まっていた事を裏付けているように解釈できます。
山口百恵さんは引退後、復帰する事は無く、潔さから伝説のアイドルと形容されますが、スター性はこの時期から生まれていたと感じます。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では「パールカラーにゆれて」はCマイナー(ハ短調)です。
作詞・作曲は、阿木燿子さん、宇崎竜童さんではありません。
デビュー作から作詞を手掛けておられる千家和也さんの作詞になっていますが、それまでの作品で描かれてきた、幼さを感じる主人公像は見受けられません。イメージチェンジを意識して書かれた作品と思います。
作曲は「およげ!たいやきくん」を作られた佐瀬寿一さんです。空前の大ヒットをした直後ですので、レコード会社が命運を賭けた山口百恵さんの新曲の作曲依頼をしたのかも知れません。
曲情報
発売元:株式会社CBS・ソニー
品番:06SH 62
A面
「パールカラーにゆれて」
英題:PEARLCOLOR NI YURETE
作詞:千家和也
作曲:佐瀬寿一
編曲:船山基紀
演奏時間:3分5秒
B面
「雨に願いを」
作詞:千家和也
作曲:佐瀬寿一
編曲:船山基紀
演奏時間:3分16秒
参考資料
「パールカラーにゆれて」レコードジャケット
『ORICON No.1 HITS 500 1968~1985 上』株式会社クラブハウス
「You大樹」オリコン
「バンドプロデューサー5」
今週のお題「わたしの自由研究」