ヒット曲けんきゅうしつ

流行した音楽を探して、色々考えるブログ

「帰らざる日のために」いずみたくシンガーズ(昭和49年)

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 "青春"をテーマにするヒット曲はたくさんあります。昭和49年にヒットした「帰らざる日のために」もそのうちの1つです。

 

 歌っているのは、いずみたくシンガーズさんです。昭和49年4月に発売され、6月末から9月初めにかけてヒットしました。

 レコードジャケットには、『NTV系「われら青春!」テレビ主題歌』と記載されています。テレビドラマの主題歌のために結成されたグループだったのかも知れません。女声コーラスで構成されているようです。

 

 

 青春は時代によって描かれ方が異なります。昭和3,40年代では、“若い事は素晴らしい事”、“青春は太陽の下で謳歌するもの”といった価値観を描く作品が数多く登場した印象があります。

 

 しかし、「帰らざる日のために」がヒットした昭和40年代後期になると、青春には陰りの心理も描かれるようになりました。

 "若い時分は分からない事ばかりなので、迷いや過ちを犯すもの”、“身体は成長する時分なので、エネルギーはあっても何に情熱を注げば良いか分からないため、葛藤が生じるもの”、といったリアルな心情が描かれ始めるようになりました。

 

 

 「帰らざる日のために」でも、大人さえ答えられない“なぜ生まれてきたのか?”、“生きるとはどういう意味があるのか?”と冒頭に問いかけてくる歌詞になっています。

 

 30代半ばになった今では、"答えは無いから、それを見つけるのが人生で、どう生きるかは自分で探すもの”と思います。

 しかし、誰でも一度は考えた事のある疑問を真っ先にぶつけてくる作詞には、若者のエネルギーを感じ、つい、この作品の世界観に引き込まれてしまいます。

 

 この作品では、“冒頭の疑問の答えを探そう!”と熱く訴えています。この視点はそれまでに無く、等身大の価値観が普及したと考えます。昭和40年代は、数々の青春ドラマが人気となったそうですが、おそらく「帰らざる日のために」が伝えたい内容で脚本が書かれていたのだろうと思います。

 

 

 バンドプロデューサーの分析では、「帰らざる日のために」はDマイナー(ニ短調)、終盤のサビは、シンプルなメロディを盛り上げるために、半音上がってE♭マイナー(変ホ短調)になります。

 

 この作品には、ゼンクエンチアと呼ばれる手法が用いられているようです。サビの部分のフレーズが顕著ですが、ひとつのフレーズを、次に半音下げて、そしてさらに半音下げて、といった形で音符が並ぶ楽譜になっています。

 

 似たメロディの繰り返しでひとつの作品に仕上がっていますが、聴いていてもなかなか飽きない作品です。

 

曲情報

 発売元:ワーナー・パイオニア株式会社

 品番:L-1184W

 A面

  「帰らざる日のために」

  作詞:山川啓介

  作曲:いずみたく

  編曲:森岡賢一郎

  演奏時間:3分42秒

 

 パイオニア・オーケストラ

 

 B面

  「青春の0番地」

  作詞:山川啓介

  作曲:いずみたく

  編曲:森岡賢一郎

  演奏時間:3分24秒

 

 NTV系「われら青春!」テレビ主題歌

 

 ディレクター:塩崎 喬

 撮影:青松 吉植

 

参考資料

 「帰らざる日のために」レコードジャケット

 『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン

 「you大樹」オリコン

 『歌謡曲の構造』小泉文夫

 「バンドプロデューサー5」