ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。戦前戦中をけんきゅうちゅう。

「恋のマイアヒ」オゾン(平成17年)

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流行時期(いつ流行った?)

 O-ZONE(オゾン)さんの「恋のマイアヒ(原題:Dragostea Din Tei)」は、平成17年(2005年)にヒットしました。

 

 洋楽がシングル盤でヒットする事が無い時代です。この曲が収録された『DiscO-ZONE』は2004年12月に発売されましたが、半年以上経った翌2005年8月にオリコンの週間アルバムランキングのトップテン入りをしています。

 

 10月中旬までトップテン入りしておりますが、8月下旬に首位を獲得していますので、「恋のマイアヒ」が最も流行ったのは2005年8月になりそうです。

 

 「恋のマイアヒ」はインターネット上で話題となりヒットした作品ですが、同時にインターネットを通じた音楽配信サービスが普及した時期にもなります。

 

 残念ながら音楽配信の黎明期であるこの時期は明確な記録が残っておりません。日本レコード協会さんの有料音楽配信認定によると、2006年8月時点で400万ダウンロードされていたようです。

 

 CDに比べて敷居が低い数値ですが、400万ダウンロードを達成しているのは、GReeeeNさんの「キセキ」(2007)だけです。

 

 直近で大ヒットした作品、米津玄師さんの「Lemon」(2018)は、2019年9月時点で300万ダウンロードとなっています。

 

 ・・・おそらく月額定額制で聴き放題のストリーミングサービスも登場している事が影響しているのかも知れません(>_<)。

 

 これからヒット曲はどうなっていくのでしょうか。

 

 

 


のまのまイェイ

注1)YouTube に使用を許可しているライセンス所持者 Cat Music, Believe Music(Time Records の代理); LatinAutor - SonyATV, CMRRA, LatinAutor, UNIAO BRASILEIRA DE EDITORAS DE MUSICA - UBEM, EMI Music Publishing, ARESA、その他 14 件の楽曲著作権管理団体

注2)動画には「簒奪」という難解な単語が登場しますが、「さんだつ」と読みます。

 

 

 日本人がほとんど耳にする機会のない、ルーマニア語で歌われた作品が、「まるで日本語で歌っているように聞こえるよ!」という事で、空耳ソングとして話題になった作品です。

 

 たしかに”飲ま飲まイェイ”という解釈は、秀逸な空耳と感じます…(^^;A。

 

 空耳という奇妙なきっかけですが、単なる話題で収束せずに楽曲がヒットした事は興味深い事です。

 

 空耳ソングとして楽しんだ方もおられると思いますが、おそらく作品の良さが理解されて多くの人がダウンロードをした、と考える方が自然に感じます。

 

 自然に流行した作品では珍しい事ではありませんが、この作品の正式な曲名がよく分かりません。CDには「ドラゴステア・ディン・テイ~恋のマイアヒ~」、当時の『月刊歌謡曲』には「恋のマイアヒ(ねこねこ空耳 恋ver.)」と記載されていたりします。

 

 

ヨーロッパでは"ちゃんとした大ヒット曲"

 CDの帯には、『ヨーロッパで400万枚もCDが売れたんやって!スゲェー!』という、何故か関西弁のセールス文句が印字されていますが、実際に、2004年のヨーロッパで大ヒットしています。

 

<Acharts.coの「Dragostea Din Tei」チャート成績>

週数 最高順位
フランス 15週間 1位
ドイツ 14週間 1位
スイス 14週間 1位
オーストリア 13週間 1位
ノルウェー 9週間 1位
オランダ 9週間 1位
アイルランド 1週間 1位
デンマーク 1週間 1位
ベルギー 6週間 2位
フィンランド 2週間 2位
スウェーデン 3週間 3位
イギリス 1週間 3位

 

 アメリカでは人気とならなかったのも興味深いです。

 

  タイトルの「Dragostea Din Tei」は、「リンデンバウム(菩提樹)の愛」となるようです。

 

 

 


O-Zone - Dragostea Din Tei [Official Video]

注)Time Records 確認済みの動画

 

 

 冒頭の音楽は、この曲の次に発売した曲「Despre tine」(2004)が用いられています。もしかすると、このPVは曲がヒットした後に製作されたものかも知れません。

 

 PVを見ると、インターネットの普及に限らず、コンピュータグラフィック(CG)の技術も、この時期に発展していたように感じます。

 2000年代中頃から、IT技術が日常生活に浸透し始めていた事も感じます。

 

 

インターネットの可能性

 2005年はYouTubeが設立された年で、存在が知られていなかったと思います。

 

 上記の空耳動画も、当時どのサイトで掲載されていたのかはよく分かりませんが、おそらく「pya!」に投稿された「マイヤヒー」が初出と思われます。2004年10月初めに投稿されたようです。

 

 

 地理的に離れた国同士でも、情報が共有できるインターネットはすっかり定着しました。

 

 ネギ回しのFlash動画(ロイツマ・ガール)がヨーロッパで人気になったり(2007年)、ジャスティン・ビーバーさんがピコ太郎さんの動画を楽しんだり(2016年)と、日本発の動画が海外で話題を集めた事があります。

 

 今のところ、風変わりな作品で小規模な話題に終わっていると感じますが、いずれ「上を向いて歩こう」(1961年)のように、日本発の世界的なヒット曲が誕生するのではないか?と期待しています。

 

 

楽曲分析

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「恋のマイアヒ」はC(ハ長調)です。

 

 用いられている音階は、ドレミファソラシドの全音階的長音階です。もっとも印象に残る"飲ま飲まイェイ"を2回繰り返す箇所は、2小節だけですがヨナ抜き長音階になっています。

 

 

曲情報

  「恋のマイアヒ」

  発売・販売元:エイベックス・マーケティング・コミュニケーションズ株式会社

  原題:Dragostea Din Tei

 

  これが噂のマイアヒ~マイアフ~

  飲ま飲ま、イエイ!

 

 

参考資料

 『DiscO-ZONE』CDジャケット

 『月刊歌謡曲2005年12月号』ブティック社

 「you大樹」オリコン

 「一般社団法人 日本レコード協会 有料音楽配信認定」