ヒット曲けんきゅうしつ

なぜヒットする?は証明できないと思います。誤字はちょっとずつ修正します。

「グッド・バイ・マイ・ラブ」アン・ルイス(昭和49年)

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  アン・ルイスさんの「グッド・バイ・マイ・ラブ」は、昭和49年(1974年)にヒットしました。

 

 オリコンの記録によると、最高順位は10位以下ですが、7月から9月にかけて、20位前後をキープし続けていました。

 

 歌手のネームバリュー等で、新曲に対する期待度が発売前から高かった作品ではなく、「どこかで聴いた事があるけど、いい曲だなぁ。」という広まり方で、様々な層に支持されて、長期間売れ続けた作品であると推測されます。

 

 


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注)アン・ルイス - トピックの動画

 

 

 後年、イメージチェンジをされてからの活躍の方が目立つアン・ルイスさんですが、1970年代前半のアイドル・ブームに登場した「グッド・バイ・マイ・ラブ」は、当時の女性アイドルのイメージを踏襲している作品であると感じます。

 

 「グッド・バイ・マイ・ラブ」には、2つの特徴があります。

 

 1つは、耳に残りやすいメロディである事、もう1つはハーフの女性アイドルである事です。

 

 

 耳に残りやすいのはナゼか?その理由は、作品で用いられている音階がヨナ抜き音階だからです。「グッド・バイ・マイ・ラブ」は長調なので、ヨナ抜き長音階です。

 

 演歌系の作品で目立つ音階ですが、長調のヨナ抜き音階は欧米でもポピュラーな音階です。

 「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド」の4つ目のファと7つ目のシを省いた、

 「ド・レ・ミ・無・ソ・ラ・無・ド」の音階で作曲された作品は、なぜか聴き手の耳に残る音階です。

 

 使用する音が2つ減る事が理由かも知れませんが、4つ目と7つ目を省いた「ド・レ・ミ・ソ・ラ」の響きは、不思議と耳に残る音階です。

 

 

 「グッド・バイ・マイ・ラブ」は、サビだけが別の音階で作られているようですが、それ以外の歌い出しや間奏では、聴き手の耳に残る完全なヨナ抜きメロディが何度も繰り返されている事が特徴です。

 

 作曲されたのは平尾昌晃さんです。歌手としても作曲家としても様々な作品を手掛けて来られた方です。

 

 メロディの大枠がヨナ抜きであっても、それだけでは単調になるため雰囲気作りで、部分的に4つ目や7つ目の音を加えたりする作品はよく見かけます。

 しかし、完全にヨナ抜き長音階でほとんどのメロディを仕上げている点が、この作品の個性であると感じます。

 

 

 もう1つの個性が、アン・ルイスさんがハーフである事です。音楽においても海外のセンスを備えている事が連想されますが、「グッド・バイ・マイ・ラブ」はその事を個性として活かした作詞がされています。

 

 タイトルが英語である時点で感じますが、間奏に“英語でセリフを話す”という手法が用いられている事で、歌手の個性をますます活かしていると感じます。

 日本語でも上手く歌えて、何を話しているのか分からないけど英語も流ちょうに話せる事が表現されている。

 今となっては何気ない事かも知れませんが、曲を聴いた人たちは、他のアイドルでもなかなか表現できない世界観に惹かれたのではないか、と感じます。

 

 

 しかし、70年代前半の女性アイドルの作品のなかで、英語詞のセリフが登場したのはアン・ルイスさんが初めてではありません。

 

 1970年代前半のアイドルブームを支えた女性アイドルに、小柳ルミ子さん、南沙織さん、天地真理さんの新三人娘さんがおられます。

 

 この3名のなかで、沖縄が日本に返還される前年にデビューされた南沙織さんは、ハーフではありませんが、“アメリカ文化で育った日本の女の子”という事が考慮されたのか、デビュー1周年の「哀愁のページ」(昭和47年)が、英語のセリフで始まる作品となっています。

 

 

 「バンドプロデューサー5」の分析では、「グッド・バイ・マイ・ラブ」のキーは、Eメジャー(ホ長調)です。スローロックのリズムも日本人好みなので、聴いていて心地よい作品と感じます。

 

 

曲情報

 発売元:ビクター音楽産業株式会社

 品番:SV-2408

 A面

  「グッド・バイ・マイ・ラブ」

  英題:GOOD BYE MY LOVE

  作詞:なかにし礼

  作曲:平尾昌晃

  編曲:竜崎孝路

  演奏時間:3分25秒

 

 B面

  「暗くなるまで待って」

  作詞:なかにし礼

  作曲:平尾昌晃

  編曲:竜崎考路

  演奏時間:3分7秒

 

参考資料

 「グッド・バイ・マイ・ラブ」レコードジャケット

 『You大樹』オリコン

 「バンドプロデューサー5」