流行時期(いつ流行った?)
いずみたくシンガーズさんの「帰らざる日のために」は、昭和49年(1974年)にヒットしました。
TVドラマ『われら青春!』の主題歌です。(中村雅俊さんの「ふれあい」が挿入歌なんですね。名作ドラマだったのだろうと想像できます♪)
<『レコードマンスリー』のランキング推移>
年月 | 順位 |
昭和49年06月 | 22位 |
昭和49年07月 | - |
昭和49年08月 | 20位 |
(YouTubeには製作者の権利を確認できる動画は見当たりませんでした。良い曲なのでワーナーミュージック・ジャパンさんに頑張ってほしいと思います。)
"青春"を感じる曲
レコードジャケットには、『NTV系「われら青春!」テレビ主題歌』と記載されています。
テレビドラマの主題歌のために結成されたグループだったのかも知れません。女声コーラスで構成されているようです。
若さの代名詞である"青春"は、時代によって描かれ方が異なります。
昭和3,40年代では、“若い事はそれだけで素晴らしい事”、“若さは太陽の下で謳歌するもの”といった価値観で描かれる作品が数多く登場した印象があります。
しかし「帰らざる日のために」がヒットした昭和40年代後期になると、青春には陰りの心理も描かれるようになりました。
"若い時分は分からない事ばかりなので、迷いや過ちを犯すもの”、“身体は成長する時期で、エネルギーがあっても何に情熱を注げば良いか見つけられないため、葛藤が生じるもの”、といったリアルな心情が描かれ始めるようになりました。
「帰らざる日のために」では、大人でさえ答えられない“なぜ生まれてきたのか?”、“生きるとはどういう意味があるのか?”と冒頭に問いかける歌詞になっています。
大人からすれば、"その答えは無い。それを見つけるのが人生で、どう生きるかは自分で探すもの”と思います。
しかし、誰もが一度は考えた事のある疑問を真っ先にぶつけてくる作詞には、若者のエネルギーを感じ、つい、この作品の世界観に引き込まれてしまいます。
おそらく、現代の若い方が聴いても納得できる歌詞と思います。
「帰らざる日のために」は、“冒頭に尋ねた疑問の答えを探そう!”と熱く訴える歌詞です。
この視点はそれまでに無く、当時の若者が感じていた等身大の価値観が受け入れられる時代に変化したと感じさせてくれます。
昭和40年代は、数々の青春ドラマが人気となったそうですが、おそらく「帰らざる日のために」が伝えたい内容で脚本が書かれているのだろうと思います。
楽曲分析
バンドプロデューサーの分析では、「帰らざる日のために」はDマイナー(ニ短調)、終盤のサビは、シンプルなメロディを盛り上げるために、半音上がってE♭マイナー(変ホ短調)になります。
この作品には、ゼンクエンチアと呼ばれる手法が用いられているようです。サビの部分のフレーズが顕著ですが、ひとつのフレーズを、次に半音下げて、そしてさらに半音下げて、といった形で音符が並ぶ楽譜になっています。
似たメロディの繰り返しでひとつの作品に仕上がっていますが、聴いていてもなかなか飽きない作品です。
曲情報
発売元:ワーナー・パイオニア株式会社
品番:L-1184W
A面
「帰らざる日のために」
作詞:山川啓介
作曲:いずみたく
編曲:森岡賢一郎
演奏時間:3分42秒
パイオニア・オーケストラ
B面
「青春の0番地」
作詞:山川啓介
作曲:いずみたく
編曲:森岡賢一郎
演奏時間:3分24秒
NTV系「われら青春!」テレビ主題歌
ディレクター:塩崎 喬
撮影:青松 吉植
参考資料
「帰らざる日のために」レコードジャケット
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン
「you大樹」オリコン
『歌謡曲の構造』小泉文夫
「バンドプロデューサー5」