ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。戦前戦中をけんきゅうちゅう。

「ポカンポカン」梓みちよ(昭和41年)

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 昭和41年のヒット曲には、あるキーワードがあります。それは、“ふたり”です。

 

 この年を代表するヒット曲、「君といつまでも」がそうさせたのか、元々この年には、みんなが幸せを実感する世の中の雰囲気があったのかは分かりませんが、同年にヒットした梓みちよさんの「ポカンポカン」にも“ふたり”のキーワードが登場します。

 

 

 


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注)梓みちよ - トピックの動画

 

 

 タイトルが奇抜な「ポカンポカン」、ミュージックマンスリーのランキングでは、昭和41年8月に14位となっただけです。

 記録上はそれほどヒットしていないと感じます。

 

 しかし、この作品には、当時ヒットしたと思わせる2つの特徴があります。1つは、翌年に似た路線の「渚のセニョリーナ」がヒットしている事です。

 

 楽曲を製作された方は異なりますが、夏を感じさせる明るい曲調、テンポの遅い作風は、「ポカンポカン」を意識して製作されていると感じます。歌謡界でよくみられるヒットの二番煎じを製作する動きです。

 

 もう1つの疑問は、「ポカンポカン」には、2色刷りバージョンと、カラー印刷バージョンのレコードジャケットが存在する事です。しかし、「渚のセニョリーナ」も2パターン存在しますので、予想外に売れたから2パターンのジャケットとなったとは言え無さそうです。

 

 

 気になるタイトルの「ポカンポカン」ですが、もう一つこの曲のヒットの推移が記録されています。

 アメリカの週刊誌『CASHBOX』のINTERNATIONALのコーナーに、不定期に掲載されているJAPANの週刊ランキングです。

 

発売日付 順位
昭和41年10月1日 8位
昭和41年10月8日 6位
昭和41年10月15日 2位
昭和41年10月22日 3位
昭和41年10月29日 8位

 

  海外の雑誌ではさすがに詳細な情報は記録されておらず、ランキングには集計期間が記載されていません。そのため、大変残念ながら日本で何時ごろに集計したランキングかは不明です…。日付は雑誌の発売日になります。

 

 海外に情報が伝わるまで半月以上はかかっていたと思いますので、9月末から10月中旬にかけてヒットしたという感じでしょうか? 

 結局どちらのランキングを参考にしても1ヶ月しか上位に登場しませんでしたので、それほどヒットした印象は受けません。

 

 しかし、「こんにちは赤ちゃん」で昭和38年にレコード大賞を受賞された梓みちよさんが、4年後に「ポカンポカン」というタイトルの曲を発表され、実際に聴いてみるとのんびりとしたハワイアン音楽である、という意外性は、当時の人たちにも好奇心を与えた作品だと思われます。

 

 歌詞カードには、“抽選で200名様にヤマハウクレレをプレゼントいたします。”と印刷され、キリトリ線で応募券が付いています。キングレコードさんはこの曲を機にハワイアンを広めたかったのでしょうか。

 

 通常の流行り方ではなかったにせよ、おそらく、やや低い順位のあたりでロングセラーとなった作品ではないか?と感じる作品です。

 

 作詞をされているのは、なぜかラジオ時代からご活躍されていた三木鶏郎さんです。流行歌では「僕は特急の機関士で」(昭和26年)しか存じ上げませんが、ユーモアを備えた作品を作曲される方です。

 

 この作品では、ハワイアン歌謡の代表曲である「カイマナヒラ」のように、日本人に不慣れなカタカナの響きを「ポカンポカン」と連想されたから、タイトルになったのかも知れません。言葉の響きがハワイっぽいと言われれば、ハワイっぽく感じますので…。  

 

 バンドプロデューサーの分析では、「ポカンポカン」はD#メジャー(変ホ長調)です。後半は半音上がってEメジャー(ホ長調)です。

 曲を聴いて分かりましたが、「ポカンポカン」はコミックソングではなく、日本人が作ったハワイアン歌謡です。

 

 ハワイアン音楽と特に縁の無い歌手を起用するなど、この作品を製作したキングレコードさんの企画力は意外性が多く素晴らしいアイデアを感じます。

 昭和時代、海外音楽を日本の歌謡界に取り入れる制作側の姿勢を感じる作品のうちの1曲です。

 

曲情報

 発売元:キングレコード株式会社

 品番:BS-446

 A面

  「ポカンポカン」

  演奏時間:3分34秒

 

 B面

  「憶えているかしら」

  演奏時間:3分37秒

 

参考資料

 「ポカンポカン」レコードジャケット

 『ミュージックマンスリー』月刊ミュジック社

 『CASHBOX』海外誌