ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「河内のオッサンの唄」ミス花子(昭和51年)

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「河内のオッサンの唄」ミス花子

流行時期(いつ流行った?)

 ミス花子さんの「河内のオッサンの唄」は、昭和51年にヒットしました。8月に発売され、9月初旬から10月初旬にかけてヒットしました。

 関西弁が前面に押し出されたユーモアのある作品です。

 

同時期に流行った作品

 この作品がヒットしていた時期は、あおい輝彦さんの「あなただけを」が首位となっています。

 

 「およげ!たいやきくん」のヒットが落ち着いた後で、子供向けの作品である、のこいのこさんの「パタパタママ」や、斎藤こず恵さんや川橋啓史さんの歌う「山口さんちのツトム君」がヒットしています。

 子供に人気だったであろうザ・ドリフターズさんの「はじめての僕デス/全員集合東村山音頭」もヒットしています。

 

 その他では、桜田淳子さんの「ねぇ!気がついてよ」西城秀樹さんの「若き獅子たち」がヒットしています。

 

 


河内のオッサンの唄 DVD発売【告知】

※東映ビデオさんの投稿動画

 映画予告編の動画ですが、1分21秒あたりからちょっとだけ曲が流れます。

 (映画化されてたんですね・・・(^_^;。)

 

昭和51年に人気になった関西弁

 「河内のオッサンの唄」がヒットする前に、上方で活躍する漫才師の海原千里・万里さんの歌う「大阪ラプソディー」がヒットしました。

 当時の流行は存じ上げませんが、関西の漫才師が歌ったレコードがヒットするという事は、本業でアイドル的な人気を得ていたのだろうと推測されます。

 

 また、異邦人さんの歌う「嗚呼!花の応援団」も人気となっていました。

 こちらは漫画が原作で、架空の南河内大学が舞台となっている作品です。主人公である青田赤道の関西弁のセリフが吹き込まれています。

 

 関西弁が吹き込まれた流行歌は、稀ですが古くから登場しています。笠置シヅ子さんの「買物ブギー」(昭和24年)や藤島桓夫さんの「月の法善寺横丁」(昭和35年)が有名な作品でしょうか。

 地域性を帯びる方言は作品の世界観を演出する手法として用いられてきた、と考えられます。

 

 しかし、漫才や漫画といった異なるエンターテイメントから、関西弁に関連するヒット曲が登場した事が、昭和51年の特徴です。

 

関西弁の中でも河内弁の歌

 河内弁は、鉄砲光三郎さんの「民謡鉄砲節」(昭和38年)のヒットで有名となった河内音頭で知られる地域の方言です。

 

 タイトルの「オッサン」という響きもインパクトがありますが、歌詞中に何度も繰り返される、「ワレ」、「やんけ」という迫力のあるフレーズが印象に残ります。

 

 「河内のオッサンの唄」を“方言を面白おかしく用いた作品”として捉えると、吉幾三さんが歌った「俺ら東京さ行ぐだ」(昭和60年)と同じ印象を受けます。

 

完成度の高い作品

 タイトルから、ついコミックソングと受け止めてしまいますが、実は大阪人の特徴を的確に描写しており、仕上がりのレベルが高い傑作と考えています。

 

 私が気付いたのは2点だけですが、1つは、関西圏の方が聴いても違和感が無いステレオタイプ化が出来ていると感じる点です。

 大げさな河内弁を話すことによって登場人物のキャラクターが表現されています。聴き手には「実際はこんな言葉で話す人はいないけど、こういう感じの人いるかも。」と思わせる事が出来ていると感じます。

 

 もう1つは、場面のコマ割りが明確な点です。この作品は、河内のオッサンの家を訪問した友人がおもてなしを受ける作品で、「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」(昭和50年)と同じように、サビのフレーズが場面の区切りとなっています。

 

 1.家の玄関口での挨拶の場面(いきなり河内弁で話しかけてくるオッサン)

 

 2.家にあがらせてもらって、食事をごちそうになる前の雑談の場面(一方的に話し続けるオッサン)

 

 3.食事中にビールを飲んでますます多弁になる場面(2回くりかえし)

 

 4.酔いつぶれてしまって、くだをまかれる場面(歌ではなくセリフになっている)

 

 5.食事が終わって酔いもさめてお見送りをしてもらう場面(1.と同じ調子)

 

 酔いつぶれて終わりかと思ったら、いつの間にか酔いも冷めて、最後はきちんとお見送りをしてくれます。

 

 そして、その時のセリフは「じゃあ、お元気で。」と言うのに加えて、「お互い、いつか大成して立派になろうな。」という、村田英雄さんの「王将」(昭和37年)で描かれるような、胸に秘めている闘志を感じるセリフも交えています。

 

 映画予告編の動画には「ヤングの応援歌」という字幕が出てきますが、もしかしたら来客者は若者だったのかもしれません。確かに、家の主は訪問者を元気づけようとして話続けている印象も受けます。

 

 この作品について取り上げられるときは、独特な方言に注目されがちですが、河内弁で語られる登場人物の気持ちが、多くの人たちの共感を集めたのだと感じます。

 

 楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「河内のオッサンの唄」はCマイナー(ハ短調)です。サビは並行調のE♭メジャーでしょうか。

 

 セリフの背後で流れるコードは、Cm、B♭、A♭、G7と下降和声になっています。突然の訪問者を明るく迎え入れる陽気な人柄と、お酒が入ったときの泣き上戸になる主人公の語り心情の変化が、音楽にとても合っていると感じる作品です。

 

曲情報

 発売元:日本コロムビア株式会社

 品番:LK19-A

 

 A面

  「河内のオッサンの唄」

  作詞・作曲:ミス花子

  演奏時間:3分10秒

 

 B面

  「サラリーマンぶるうす」

  作詞・作曲 ミス花子

  演奏時間:3分19秒

 

参考資料

 「河内のオッサンの唄」レコードジャケット

 「you大樹」オリコン

 「バンドプロデューサー5」