流行時期(いつ流行った?)
ヨルシカさんの「花に亡霊」は、令和2年(2020年)にヒットしました。
映画『泣きたい私は猫をかぶる』の主題歌として書き下ろされた作品です。
4月に配信が開始され、数か月ほど20位あたりにランクインしています。
<mora~WALKMAN公式ミュージックストア~月間ランキング推移>
年月 | 通常 | ハイレゾ |
令和02年04月 | 18位 | 77位 |
令和02年05月 | 29位 | - |
令和02年06月 | 20位 | - |
令和02年07月 | 18位 | - |
令和02年08月 | 58位 | - |
令和02年09月 | 67位 | - |
令和02年10月 | 88位 | - |
映画がNetflixで配信された6月に再び順位を上げています。
※映画は6月に公開予定でしたが新型コロナウイルス感染症のまん延の影響で、劇場公開が中止されています。8月には舞台となった愛知県常滑市での特別上映が企画されていますが、緊急事態宣言が発令されたため、こちらも中止されています。
(映画「泣きたい私は猫をかぶる」公式サイト|Netflixにて全世界独占配信中!)
注)ヨルシカ / n-buna Official 公式アーティストチャンネルの動画
「花に亡霊」のオフィシャルビデオには、映画のシーンが用いられているようです。
不意に思い出す若い頃の記憶を"亡霊"と比喩されている事に感銘を受けました。タイトルからは、この曲調を絶対に想像できません・・・(^^;A。
ボカロはあらゆる音楽を表現できる?
「花に亡霊」は、196,70年代の若者が表現したフォークソングに通じるシンプルさを備えた作品と感じます。
そのため、ヨルシカさんがボカロPとして音楽活動をされていたと知ったときは驚きました。
現在流行しているボカロP出身のアーティストの作品を聴くと、「緻密に計算されている」とか、「いつ息継ぎをしているのだろう?」等と感じるような、"技術を駆使した音楽"と感じるからです。
「花に亡霊」は、"ボカロ曲=コンピュータで作られるテクニカルな音楽"という無意識に築いていた固定概念を崩してくれた作品です。
私は【コンピュータ×音楽=シンセサイザーの機械音】という価値観が染みついていました。
ボカロは"自分が表現したい音楽"を補助する役割を果たしているのですね。
用いる人によって、活用の仕方が異なるくらいに進歩した技術である事を理解できました♪
青春の追体験
「花に亡霊」は、まるで自分自身が歌の主人公であるかのように共感しやすい歌詞です。
青春を描くのは小説や映画が得意と感じていますが、音楽でも可能である事を改めて実感できます。
音楽では、"主人公が想いを寄せる相手の心情が全く描かれていない"、もしくは、"お互いが考えている想いが結局交わされずに終わる"事が特徴です。
『相手の事を想って一歩を踏み出せない心理』、『「もしあの時・・・」、「あの頃は・・・」といった心情』は流行歌が得意とする心理描写です。
書籍や映画と違い、数分で完結する芸術なので伝わりやすさが重視されているのだろう、と捉えています。
"若い頃の後悔"は誰もが抱いていると思います。流行り歌が若い娯楽となった現代では、共感しやすい場面として【青春】を描く作品が増え始めたのだと解釈しています。
"青春"は夏に生まれる?
「花に亡霊」が表現する青春は、過去にも様々なヒット曲で題材となっています
目立ち始めるのは2000年代以降でしょうか。「夏祭り」(2000)や「secret base ~君がくれたもの~」(2001)、「打上花火」(2017)などが、思いつきます。
ヨルシカさんは井上陽水さんの「少年時代」(1991)をカバーされていますが、具体的なエピソードが描かれていない歌詞であるため、個性が活きていないと感じました。
時代をさかのぼるほど、具体的なエピソードを切り取った歌詞が少なくなります。調べ切れていませんが、「ひまわりの小径」(1972)がルーツかな?と考えています。
青春を題材にしたTVドラマが流行っていた時期に重なります。
ヒット曲では、"青春を描く作品=季節が夏"である事も興味深いです。
時代が変わっても、学生時代の特別な思い出は夏に生まれるのでしょうか。
曲情報
英題:「Ghost In A Flower」
作詞作曲、編曲: n-buna
Vocal: suis