流行時期(いつ流行った?)
エキセントリック少年ボウイオールスターズさんの「「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ」は、平成9年(1997年)にヒットしました。
オリコンランキングによると9月末に発売されたシングルCDは、翌月にベストテン入りしています。
注1)ライセンス WMG; Muserk Rights Management、その他 1 件の楽曲著作権管理団体の動画
注2)2番までの歌唱です。
笑いと音楽の両立が狙い?
ヒット曲にはコミックソングというジャンルが存在します。しかし実際に曲を聴いて笑った経験をお持ちの方は、ほとんどおられないのではないかと思います。
榎本健一さんやクレージーキャッツさん、ドリフターズさんがこのジャンルに該当すると思います。歌にユーモアを感じるものの、本業の劇場の舞台やTVでのコントと同じくらい笑いを誘っているとは感じません。
音楽と笑いはお互いが主役の存在で相性が悪いと感じます。個人的に両立は不可能と捉えています。
(音楽で笑いを誘うのは、真面目に製作された作品で歌唱力が不完全だったり、やりすぎだと感じる作品です。1960年代の歌謡曲や1980年代のアイドル曲で何曲か思いつきます。)
曲が始まるとどうしても"音楽が主役"になり、笑いが本来の力を出せなくなります。
そのためか、月亭可朝さんの「嘆きのボイン」(1970)やGEISHA GIRLSさんの「Grandma Is Still Alive」(1994)は"歌では無く語り"で製作されています。
現在ではコメディアンが楽曲を発表される事も一般的になりました。2010年代ではクマムシさんやオリエンタルラジオさんがご活躍されていますが、笑いでは無く音楽で勝負するような作品がヒットしています。(この企画が従来のコミックソングに該当するのか微妙です。)
『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』は、「音楽が主役でも、笑いを誘う楽曲を作ろう!」と挑んで成功した数少ないヒット曲と感じます。
ツッコミがボケ続ける状況
コード進行にはドミナントモーションがあります。不安定な音の響きを解消する【Ⅴ→Ⅰ】の進行です。
笑いに置き換えると【ボケ→ツッコミ】になると思いますが、この作品の歌詞にはツッコミが存在しません。最後まで全く解決されないため、「何この曲?」と感じる歌詞です。
戦隊ヒーローをパロディにしているので、「ヒーロー(?)が主役で、仲間がいる(?)という世界観」がかろうじて解釈できます。
興味深いのは、作詞された松本人志さんではなく浜田雅功さんがメインで歌っている事です。
自動的に延々とボケさせられる浜田さんですが、松本さんは一切ボケを回収しません。
浜田さんは歌いながら「どういう事?」と頭のなかでモヤモヤされているのでは?と思います。
アドリブでツッコミを入れてもいいと思いますが、最後まで忠実に歌唱されるため、聴き手も感じる「どういう事?」が全く回収されません。意味不明です。
翌年の「日影の忍者勝彦」(1998)の歌詞は、主人公の思想や経歴、目的が語られるため聴き手が自己解決できる点が多いです。
「エキセントリック少年ボウイ」は本当に謎です。終止ボケさせて相方をいじる事が目的?と考えたりもします。
1997年は、バラエティ番組からCDを発売する企画が目立ち始めます。前年にデビューされたのポケットビスケッツさんが活躍されていますが、この年には猿岩石さん、Little Kissさんが登場されます。
プロのコメディアンでも歌を企画すると笑いは弱くなります。『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』は、当時のダウンタウンさんの勢いも感じるコミックソングと思います。
曲情報
品番:AMDM-6226
発売元:イーストウエスト・ジャパン株式会社
販売元:株式会社ワーナーミュージック・ジャパン
発売日:97.9.25
CX系「ダウンタウンのごっつええ感じ」挿入歌
トラック1
「「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ」
作詞:松本人志
作曲・編曲:増田俊郎
トラック2
「ああエキセントリック少年ボウイ」
作詞:松本人志
作曲・編曲:増田俊郎
トラック3と4は(オリジナル・カラオケ)
エキセントリック少年ボウイ:浜田雅功
犬 ドッグ:板尾創路
鳥 バード:今田耕司
エテモンキー:蔵野孝洋
ニイハオ:東野幸治
カーボウイ:松本人志
参考資料
『「エキセントリック少年ボウイ」のテーマ』CDジャケット
「you大樹」オリコン