ヒット曲けんきゅうしつ

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「恋は紅いバラ」加山雄三(昭和40年)

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「恋は紅いバラ」加山雄三

流行時期(いつ流行った?)

  加山雄三さんの「恋は紅いバラ」は、昭和40年(1965年)にヒットしました。

 

 当時の雑誌ランキングによると最高順位が10位ですので、それほど人気が集中した作品では無いようです。しかし、半年間のロングセラーとなっています。

 最も人気を集めたのは、昭和40年の9、10月ごろのようです。

 

集計日付 順位
昭和40年8月 16位
昭和40年9月 10位
昭和40年10月 11位
昭和40年11月 13位
昭和40年12月 18位
昭和41年1月 18位

 ※『ミュージック・マンスリー』歌謡曲部門のランキング推移

 

 

同時期に流行った曲(昭和40年9月、10月)

 この時期に、首位となっていたのは、和田弘とマヒナスターズ、田代美代子さんの「愛して愛して愛しちゃったのよ」です。 

 

 歌謡曲では、石原裕次郎さんの「二人の世界」がヒットしています。舟木一夫さんの「高原のお嬢さん」橋幸夫さんの「僕らはみんな恋人さ」西郷輝彦さんの「星娘」と、御三家の活躍が目立ちます。

 

 洋楽では、フランス・ギャルさんの「夢みるシャンソン人形」が首位、ビートルズさんの「ヘルプ!」ベンチャーズさんの「キャラバン」「クルーエルシー」がヒットしています。

 

 


加山雄三/恋は紅いバラ (1965年)

 

 

「君といつまでも」三部作?の1作目

 曲を聴くとお気づきになられる方がおられるかも知れませんが、「恋は紅いバラ」は、翌年に大ヒットする「君といつまでも」と曲の構成がとても似ています。

 

 リズムが3連(スローロック)である事、間奏に加山雄三さんのセリフが挟まれている事の2点しか気づけませんが、この特徴は「君といつまでも」の作品の個性と言える特徴です。

 

 後世に語り継がれているのは「君といつまでも」だけですが、前後にはいくつかこの特徴を備えた作品が発表され、いづれもヒットしています。

 

<「君といつまでも」系のヒット曲>

曲名
恋は紅いバラ 1965
君といつまでも 1966
君のために 1967
・・・ ・・・
ぼくの妹に 1976

 

 

 これらの作品で最もヒットしたのは、照れながらもで「君が好きだ」と恋人に告白した「君といつまでも」ですが、前年の「恋は紅いバラ」では「君が好きなんだけど、それが言えないんだ」というセリフが吹き込まれています。

 

 作品を重ねるごとに心境の変化があり、聴き比べると面白いです。このシリーズの中で、もっとも支持されたのが「君といつまでも」だったのも興味深いです。

 

 

加山雄三さんのアイドル性

 加山雄三さんは2つの側面を持つアーティストです。エレキギターを取り入れたアップテンポな作品を発表される音楽性と、今回テーマにしたアイドルポップス的な活躍をしている点です。

 

 アイドル性は、レコードジャケットからも感じる事ができます。

 

 「恋は紅いバラ」のレコードジャケットは、レコード袋と歌詞カードが別々になっています。そして、レコード袋を切り抜いて歌詞カードが一部見えるように加工されています。

 

 画像検索すると片足を台に乗せて手を挙げる若大将の姿がレコードジャケットに印字されているように見えますが、それは歌詞カードに印刷されている写真です。

 

 実際のレコード袋は、下図のようになっています。歌詞カードを入れると、加山雄三さんの写真がちょうど納まるようになっています。

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「恋は紅いバラ」レコード袋

 

 1960年代で、このような凝った包装をしている作品が存在した事に、個人的に大変驚きました。1980年代のアイドル作品の装飾に近いものを感じます。

 時代は違えど、レコードを売り出そうとする手法、発想は同じなのかもしれません。

 

 加山雄三さんは、1962年の『大学の若大将』でデビューされ、主題歌「夜の太陽」も小ヒットしていたようです。映画スターとして活躍されていたため、この作品を発表される時には、すでに知名度が高かったと推測されます。

 

 そのため、レコード会社も人気にあやかろうとして、趣向を凝らしたジャケットを企画されたのだと思います。別格の対応をされている印象を受けます。

 

 

楽曲分析

 「恋は紅いバラ」はA♭メジャー(変イ長調)です。

 

 音階は全音階的長音階で、ところどころで半音程ずつ下降するメロディが登場します。このメロディも「君といつまでも」で登場しており、加山雄三さんの作品の特徴的な響きを持っていると感じる部分です。

 

 

 最近の作品では、このような“シリーズもの”と言える作品のヒット曲は見かけません。おそらく、歌手が作詞作曲するのではなく、職業作詞家や作曲家がおられた時代だからできた事なのかも知れません。

 ペンネームでご自身が作曲されておられますが、歌い手の個性を自然に表現できていると感じるシリーズです。

 

 

曲情報

 発売元:東芝音楽工業株式会社

 品番:TP-1098

 A面

  「恋は紅いバラ」

  作詞:岩谷時子

  作曲:弾厚作

  編曲:森岡賢一郎

  演奏時間:3分18秒

 

  宝塚映画「海の若大将」主題歌

  東芝レコーディング・オーケストラ

 

 B面

  「君が好きだから」

  作詞:岩谷時子

  作曲:弾厚作

  編曲:寺内タケシ

  演奏時間:2分

 

  寺内タケシとブルージーンズ

  ※レコードジャケットの印字は「寺内タケシとブルージンズ」

 

参考資料

 「恋は紅いバラ」レコードジャケット

 『ミュージック・マンスリー』月刊ミュジック社

 『全音歌謡曲全集15』全音楽譜出版社

 「バンドプロデューサー5」