流行時期(いつ流行った?)
きゃりーぱみゅぱみゅさんの「にんじゃりばんばん」は、平成25年(2013年)にヒットしました。
オリコンランキングでは、発売された4月初めにランクインしていますが、それほど支持が集まっているように感じられません。
「にんじゃりばんばん」は、CD売上に比べて音楽配信で人気を獲得しています。
月間ランキングを公開されているmoraさんのヒットチャートと、日本レコード協会さんのダウンロード数認定の推移は下記のとおりです。
年月 | 3/13配信 | 3/20配信 | 6/26配信 | 日本レコード協会配信認定 |
平成25年03月 | 1位 | 18位 | - | ゴールド(10万ダウンロード達成) |
平成25年04月 | 2位 | 21位 | - | プラチナ(25万ダウンロード達成) |
平成25年05月 | 34位 | 33位 | - | - |
平成25年06月 | 93位 | 34位 | 圏外 | - |
平成25年07月 | 圏外 | 80位 | 23位 | - |
平成25年08月 | 圏外 | 圏外 | 43位 | - |
平成25年09月 | 圏外 | 圏外 | 93位 | - |
・・・ | 圏外 | 圏外 | 圏外 | - |
平成25年12月 | 圏外 | 圏外 | 圏外 | ダブル・プラチナ(50万ダウンロード達成) |
同じ作品でも配信日によって集計が分かれていますが、最も支持を集めたのは、最初の2013/03/13配信の音源です。日本レコード協会の認定も、この日に配信された楽曲を評価しています。
CDに比べて配信での人気が高かったように感じられますが、CD発売に先行して音楽配信が行われていた事が理由と思われます。
きゃりーぱみゅぱみゅ - にんじゃりばんばん,Kyary Pamyu Pamyu - Ninja Re Bang Bang
注)Warner Music Japan 確認済みの動画
YouTubeの再生回数が多い曲
2010年代のヒット曲を取り上げるときは、CDと配信の差を前提にしなければいけませんが、それに加えて、YouTubeに投稿されたミュージッククリップの再生回数も人気を推測する資料になります。
「にんじゃりばんばん」は再生回数が約6600万回となっています(2020年8月現在)。
おそらく日本での人気だけでは無く、海外からも人気を集めた動画なのだろう、と推測される数字です。
(上記の動画のタイトルに、ローマ字でタイトルや歌手名を記入されていますので、レコード会社も海外からのアクセスを意識しているように感じます。)
・・・と言っても、海外の総合チャートにはランクインしておらず、それほどの大きな人気は集めなかったようです。
海外では、知る人ぞ知る、という感じで人気を集めたのかな?と推測されます。
耳に残りやすいメロディ
「にんじゃりばんばん」はメロディが印象に残る作品です。冒頭の耳に残るメロディ、♪ファー・ファ・ド・♭シ・ド♭シ・♭ラ・♭ミは、1小節で構成されており、それこれがも何度も繰り返されます(最後の♭ミは別の音になったりします)。
円広志さんの「夢想花」(1978)で歌われる、飛んだり回ったりする回数には到底及びませんが、曲を1回聴くだけで20回くらい「にんじゃりばんばん」と歌われています。
冒頭のメロディが主題のようですが、そのメロディが何度も同じ繰り返しで登場する事が、この曲を"一度聴くだけで覚えてしまう"、"なぜか耳に残ってしまう"理由と感じます。
「にんじゃりばんばん」はFm(ヘ短調)ですが、用いられている音を並べ替えるとファ・〇・♭ラ・○・♭シ・ド・○となり、2番目と4番目と6番目の音がありません。
長音階であればヨナ抜き長音階に該当しそうですが、小泉文夫さんの『歌謡曲の構造』で提唱されている26抜き短音階に該当する作品です。
音の数が少ないとなぜか耳に残りやすいメロディになりますが、これも理由になりそうです。
コード進行で調べると、バンドプロデューサー5でコード解析では、間奏部分はCのみしか検出されなかった事も気になります。コード進行の知識はありませんが、ずっと同じコードで演奏される作品はほとんど見た事がありません。
変化が無い事は、聴き手に分かりやすさを与えている事になるため、「にんじゃりばんばん」が耳に残りやすい理由が隠れていそうです。
楽曲分析
曲中に何度も繰り返される「にんじゃりばんばん」というフレーズの意味は分かりません。しかし、言葉の響きというか語呂合わせのような覚えやすさを感じます。
歌詞も何が言いたいのか分かりませんが、「全く意味が分からない!」というのではなく、語呂の良さを重視しながらも、ある程度のまとまりを持つ世界観を備えています。
"忍者"という事で、秘伝が書かれたであろう巻物や、煙幕で姿を消すみたいに、一般の人が思い描く忍者像を連想させるフレーズがあったり、"どうして"、"愛して"と韻を踏むような事もしてみたりと、考えられた言葉が選ばれています。
一見、思い付きで歌詞が作られているように感じますが、実は、楽曲の雰囲気を損なわない言葉で構成しメロディを損なわないように、何度も推敲されているように感じます。
歌詞に違和感があると、「ん?」と思ってしまいますが、「にんじゃりばんばん」にはそのような箇所はありません。
おそらく「聴き手が変にストレスを感じてしまう部分があってはいけない」という考え方で、変に感じる部分を削り取られて出来上がった歌詞のように感じます。
聴いていて疲れない事がこの曲の個性と感じます。
Jポップの海外での人気
母音が明確な発音になる日本語は、外国語に比べて発声方法が特殊な言語のようです。おそらく、これが要因で、日本のヒット曲がなかなか海を超えて大きな支持を得る事が出来ないのだろうと考えています。
中田ヤスタカさんの製作する楽曲は、メロディを損なわない日本語の語呂の良さを追求した事で、海外の方に対しても気になる作品に仕上げる事が出来たのかな?と感じます。
曲情報
「にんじゃりばんばん」
作詞:中田ヤスタカ
作曲:中田ヤスタカ
編曲:中田ヤスタカ
参考資料
「にんじゃりばんばん」CDジャケット
『にんじゃりばんばん』月刊歌謡曲
「you大樹」オリコン