ママス&パパスさんの「夢のカリフォルニア」は、日本では2回ヒットした作品です。
ヒットチャートの記録では、1度目は、作品が発表されて日本でもレコードが発売された昭和40年代初め。
2度目にヒットしたのは、なぜか十数年後の昭和50年代半ばです。
▼1度目のヒット記録▼
日本で発売されたのは昭和41年5月(『洋楽シングルカタログ RCA編』参照)で、同月にヒットチャートにランクインしていました。
レコード解説に記載されている日付は2月ですので、もしかしたら2月に発売されたのかも知れません。
昭和41年の「夢のカリフォルニア」のランキング推移
集計月 | ミュージック・マンスリー | ミュージック・ライフ |
昭和41年5月 | 17位 | 17位 |
昭和41年6月 | 14位 | 22位 |
2ヶ月間ランクインしているものの、歌謡曲系の作品を省いた洋楽・ポップス系のみのランキングで10位台だったということは、それほどヒットしていなかったように感じます。売上枚数が記載されていないヒットチャートなので、累計枚数は分かりません。
▼2度目のヒット記録▼
14年後の昭和55年には、新録音盤が7月に発売されました。“コダック・カラー・フィルムCF使用曲”と記載されていますので、CMソングでテレビで流れて商品化されたのだと思われます。9月、10月にヒットしていました。
ジャンルは関係なく、売上枚数のみで順位付けされるオリコンのランキングで、約20万枚の売上が記録されています。
流行した規模を推測すると、おそらく日本では昭和55年の方がヒットしていたのではないか、と考えます。
「夢のカリフォルニア」は、1960年代半ば、海外ではベトナム戦争に対する反戦の主張がフォーク・ソングを介して、ヒットチャートに姿を現し始めた時期に発売されました。
アーティストが訴えたい事を、聴き手によりアピールするために、ロックの要素を加味したフォーク・ロックとよばれるジャンルが誕生した頃です。
レコードジャケットの解説には“いわゆるフォーク・ロック調の歌”と記載されていますが、和訳が掲載されておらず、歌詞のニュアンスに反戦の意味が込められているかは分かりません。
海外の音楽界では、1960年代に正当に評価されてヒットした作品ですが、日本では作品の趣旨が伝えられていない状態で発売されたようです。「よく分からないけど、海外で売れてるらしいから、日本でも発売しよう!」という感じで、やって来た作品の1つです。
情報が少なかったためか、解説では、楽曲ではなく“ママス&パパス”というグループ名の奇抜さに関して、かなりの文字数が割かれています。
後年、CMソングに起用されましたが、人々の耳に訴えるメロディを備えた、おしゃれな洋楽曲、という認識で広まったような印象を受けます。
バンドプロデューサーの分析では、「夢のカリフォルニア」はDm(ニ短調)です。ヒットした新録音盤では、左右が別々に聞こえるようなステレオ加工が施されています。その影響か、聴いた印象では、当初の盤に比べて、心に響かず、頼りなさを感じる音源になっています。
私は歌詞の内容は分かりませんが、聴いていて歌の力を感じる作品です。歌手が伝えたい感情を聴き手に届ける事ができている作品、という表現をすれば良いのでしょうか。
フォーク系の作品と捉えていますが、このジャンルで男女コーラスのハーモニーで歌われた作品はあまり見聞きしたことがありませんので、今聴いても新鮮なサウンドであると感じます。
曲情報
(昭和41年盤)
発売元:日本ビクター株式会社
品番:SS-1669
A面
「夢のカリフォルニア」
原題:CALIFORNIA DREAMIN'
演奏時間:2分38秒
B面
「いかした娘」
原題:SOMEBODY GROOVY
演奏時間:3分10秒
(昭和55年盤)
発売元:ビクター音楽産業株式会社
品番:VIMX-1502
A面
「夢のカリフォルニア」
原題:CALIFORNIA DREAMIN'
演奏時間:2分39秒
B面
「マンデー・マンデー」
原題:MONDAY, MONDAY
演奏時間:3分23秒
参考資料
「夢のカリフォルニア」レコードジャケット
『洋楽シングルカタログ RCA編』
『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社
『ミュージック・ライフ 東京で1番売れていたレコード 1958~1966』株式会社シンコー・ミュージック・エンタテイメント
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン
「you大樹」オリコン
「バンドプロデューサー5」