流行時期(いつ流行った?)
TOP50(フランスのオリコン的ヒットチャート)のランキングによると、Angèleさんの「Balance Ton Quoi」は、2019年3月中旬から9月初旬にかけて、半年近くの間ヒットしています。
連続ではありませんが5週間首位となっています。4月下旬に初めて首位を獲得し、途中で2,3位になる期間もありましたが、6月末に再び首位となっています。
ベスト3にランクインしたのは、4月中旬から7月上旬ですので、この期間が最も流行していたようです。
同時期に日本で流行っていた曲(2019年4月下旬~7月上旬)
オリコンランキングによると、日向坂46さんの「キュン」がヒットしています。
moraの音楽配信ランキングでは、菅田将暉さんの「まちがいさがし」、米津玄師さんの「海の幽霊」、RADWIMPSさんの「愛にできることはまだあるかい」が首位を獲得しています。
また、Foorinさんの「パプリカ」や、米津玄師さんの「Lemon」、あいみょんさんの「マリーゴールド」がロングセラーとなっています。
King Gnuさんの「白日」も人気を集めています。
Angèle - Balance Ton Quoi [CLIP OFFICIEL]
曲調は往年のフレンチポップス
楽曲自体は、どこかで聴いたことのあるようなフレンチポップスです。
1960年代後半から1970年代初めに人気を集めたシルヴィ・バルタンさんが歌っていた作品と言われても違和感の無い、かわいらしいアイドルポップスを連想してしまいます。
しかしプロモの映像や歌詞は、明らかにアイドルポップスではありません。作品は、男性側が潜在的に抱いている性別による差別意識に対して問題提起した作品のようです。
プロモではいくつかの例が挙げられていますが、すべては分かりませんでした(>_<)。
仕事中のセクハラに対して拒絶の姿勢を示す事や、同じ仕事をしていても男性、女性、異なる民族の女性の順で、給与に差がある事が表現されている部分は分かりやすかったです。
日本は男性優位社会で、性差に対する差別意識は世界に比べて遅れている、と見聞きする事があります。
しかし「Balance Ton Quoi」が、2019年のフランスで支持を集めるという事は、フランスもそれほど進んでいるようには感じられず、意外に感じました(+_+)。
#MeToo運動から生まれた作品?
過去に性的暴行を受けた事を勇気を持って告発した被害者の行動に、賛同や支持を表す意味合いで用いられる#MeTooのハッシュタグは、様々な国に広がりました。
アメリカで2017年に自然的に誕生したようで、日本では2018年の流行語にノミネートしています。
日本では、女性という理由だけで身なりを強制される事に対して#Kutooという独自のハッシュタグが誕生しましたが、2018年のフランスでは、#BalanceTonPorcというハッシュタグが#MeTooと同義で用いられたようです。
おそらくタイトルの「Balance Ton Quoi」は、このハッシュタグから着想を得たのだと推測されます。
フランスの作品ながら、プロモに映る言語が英語になっている点は気になります。もしかすると、Angèleさんはフランス国内の人たちに対して訴えるのではなく、動画を通して他の国の人たちにも作品の意図を伝えたい、と考えられたのかも知れません。
この作品のように、世の中の既成の価値観に対して疑問を問いかける作品は、日本でも登場した時代があります。
1960年代末のフォークソングブームですが、ベトナム戦争の反戦運動をきっかけに若者のあいだに築かれたプロテストフォークの延長で、岡林信康さんの「山谷ブルース」や高石友也さんの「受験生ブルース」といった作品が、後世に語り継がれる作品となっています。
日本では、その時代のみでしか顕在化しませんでしたが、こういった作品が突然登場するフランスには、若者が世の中に対して考えを示す作品が製作し、それを支持する聴き手がいる土壌があるのかな?と感じる作品です。
楽曲分析
「バンドプロデューサー5」の分析では、「Balance Ton Quoi」はFメジャー(ヘ長調)です。
プロモでは途中、討論のシーンが挟まれていますが、会話の内容は分かりません(>_<)。何を話しているのか気になります。
#MeToo運動に共感を得た人が参加する討論会と思われるのに、進行役のAngèleさんの発言や表情を見ると、男性2人はどうも趣旨を理解していないまま参加しているような印象を受けます。
アルバム『BROL』の歌詞カード最後には、「WOMEN NEED MORE SLEEP THAN MEN BECAUSE FIGHTING THE PATRIARCHY IS EXHAUSTING」とプリントされたTシャツを着ているAngèleさんの写真が印刷されています。
google翻訳を解釈すると、「家父長制に対して闘うために、女性は男性よりも睡眠が必要。」という意味になるようです。
参考資料
TOP50(http://www.chartsinfrance.net/)
「you大樹」オリコン
『BROL』CDジャケット
「バンドプロデューサー5」