ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「星のフラメンコ」西郷輝彦(昭和41年)

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流行時期(いつ流行った?)

  西郷輝彦さんの代表曲と言える「星のフラメンコ」は、昭和41年(1966年)7月月に発売されました。

 『ミュージックマンスリー』の月間ランキングによると、発売された月に首位を獲得されているため、前評判が高く、ファンに人気を集めた作品だったように推測されます。

 

集計日付 順位
昭和41年7月 1位
昭和41年8月 2位
昭和41年9月 4位

 

 現在では、“初登場1位”という歌い文句も当たり前になりすぎて、楽曲の人気を示す宣伝にもならなくなりましたが、アイドル的な人気を集めた歌手は、自然と新曲に対する需要が高くなりますので、昭和41年当時、西郷輝彦さんはすでにアイドルとして人気者だったと考えられます。

 

 7月初旬に発売されたのか、下旬だったのか不明ですが、当月に首位を獲得しているという事は、7月上旬に発売されたのだと思われます。

 

 

 橋幸夫さん、舟木一夫さん、西郷輝彦さんの事を御三家と呼ぶようになったのは、いつ頃だろう?と思いますが、「星のフラメンコ」の人気ぶりから、昭和41年時点で、すでに存在していたと思われます。

 

 

なぜフラメンコが選ばれ、支持されたのか?

 西郷輝彦さんは、ビートルズが登場する前に「君だけを」(昭和39年)でデビューされた歌手です。そのため、歌謡曲テイストの青春歌謡歌手として活躍されていました。

 昭和40年に「涙をありがとう」や「星娘」がヒットした事で、流行歌手として地位を確立されました。

 

 「星娘」以降、歌謡曲というよりポップスに近い曲調の作品を多数発表するようになります。

 同時に多くのファンを獲得されたようで、新曲は次々とヒットを記録していますが、昭和41年に発表された作品で最も人気が高かったのが「星のフラメンコ」です。

 

 “星”は、「星娘」のヒットがあっての事と感じますが、なぜフラメンコが選ばれたのでしょうか?

 

 このあたりの背景は不明ですが、結果として「星のフラメンコ」はヒットしました。フラメンコはスペインの民族音楽です。しかしスペインのヒット曲が日本でヒットした事はありませんでした。

 

 推測されるのは、ハーブ・アルパートとティファナ・ブラスさんの「蜜の味(テイスト・オブ・ハニー)」のヒットです。メキシコの音楽ですが、拡大解釈して南米の音楽とすると、言語的にスペイン語の国々の文化圏になります。

 

 「蜜の味」をきっかけに、ラテン音楽の人気が日本で再燃したために、レコード会社もこの流行に合わせよう!として企画されたのかも知れません。

 

 リズム感のある「星のフラメンコ」は、サウンドが当時の流行に合っていたために、支持を集めたのかも知れません。

 

 グループサウンズの作品も登場し始めていた時期ですが、どちらかというとフォーク調の作品が多く、テンポの良い作品というと、橋幸夫さんが築かれたリズム歌謡の方が支持を集めており、その人気に合わせた作品と受け止められたのかもしれません。

 

 

新しい青春歌手の主人公像

 「星のフラメンコ」の登場人物には、好きな女性がいます。しかし、その女性に対する想いを、好きだと思っているけど自らの意思で伝えない、と歌っています。

 ラテン音楽の訳詞を見ると積極的な歌詞が多いのですが、ラテン調の「星のフラメンコ」では硬派な男性が主人公になっています。

 

 しかし、『好きな人に好きと言わない』という青春歌謡の主人公は稀です。「明日があるさ」(昭和39年)のように、『好きだけど好きと言えない』人物像は数々の作品登場しましたが、あえて言わない、という価値観が描かれたのは、この作品が初めてではないか?と感じます。

 

 “太陽の下で、素直に若さを謳歌しよう!”という価値観が、多くの作品で表現されていた昭和3、40年代に、若者が自らの気持ちに殻をかぶせるような表現が描かれている点は気になります。

 好きだからこそ、かも知れませんが、美樹克彦さんのように、体当たりで臨まない人物像が登場しているのは異色に感じます。

 

 

 

浜口庫之助さんの作品

 「星のフラメンコ」は、浜口庫之助さんの作品です。

 

 守屋浩さんの「僕は泣いちっち」(昭和35年)から作詞・作曲を手掛けられるソングライターで、もしご自身がレコードを発売してヒットしておれば、元祖シンガーソングライターと言える方です。

 

 浜口庫之助さんは、若手歌手の作品を手掛けておられます。特に、日本初のフォークソング「バラが咲いた」や、グループサウンズのスパイダースさんの作品を手掛ける等、レコード音楽が若者の音楽に方向転換した時期(昭和41、42年)の活躍が目立ちます。

 ちょうど「星のフラメンコ」がヒットしていた時期です。

 

 

 バンドプロデューサーの分析では、「星のフラメンコ」は、C#マイナー(嬰ハ短調)です。

 

曲情報

 発売元:日本クラウン株式会社

 品番:CW-505

 A面

  「星のフラメンコ」

  英題:HOSHI NO FLAMENCO

  作詞:浜口 庫之助

  作曲:浜口 庫之助

  編曲:小杉 仁三

  演奏時間:3分3秒

 

 B面

  「湖にゆこうよ」

  英題:MIZUUMI NI YUKOYO

  作詞:浜口 庫之助

  作曲:浜口 庫之助

  編曲:小杉 仁三

  演奏時間:3分11秒

 

参考資料

 「星のフラメンコ」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社