カオマさんの「ランバダ」は平成元年11月に発売されました。この曲の人気に火が付いたのは翌年になってからです。オリコンチャートでは、4か月後の翌年4、5月に上位にランクインしました。
平成のヒットチャートではかなり珍しくなった洋楽シングルのヒット曲、ラテン音楽の作品です。
「ランバダ」のCDジャケットには“今年最大のスーパー・ヒットがやってきた。世界で最もセクシーなダンス・ミュージック上陸!全ヨーロッパ・チャートNo.1獲得。”と印刷されています。
ダンス・ミュージックというと、昭和50年代後半にディスコ・サウンドが多くの人に支持されましたが、その後、昭和60年代、平成ひと桁代でもディスコ・サウンドは人気を集めていました。
そのため「ランバダ」が日本でヒットするきっかけになったのは、ディスコからだと感じます。
昭和60年代にはヨーロッパのヒット曲、いわゆるユーロ・ポップス、ユーロ・ビートが人気を集めました。
カオマさんはフランスの音楽グループなので、「ランバダ」はユーロ・ポップスの流行の延長で日本に輸入された作品であると考えます。
しかし「ランバダ」を聴いても、曲の雰囲気にフランスらしさは全く感じません。聴いた印象は、やはりラテン・アメリカ圏の音楽と感じます。
日本の音楽業界は、ディスコで踊るための音楽として、ヨーロッパから音源を輸入していました。
この時代のフランスの音楽業界では、様々な国の民族音楽、ワールド・ミュージックの作品を制作することが推進されていたようです。その背景には、異文化の移民を受け入れる世の中の雰囲気があったのだろうと考えられます。
ワールド・ミュージックのヒット曲はフランスでは色々ヒットしていましたが、その中の1曲が「ランバダ」でした。ヨーロッパ人に支持を得たラテン音楽は、遠く離れた日本でも支持を集めました。
昭和時代でも、日本にはラテン音楽を支持する土壌があったため、「ランバダ」のヒットには特に違和感は覚えません。しかし、従来のラテン音楽とは作品の質が異なるように感じます。
楽譜を見て気付いたのですが、「ランバダ」は雰囲気はラテンっぽいですが、メロディラインがシンプルすぎると感じます。
昭和にヒットしたラテン音楽は、拍を意図的にずらすシンコペーションを多用したメロディが登場していました。
しかし、「ランバダ」は実際に弾いてみると、こんなに簡単なメロディだったの?と感じてしまうくらい、リズムの単純さを感じてしまいます。
しかし、シンプルなメロディの繰り返しながら、「ランバダ」には何度聴いても飽きない要素を持っていると感じます。
それが、あまり耳にする機会のないラテン音楽風の編曲によるものなのか、考えなくても良さが分かるシンプルさなのかはよく分かりません…。
バンドプロデューサーの分析では、「ランバダ」はDマイナー(ニ短調)です。繰り返しの多い作品ながら、日本の作品で見受けられる終盤に半音上がるような事もせず、フェードアウトしていきます。
曲情報
発売元:EPIC/SONY RECORDS
品番:ESDA-7009
A面
「ランバダ」
原題:LAMBADA
B面
「ランバダ(Instrumental)」
参考資料
「ランバダ」CDジャケット
『オリコンチャート・ブック アーティスト編全シングル作品』オリコン
「you大樹」オリコン
「バンドプロデューサー5」